輸入車
更新日:2026.04.28 / 掲載日:2026.04.28
圧倒と洗練が共存。アストンマーティン“Sバッジ”モデルを体験【九島辰也】

文●九島辰也 写真●アストンマーティン
昨年ワールドプレミアされたアストンマーティンDBX SとヴァンテージSが日本上陸しました。そして先日メディアと顧客向けに試乗会が行われたのでその模様をお届けします。
“Sバッジ”はそれぞれのモデルのトップエンドに位置するモデルです。DBXで言えば、DBX707をさらにスープアップしているから驚きます。パワーは707psを上回る727ps、最大トルクは900Nm。SUVとは思えない領域ですね。ヴァンテージSの最大出力は680ps、最大トルクは800Nmです。
まだ日本上陸はしていませんが、この2台の後に発表されたDB12 Sというのもあります。こちらも揃えば、“Sバッジ”のラインナップが構築されます。アストンマーティンによれば、日本は世界でも5番目に入るマーケットなので、こちらもそれほど時間差なく我々の目の前に現れるでしょう。なんたって彼らがこれまで生産してきた13万台のうち5000台がこの国にありますし、その中には戦前の希少車や近年のスペシャルカーも少なくありません。要するに日本は彼らにとってプライオリティの高い国となります。

では、実際にDBX Sを走らせた印象ですが、とにかくパワフルでした。スタートからトラクションがしっかりかかり、猛ダッシュします。そこからの伸びは素晴らしく、レーシングカーのような加速を見せます。トラクションが効いているのを感じるのは前後のトルク配分が関係します。フロントに対しては最大50%、リアに対しては最大100%に自動で振り分けます。つまり、場面によってはFRスポーツのような挙動になるわけです。このクルマに関しては電子制御を見直しているというからそのセッティングがさらにレーシーになりました。
ドライブモードをSport +(スポーツ プラス)にし、オートマチックで走るとかなり楽しく走れます。シフトアップは高回転までしっかり使い、シフトダウンはブレーキに連動します。強く踏み込めば小気味よいブリッピングとともにギアを落とすのが気持ちいい。いやはやSUVであることを忘れさせるフィーリングです。この辺は開発陣の意図するところで、ドライブフィーリングをレーシーに味付けた結果となります。絶対的なパフォーマンスを注入すると同時に、そうした感性に訴える感覚も備えました。

それでいて興味深いのは乗り心地が悪くないこと。足をガチガチに固めたわけではなく、ヒョコヒョコした振動はありません。コーナーではサスペンションストロークがしっかり効いて、ロールを抑え込みながらキャビンをフラットに保ちます。この味付けは一朝一夕にはいかないでしょう。技術力の高さが伺えます。

ヴァンテージSはその感覚をよりレーシングカーに近づけました。目線が低くなった分、そう感じさせます。ステアリングはよりクイックで、アクセルコントロールで向きを変えられます。サスペンションの減衰圧を高めその周辺の剛性を上げることで、より操舵に対するレスポンスが高まっています。
といった2台を動かして、総じて言えるのはパワフルであること。当たり前ですが、かなり力強い。イメージ的には数字以上の出力を感じました。エレガントな装いをしたモンスターマシンです。

というのが、今回上陸した2台の“Sバッジ”モデルの印象です。アストンマーティンがさらにパワフルな路線に向かっているのがわかります。ちなみに、この“S”の意味は、“スポーツ”や“ソフィスティケーション(洗練)”や“スタイリング”だそうです。ただ、サブブランドではないので、メルセデスのAMGやBMWのMのような存在とは異なります。あくまでも現在のラインナップのトップグレードと言ったところ。でも、正直それほど目新しくはないですよね。かつてはヴァンキッシュSもありましたし、DBSもそんなニュアンスを感じます。
いずれにせよ、アストンマーティンはブランドイメージが抜群なだけに日本のマーケットでヒットするポテンシャルはあると思います。それにF1の参戦もいい材料でしょう。今のところホンダとのマッチングはあまり機能していないようですが、時間が解決するのは目に見えています。今年の鈴鹿でHRCの渡辺社長もそんなことを言っていました。
あとは007シリーズの新作がいつ発表されるかですね。ダニエル・クレイグの次はどんなジェームズ・ボンドが登場するのか。まぁ、誰にせよボンドカーは最高のプロモーションアイテムであることは間違いありませんね。