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更新日:2025.03.29 / 掲載日:2025.03.29

5億円超のハイパーカー! パガーニ、ウトピアロードスターを見聞する【九島辰也】

文●九島辰也 写真●パガーニ・アウトモビリ

 イタリアにはモーターヴァレーと呼ばれるエリアがあります。エミリア・ロマーニャ州をメインにした地域で複数のカーマニュファクチャラーが点在します。マラネッロのフェラーリ、モデナのマセラティ、サンタアガタのランボルギーニ、ボローニャのドゥカティ(二輪)なんかが有名でしょう。西へ行けば、ロンバルディア州ミラノのアルファロメオ、さらに行けばピエモンテ州トリノのフィアットがあります。

 今回紹介するパガーニ・アウトモビリもその中のひとつ。フェラーリとランボルギーニ挟まるように彼らのヘッドクォーターと生産拠点が存在します。パガー二はアルゼンチン出身のデザイナー、オラチオ・パガー二によって誕生しました。この地を選んだのはきっとパガー二さんがランボルギーニに在籍していたからでしょう。勝手知ったる地にパガー二の母体となるモデナ・デザイン社を設立しました。

 スタートは1992年ですからまだ若いカーマニュファクチャラーと言えます。最初のロードカーはゾンダ、次にウアイラが発表されました。どちらも風の名前から取ったネーミングです。マセラティやVWと同じですね。みなさんなぜだか風の名を付けたがる。

パガーニ ウトピア ロードスター

 そして今回我々の前に現れたのはその第三弾となるウトピア(UTOPIA)ロードスター。スペルからわかるようにユートピアのイタリア語です。ストリートのストラダーレやスペシャルのスペチアーレと同じ感じですね。クーペボディのウトピアの屋根開き版となります。

 ウトピアロードスターの販売台数は世界限定130台となります。クーペの99台より多いわけですからオープントップは世界中のセレブに人気なのでしょう。日本での割り当てはわずか4台。この4台を含めたすべての車両が発表の直後に売れてしまったというから驚きます。きっと先にリリースされたクーペの発売と同時にオーダーを入れた方も多くいらっしゃることでしょう。フェラーリもそうですが、クーペが出たら屋根開きも出ますからね。

 とはいえ、この2つのモデルは同時に開発されたそうです。理由は屋根を開けた状態でカッコよく見えるのはもちろん、閉めた状態でもクーペのルーフラインと同じような曲線を描きたかったから。確かに取ってつけたような不自然さは一切ありません。ミッドシップレイアウトのスタイリングはレーシーであり美しくもあります。フレームはアルミ、ボディはカーボンファイバーをふんだんに使っています。会社設立当初からカーボンファイバーを硬化させる圧力釜を自社で持っていたというからこだわりの強さを感じます。

パガーニ ウトピア ロードスター

 パワーソースはガソリンエンジンで、メルセデスAMGから供給を受けます。彼らがパガーニ用に仕立てたものです。バンク角60度の6リッターV12ツインターボは864hpを発揮します。この数字もそうですが、最大トルク1100Nmもすごい。それを2800回転から発生させるというからかなり力強いと思われます。組み合わされるギアボックスは7速MT。今回展示車のシートに座り、シフトを動かさせていただきましたが、良いフィーリングでした。カチカチと収まる様はまんまレーシングカー。シフトの根元がスケルトンになっていたのはきっと演出でしょう。最高速度は時速350キロで、それに到達すると制御がかかるようです。

 屋根の部分は手動で取り外すタイプで、フックを外すと一人でも持てる軽さでした。電動格納式を採用しないのは軽量化を意識した結果だと思います。このスタイリングですからね。日常使いを前提にした便利なものとは違うつくりを選びました。

 一応スリーサイズを記しておくと、全長4673mm、全幅2060mm、全高1165mmになります。ロー&ワイドですね。でもってホイールベースは少し長めの2796mm。車両重量は1280キロですからこのサイズにしては信じられないほど軽いかと。ホイールサイズはフロント21インチ、リア22インチでした。展示車のホイールは左右で変えているので横から見るとそれぞれイメージが異なります。

パガーニ ウトピア ロードスター

 想像するに金額はざっくり5億円オーバーでしょうか。このくらいの桁になると為替レートでプライスは大きく変動するので確かではありませんが。そしてそこに消費税が加わり、さらにイタリアからの運搬費が追加されます。おおよそ空輸でしょう。それに保険もかけないと。車両保険って入れるのかな? なんていらぬ心配ですがね。パガーニの手がけるハイパーカーはスペックがハイパーなら値段もハイパー。でもってこちらの妄想もハイパーになっていきます。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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