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更新日:2025.03.04 / 掲載日:2025.03.04

MINIの進化は止まらない! 新世代ラインナップの魅力を徹底解剖!

Visual model : MINI COOPER (3 Door) S

[ますます進化して満足度大!]新世代MINIの魅力

写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2025年4号「[ますます進化して満足度大!]新世代MINIの魅力」記事の内容です)

オリジナルミニの登場は1959年。その後、数々の伝説を築き上げたのはご存じのとおりだろう。そして、BMW MINIとして生まれ変わったのが2001年(世界デビュー)。新時代のMINIは世界中から高く評価され、4世代目へバトンタッチされた。MINIが素晴らしいのは、乗り手をワクワクした気持ちにしてくれるところ。今回はそんなMINIの最新事情をあますところなくお伝えしたい!

[歴史が物語るミニ(& MINI)の魅力]MINIじゃなきゃ!と思わせるヒミツとは?

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス、MINI

1959年に画期的なFFパッケージで登場したミニ。小さなサイズで大人4人が乗れたミニは、それまでの自動車の常識を覆した。そして現代のMINIも、その思想をしっかりと受け継いでいる。

つねに時代の最先端にある“ミニ”という存在

 自動車に詳しい者のなかでは、ミニは特別な存在!になっている。世の中にミニに似たクルマはあっても、「ミニかそれ以外」というような分類だ。その理由はいくつかあるが、まずはその生い立ちが挙げられる。1959年生まれのこのクルマは、当時としてはめずらしいFFパッケージで、エンジンとギアボックスを二層にしてレイアウトされた。目的は決められたサイズながらキャビンを効率的に設計し、大人4人が乗れるスペースを確保することだ。
 また、デザインにもオリジナリティがあふれていた。オースティン・ドローイング・オフィスが描いたスケッチはどこからどう見ても可愛らしく、まるでペットを飼うような感覚でクルマと接しられたのだ。
 これ以外にもある。このFFパッケージに高いポテンシャルを見出した者がいた。それがレーシングドライバーのジョン・クーパー氏。当時F1のコンストラクターをも務めた彼のガレージがこのクルマを用いてレースに出場し、輝かしい成績を残している。1960年代のモンテカルロラリーでの話だ。
 というのがクラシックミニの足跡であって、その背景のまま現代のBMW MINIが生まれ、進化し続けている。つまり、ミニはつねに時代の最先端にいるモノであり、可愛らしいデザインは踏襲され、スペックもレーシーでなくてはならない。
 という目線で、一昨年から昨年にかけて大変身したMINIのラインアップを見てみると、やはり伝統はしっかり受け継がれているのがわかる。他に類を見ない先進性のインターフェース、伝統をモダンにあしらったデザイン、それと高い運動性能が担保されている。
 なかでもそれをシンボリックに表しているのがMINIクーパー。3ドアも5ドアも新型から“クーパー”の名前が正式名称として採用された。
 そのデザインだが、ご覧のようにMINI然としている。丸型ヘッドライトと大きめのグリルはその象徴でMINIの可愛らしさ全開だ。それとオーバーハングを短くしタイヤを四隅に配置するパッケージングも踏襲。それがそのまま運動性能を高めているのはいうまでもあるまい。
 パワーソースは1.5L直3と2L直4ターボがあり、今回はフル電動のBEV、クーパーEもラインアップされた。試乗は2LユニットのMINIクーパーSだったが、とにかく速いという印象。アクセルオンでふたつ上のクラスのパワフルさを見せる。だから少しトゥーマッチと思うならばその下のクーパーCがいいだろう。それでも十分すぎるくらい走りを楽しめる。いずれにせよMINIの走りは健在である。

PROFILE:モータージャーナリスト 九島辰也/ファッションや旅にも造詣が深い自動車ジャーナリスト。これまでアメリカ、ドイツ、イギリスと各国のクルマを乗り継いでいる。

[MINI クーパー(3ドア)/ガソリン]全面的に新設計の4代目MINI

 MINIファミリーの王道といえばこのモデル。コンパクトなボディで類い稀なる運動性能を見せる。新型はBMW MINIになってからの4代目で、プラットフォームからすべて新設計となる。高いボディ剛性と軽量化がポイントだ。また、ダッシュボードから見直されたことでインターフェースも新しくできた。走りだけでなく、こうしたエンターテイメントにもこだわるのがMINIの真骨頂である。

MINI クーパー 3ドア S ●全長×全幅×全 高:3875×1745×1455mm ●ホイールベース:2495mm ●車両重量:1320kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●排気量:1998cc ●最高出力:204ps/5000rpm ●最大トルク:30.6kgm/1450-4500rpm ●新車価格:396万円〜531万円(MINIクーパー 全グレード)

ダッシュセンターの丸型モニターには“エクスペリエンス”モード切り替えで、それぞれのデザインが映し出される。走りも変わるのがユニーク。
このサイズからは想像できないスペースのカーゴ。リアシートをたためばかなりの量が積めそうだ。
新型のパワーソースは2つのガソリンエンジンとバッテリーの電気自動車で、ディーゼルはない。
Other variations
[MINI クーパー(3ドア)/BEV]電気自動車は3ドアのみ専用シャシーで形も違う

 3ドアハッチにはBEVが用意される。一見してカタチはガソリンエンジン車と変わらないが、プラットフォームから違うのでボンネットの高さや窓の大きさなどが細かく異なる。運転席に座ってみれば一目瞭然だ。このプラットフォームはエースマンと共有する。

[MINI クーパー(5ドア)/ガソリン]4代目MINIでも続投へリアドアを備えた5ドア

 3ドアハッチバックをストレッチして出来上がったのが5ドアハッチバック。ホイールベースを伸ばしリアの足もとを広くした。ユニークなのは5ドアにはBEVが用意されないこと。1.5L直3と2L直4の2種類のガソリンエンジンのみの設定となる。

[MINIのファンをグッと増やしそうな2台]みんなに愛される充実したバリエーション

MINI カントリーマン

第2世代以降、ラインアップを拡大してきたMINIシリーズ。ここでは最新モデルの、カントリーマン(旧名=クロスカントリー)とエースマンをクローズアップしたい。

もうひとつの柱がカントリーマン

 3ドアをデフォルトとするMINIのラインアップだが、ご存じのようにそこにいくつかのモデルが顔を連ねる。ここで紹介するカントリーマンもそのひとつで、SUVブームのなか人気を集めている。従来型まではクロスオーバーという名前だったが、モデルチェンジを機にカントリーマンに呼び名が変わった。
 ベースになったのはBMW X1で、プラットフォーム、シャシー、パワーソースを共有する。いわゆるBMWテクノロジーで、信頼性の高さを担保するといっていいだろう。これまでもそうだが、近年彼らはそれを積極的に打ち出している。
 そして、それは今回登場したBEVのカントリーマンE&SEもそうで、iX1のシステムを採用した。リチウムイオンバッテリーとその積み方、モーターまわりの仕組みはそうだ。MINIだけではかけられない開発費で生まれた技術をグループ内でシェアしている。
 とはいえ、味付けはしっかりMINIになっているのでご心配なく。パワステのセッティング、サスの硬さ、クルマの挙動はMINI然としている。ゴーカートフィールは健在で俊敏さを感じることだろう。
 デザインもそうで、エクステリアもインテリアもMINIの方程式に則っている。ヘッドライトとグリルの形状と位置関係、上下に狭いガラス窓など個性は生きている。インターフェースもそうで、センターの丸型ディスプレイで彼ら特有のモード“エクスペリエンス”を切り替えることができる。
 そんななか異端的な存在がエースマンだ。このクルマはBEV専用で誕生した。グレードは、パワー違いのエースマンEと同SEとなる。
 ユニークなのは3ドアにはあるBEVを5ドアハッチバックには設けずにこの新たなモデルレンジを作ったことだ。ご覧のようにMINIらしさを持たせながら個性も取り入れている。プラットフォームは3ドアハッチバックのBEVと同じだから、かなり意図的に考え抜かれた戦略だ。
 走りは思いのほかナチュラルな味付けで、BEV感は薄い。特に出力を抑えたエースマンEはまるでガソリン車を動かしているようなフィーリングだ。きっとこの辺はかなりこだわったに違いない。それに比べるとBEV感が強いのはエースマンSE。モーターの出力をアップした加速はハンパない。このサイズで異次元の走りを体感させてくれる。
 というのがカントリーマンとエースマン。そしてこの先3ドアハッチバックのコンバーチブルが追加されたりJCWが充実するから、今年もまだまだMINIから目が離せない。

[MINI カントリーマン/BEV]有機ELディスプレイで操作性もアップ

 インテリアで目立つのは、やはり円形有機ELのセンターディスプレイにほかならない。新世代MINIのアイコンと言っていいだろう。直径240mmの高品質ガラスはタッチスクリーン式で、直感的に触れることで操作できる仕組み。「エクスペリエンス」と名付けられたソフトは、ビジュアルとドライブモードのほかに音楽やシートのマッサージとも連動している。クルマのキャラクターを変える秘密兵器だ。

MINIカントリーマン SE ALL4 ●全長×全幅×全高:4445×1845×1640mm ●ホイールベース:2690mm ●車両重量:2020kg ●一充電走行距離(WLTC):451㎞●システムトータル最高出力:306ps ●システムトータル最大トルク:50.4kgm ●新車価格:493万円〜566万円(MINIカントリーマン 全グレード)

シートは大きめで大人が長時間乗っても疲れない。また新型は全長が伸びたことでキャビンが広くなっている。
バッテリーを床下に引き詰めるBEVは、ボンネットを開いてもエンジンはない。あるのは電気ケーブルを含む補器類。内燃機関と違ってそれらは低く搭載される。
Other variations
[MINI カントリーマン/ガソリン]ディーゼルも選べるMINIカントリーマン

 今回が3代目としてフルモデルチェンジした。初登場のBEVを除く内燃機関のラインアップは、1.5L直3ガソリンターボの「C」、2L直4ガソリンターボ+4WDの「S ALL4」、それとJCW。ディーゼルエンジンは2L直4ターボの「D」が設定される。

ほかのモデルはガソリンエンジンとBEVを有するが、カントリーマンはSUVの性格上ロングドライブにも適しているディーゼルも用意する(写真はガソリン)。

[MINI エースマン/BEV]電気自動車専用の新顔「エースマン」

 エースマンのプラットフォームは3ドアハッチバックのBEVと共有する。MINIブランド用に開発されたもので、この2つのモデルで開発費を回収する立て付けだ。スリーサイズは全長4080×全幅1755×全高1515mmとカントリーマンよりやや小さく利便性を高めている。SUVではなくクロスオーバーとしたことで、全高を抑えられ1550mm制限の機械式駐車場をクリアできるのはうれしい。

MINIエースマン SE ●全長×全幅×全高:4080×1755×1515mm ●ホイールベース:2605mm ●車両重量:1740kg ●一充電走行距離(WLTC):414㎞●最高出力:218ps/7000rpm ●最大トルク:33.7kgm/50-4500rpm ●新車価格:506万8000円〜556万円(MINIエースマン 全グレード)

電気自動車専用モデルなのでボンネットを低く設計することができる。見た目ではわかりづらいが運転席に座ると感じられる。
高級感のあるシートだが、MINIらしく身体をサポートするように設計されている。リアシートは2分割式。カーゴは開口部は広くできているが全長が短いので奥行きはあまりない。
新世代MINIのインパネは物理的なスイッチが少ない。情報はセンターディスプレイに集約され、メータークラスターはなく速度はヘッドアップディスプレイで読み取る。
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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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