輸入車
更新日:2025.02.14 / 掲載日:2025.02.14
人気中古車実車レビュー番外編【ジープ アベンジャー】街乗りもアウトドアもこなす電動SUV

[ジープ アベンジャー]自動車ジャーナリスト 竹岡 圭と巡る人気中古車実車レビュー|番外編|
文●竹岡 圭、ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス、フォルクスワーゲン、プジョー
※中古車参考価格は2025年1月グーネット調べ。
(掲載されている内容はグーワールド本誌2025年3月号の内容です)
試乗レポートではわからない、身近でリアルな使い勝手を実車を取材してレビューするのが、「人気中古車実車レビュー」。デザイン、装備、使い勝手をレビューしつつ、中古車相場についても中古車販売店に取材し掘り下げます。
Profile:自動車ジャーナリスト 竹岡 圭
カーライフのサポーターとしてTVやラジオなどでもお馴染みの人気自動車ジャーナリスト。全日本ラリーにも参戦経験を持つ。2024-2025 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
日常からアウトドアまで楽しめる電気自動車
今回チェックするのはジープ アベンジャー。アメリカを代表するSUVとクロスカントリー4WD専門ブランドであるジープが、2024年に発売した電気自動車です。
取材させていただいたのは、「アベンジャー ローンチエディション」の新車で、価格は595万円。全国150台限定で発売されたモデルで、サンルーフや18インチアルミホイール、イエローダッシュボードといった特別なアイテムを装備します。
実車チェックを行うのは、自動車ジャーナリストの竹岡圭さん。
「ジープって、多くの人にとってはラングラーのイメージが強いんだろうけど、じつは日本に輸入されているモデルだけでも6車種ある。それで、デザインによってクルマのキャラクターがわかるようになってるんだよね。ラングラーのようなヘッドライトが丸目のクルマは、悪路走破性能を追求したクロスカントリー系。そして、今回紹介するアベンジャーのように、細目のヘッドライトを採用しているのが快適性を重視したSUV系。代表選手はグランドチェロキーだね。それを理解してからラインアップを見ると、どんなクルマなのかよくわかる」
つまり、電気自動車であるアベンジャーは、コンパクトなサイズにジープならではの走破性能を持たせた都市部向けモデルということ。電気自動車の性能と価格は駆動用バッテリーをどれだけ搭載するかで決まります。アベンジャーは一充電あたり485km(WLTCモード)とすることで、600万円を切るプライスを実現しています。地域にもよりますが、新車購入時は最大で105万円の補助金が受けられますから、コンパス(479万円〜)と同じくらいの価格になります。
「電気自動車というと街乗りメインっていうイメージだけど、アベンジャーなら日帰りキャンプみたいなアウトドアレジャーが気軽に楽しめる。キャンプ場によっては、電気自動車用の充電器やスペースを用意するところもあるし。ジープのよさって、どこにでも行けることなんだけど、電気自動車でそれを実現しているのはすごいよね。あと、悪路に強いってことは、普段の生活でも運転しやすい。ちょっとした段差とか気にしなくていいから」と竹岡さん。
雪道やぬかるみなどといった路面状況に応じて走行モードを選べる「セレクテレインシステム」や下り坂を一定の速度で走行する「ヒルディセントコントロール」といった機能を備えているのも特徴です。
「電気自動車は冬に弱いって思い込んでいる人も多いけど、よいところもある。回生ブレーキを強めれば(アベンジャーの場合はBモード)、アクセルを緩めるだけで車速をコントロールできるの。雪道ではかなり運転しやすいよ」
取材に協力してくれたジープ世田谷でセールスを担当する梅木さんによれば、デザインやジープの電気自動車であることに惹かれてショールームを訪れるユーザーが多いのだとか。実際乗ってみても、圧倒的な静かさとスムーズさを備えたコンパクトなジープとして、アベンジャーが魅力的なのは間違いなし。ぜひ一度、ディーラーを訪れて新しいジープの世界を体験してみてください。

ジープブランド初の電気自動車

ジープコマンダー以来、2年ぶりのニューモデルとして2024年9月に発売されたアベンジャー。ジープブランドにとって初めての電気自動車で、コンパクトなサイズにジープらしいデザインを凝縮。54kWhのバッテリーを装備することで、満充電では486km(WLTCモード)もの距離を走行可能。もちろんオフロード性能も自信あり!

ジープ アベンジャー ローンチエディション(電気式CVT) ●全長×全幅×全高:4105×1775×1595mm ●ホイールベース:2560mm ●車両重量:1580kg ●総電力量:54.6kWh ●一充電走行距離(WLTC):485km ●モーター最高出力:156ps/4070-7500rpm ●モーター最大トルク:27.5kgm/500-4060rpm ●新車価格:580万円〜595万円(アベンジャー 全グレード)
取材協力|ジープ世田谷

世田谷区上野毛に関東最大級のショールームを構える正規ディーラー。環状8号線に面しており、東名高速東京I.C.や第三京浜玉川I.C.から近く、東急大井町線の上野毛駅からも徒歩圏内とアクセス抜群。運営するウイルプラスチェッカーモータース株式会社は、ジープブランドの販売台数トップクラスのシェアを誇っています。
住所:東京都世田谷区上野毛1-34-11
TEL:03-3704-1261
定休日:水曜日(祝祭日以外)、年末年始
営業時間: 10:00〜18:30
URL:https://setagaya.jeep-dealer.jp/jeep/
ジープ アベンジャーの実車をチェック!
【デザイン】目は口ほどに物を言うを体現したフェイスデザイン

どのモデルでもひと目でジープだと認識できるよう工夫されています。原点にあるのが悪路走破性能で、それを実現できるシルエットであること。さらに7スロットグリルと呼ばれるグリルデザインが共通のアイコンです。一方で分かれるのがクルマのキャラクターによるディテール。クロカン系であるラングラーは丸目、都市型SUVであるグランドチェロキーは細目で、このライトデザインによって、クルマの性格がわかるようになっています。そう、アベンジャーは都市型SUVです。

【装備】ボディは小さくても内容は充実!快適な都市型SUV

シンプルなインテリアですが、装備は充実しています。センターディスプレイは10.25インチのタッチ式でナビゲーション機能も搭載。運転席メーターもフル液晶です。ジープらしさを感じるのが、急な下り坂をサポートするヒルディセントコントロールが備わるところ。また、ドライブモード切り替えスイッチを駆使すれば、泥や雪、砂地にも対応。前方の車両との距離を一定に保つストップ&ゴー機能付きクルーズコントロールなど、運転支援機能も抜かりはありません。

【使い勝手】航続距離は485km ラゲッジルームの使い勝手も良好!

全長わずか約4.1mのコンパクトボディにゆとりある室内空間と十分なラゲッジスペースをパッケージング。荷室容量は標準状態で355L。手前との段差を解消するための床板が備わっていて、下段にもちょっとした荷物であれば搭載できそう。後部座席を折りたためば、2人分のキャンプ荷物は余裕で積み込めるでしょう。一充電走行距離は485km(WLTCモード)と十分なので、セカンドカーとしてはもちろん、都市部であればファーストカーとしても活躍してくれそうです。

充電環境がクリアできれば魅力は十分以上!

竹岡 圭 レビュー
デザイン[★★★★★]
ジープには丸目と細目がありますが、こちらは細目タイプ。BEVですから、ある程度インフラが整っている場所が向いている=アーバンスタイルの細目と考えると、とっても納得できるデザインです。ボディもコンパクトで、街中での使い勝手もバッチリ。小さくて本格スタイルのSUVというニーズにも応えてくれそうです。
装備[★★★★★]
さまざまな路面を走るジープだからこそ、路面状況に合わせて6種の走行モードから選択できる、セレクテレイン システムを搭載。日常シーンでも現れる急な下り坂でも、特に雨や雪の日などは、ヒルディセントコントロールが役に立ちそう。悪路を知り尽くしたジープだからこその本格装備がギュッと詰まっています。
使い勝手[★★★★☆]
一充電走行距離は485kmなので、コンパクトなガソリン車とほぼ同じくらいの行動範囲を賄えるというのは頼もしいポイント。オウチや職場で充電できる環境なら、ガソリンスタンドがやってきたようなものなので、機動力は抜群です。そうじゃない方は、1週間でどれくらい乗るのか? ライフスタイルの検証をオススメします。
編集部 レビュー
デザイン[★★★★★]
電気自動車であっても、ジープとわかる抜群のデザインセンス。小さいボディなのにタフな印象で、それでいて街中にもスマートに溶け込むグッドデザイン。それが格好だけでなく、性能に結びついているところも魅力的。車体のいろいろなところに、遊び心のあふれるアイコンが隠されているのも愛着を高めてくれます。
装備[★★★★★]
タッチ操作に対応する10.25インチのナビゲーション機能付きセンターモニターをはじめ、驚くほど標準装備が充実しています。唯一のメーカーオプションとなるのが「スタイルパック」で、サンルーフや18インチアルミホイールなどがセットになっています。限定車はこれが最初から装備されているのでオススメです。
使い勝手[★★★★☆]
電気自動車を受け入れられるライフスタイルかどうか、すべてはそこに集約します。ベストは自宅に充電器が設置できることですが、急速充電器だけでやりくりしているユーザーももちろんいます。そこさえクリアできれば、走行距離も十分ですし、コンパクトなのに室内や荷室も広々していて使い勝手はかなりグッド!
ライバルモデルをチェック!
フォルクスワーゲン ID.4

VWの電動化戦略を牽引する電気自動車。ボディサイズはアベンジャーよりひとまわり大きく、特に後席は広々。バッテリー容量によってグレードが分かれているので要注意です。
中古車参考価格帯:350万円〜510万円(22年〜24年 ID.4 全グレード)
プジョー e-2008

エンジン車と対等な関係という考えで開発されているので、既存の2008とデザイン的な差異はほとんどありません。航続距離は380km(WLTCモード)で、日常使い向けの設計です。
中古車参考価格帯:230万円〜480万円(20年〜24年 e-2008 全グレード)