輸入車
更新日:2025.04.04 / 掲載日:2025.04.04
売れているのにはワケがある!フォルクスワーゲン ティグアン本気の進化

売れているのにはワケがある!TIGUAN[フォルクスワーゲンSUVの見どころ]
写真●内藤敬仁
(掲載されている内容はグーワールド本誌2025年5号「売れているのにはワケがある![フォルクスワーゲンSUVの見どころ]」記事の内容です)
2003年に上陸した初代トゥアレグ、2008年のを初代ティグアンなど、比較的早い段階からSUVラインアップを充実させてきたフォルクスワーゲン。なかでも2019年に発売したTクロスは、3年連続で輸入SUV販売台数のナンバーワンを記録するなど、市場での評価は高い。今回は、現在のティグアン、Tロック、Tクロスの3モデルを中心に、その人気の秘密を紐解いていきたい!
[フォルクスワーゲン ティグアン]全方位でグレードアップした注目の最新モデル

文●石井昌道 写真●内藤敬仁、澤田和久、ユニット・コンパス
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。
フォルクスワーゲンのSUVづくりの知見が、最大限に発揮されたといっていい新型ティグアン。洗練されたスタイリングはもちろん、ステアリングを握ると彼らが理想とする「SUVはこうあるべきだ」という姿が見えてくる。
まさに気合の入ったモデルチェンジ!
2008年に登場した初代ティグアンは、フォルクスワーゲンのコアモデルであるゴルフ相当のSUVとして注目を集めた。世の中のSUV人気の高まりとともに販売台数も増加していき、2019年以降はグローバルでフォルクスワーゲンのベストセラーとなっている。
日本上陸を果たしたばかりの3代目のボディサイズは、従来モデルに比べると全長は30mm伸びたが全幅は同一、全高は20mm低くなった。サイズ感としてはほぼ変わらないが、伸びやかなフォルムと容量を増したラゲッジルームを実現。従来はエッジの効いたキャラクターラインが目立つサイドビューだったが、シンプルかつクリーンなデザインへと変貌を遂げている。
プラットフォームは従来のMQBをベースに進化させたMQB evoを採用。アダプティブシャシーコントロールのDCCもDCC Proへと進化し、ダンパーの縮み側と伸び側が独立制御され、カスタマイズによって15段階もの設定が可能となっている。そして、パワートレインはガソリン1.5Lターボ+MHEV(マイルドハイブリッド)のeTSIとディーゼル2Lターボの2種類。前者はFFで後者は4WDの4MOTIONで、トランスミッションはいずれも7速DCTとなっている。
WLTCモード燃費が15・6km/Lと秀逸な数値の1.5eTSIを走らせると、なるほどMHEVのポテンシャルを最大限に引き出して燃費を稼いでいることがわかる。走行中に負荷が低いと、すぐさまエンジンを停止させてコースティングしてガソリンの消費を抑えているからだ。それでいてエンジン再始動はスムーズでタイミングも適切でもどかしさはない。エンジンをアシストすることによってターボラグがほとんどなく、低回転域からスペック以上に力強さを感じる。ディーゼルは400Nmものトルクで力強いうえに回転上昇がスムーズでスポーティでもある。音・振動も抑えられていてディーゼルのネガはほとんどない。
DCC Proが装備されないエレガンスでも乗り心地が大いに進化して快適になっていた。特にリアサスペンションの動きがスムーズで路面の凹凸が大きくても突き上げ感が少ないのだ。それでいて操縦安定性が高く、底知れぬ安心感がある。
Rラインはエレガンスよりも2インチ大きな20インチタイヤを履いているが、DCC Proの恩恵によって乗り心地は快適なまま。縮み側はソフトタッチ、伸び側でボディの動きを上手にコントロールしているようだ。最も硬いセッティングにしてもしなやかさはあるのが高度でプラットフォームの進化を感じさせる。
静的にも動的にも洗練度を大いに増した新型ティグアン。ベストセラーにふさわしい気合の入ったモデルチェンジがなされたのだ。

フォルクスワーゲン ティグアン TDI 4モーション Rライン(7速AT・DSG)●全長×全幅×全高:4540×1860×1655mm ●ホイールベース:2680mm ●車両重量:1750㎏ ●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ ●排気量:1968㏄ ●最高出力:193ps/3500-4200rpm ●最大トルク:40.8㎏m/1750-3250rpm ●新車価格:487万1000円〜653万2000円(ティグアン 全グレード)
PROFILE:モータージャーナリスト 石井昌道/モータージャーナリスト。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。


