【試乗レポート・BMW X4】見た目も走りも迫力十分！　スポーティ系SUVの大本命

　2世代目となる新型は見た目そのままに先代からのキープコンセプトとなる。リアピラーに角度がついたスポーティなフォルムが特徴だ。ただ、モデルチェンジのタイミングが早いのも事実。先代のリリースが2014年だからわずか4年という短期間でのスイッチとなる。
　その理由はいたってシンプルで、ベースとなるX3がモデルチェンジしたから。工場ライン上にいつまでも従来型のプラットフォームを使用するのは不都合が生じる。要するにパーツの供給を含め生産効率が悪くなると言うことだ。

　新型の第一印象はこれまでよりさらにかっこよく見えた。全体的にボリューム感があって堂々としながらもスタイリッシュさは失っていない。かなりの迫力だ。これだとX6はもういらないかもと思ってしまうほど。その意味では買い得感は高まったかもしれない。もちろん、これだけボリューム感が出たのはX3に寄与する。X3自体「これってX5?」と見間違うほどの仕上がり。実際サイズ的にも全長と全幅で大きくなっているし、フロントグリル周辺の造形も厚みを増している。

　ではそのラインナップだが、グレードは3種類、エンジンは２種類用意される。モデル名で言うと、「X4 xDrive 30i」、「xDrive 30i Mスポーツ」、そしてMパフォーマンスモデルの「M40i」。前者2モデルが252馬力の2L直4ターボ、後者が360馬力の3L直6ターボユニットを搭載する。先代同様今回もディーゼルユニットは用意されない。どれも組み合わされるトランスミッションは8速ATで、駆動方式はxDriveつまり4WDとなる。

　今回試乗したのはもっともパフォーマンスの高い「M40i」だった。ツインパワーターボの最高出力はもちろんのこと51kgmという魅力的な最大トルクが気になる。事実この太いトルクによって加速はどの領域からも抜かりなし。発進から中間加速までアクセルに対する素早いレスポンスでクルマをドーンと前へ押し出す。カラダがシートに押し付けられるほどの勢いだ。

　今回の試乗は箱根ターンパイクだったのでさすがにトップスピードエリアまでは試せないが、レーストラックであればかなり高いスピード域からの加速も体感できたであろう。そんな懐の深さを感じさせるセッティングである。
　しかもこのエンジン、加速感ばかりかサウンドもすごい。言ってしまえばそのままレーシングカー。「SUVなんだからここまでやらなくても……」という声も聞こえてきそうな雄叫びを発する。個人的にはアクセルを離した時の軽いバックファイアが気に入っている。思わずニヤケてしまったほど。まぁ、この辺は“M”の文字が付いた定めなのだろうか。ユーザーニーズといってしまえばそれまでだが、期待は裏切らない。お好きな方はドライブモードを「スポーツ」もしくは「スポーツ・プラス」にして楽しんでもらいたい。

　ハンドリングもイメージ以上に軽快でダイレクトにクルマの向きを変える。太いグリップをグイッと掴み、左右に振るとその楽しさが全身に伝わってくる。手のひらの小さい人には少々太すぎると思われるが、これはひとつのトレンドでもある。
　この動きに関しては駆動配分を適切に分配するMスポーツディファレンシャルが大きく関与する。基本的にリヤ駆動を重視してくれるが、オーバーステアやアンダーステアを自然に打ち消してくれているようだ。若干のオーバースピードであればコーナーで出口までの間で修正される。
　といった性格だけに乗り心地に関しては少々硬め。ドライバーズカー的要素は強い。なんたってホイールは前後21インチ。タイヤの扁平率はPゼロで扁平率前40、後35というウルトラロープロファイルを装着していた。サイズ表だけ見たらSUVとは思えないだろう。

　今回はM40iのみを箱根ターンパイクを中心に走ったので、かなりスポーティな部分が前面に押し出された。が、もう少し一般道を中心とした試乗をすればまた別の顔が見られるのかもしれない。とはいえ、BMWが“M”のネーミングにこだわりを持っているのは確か。もっとスポーティにSUVを楽しみたいと方には過不足ない仕上がりの一台である。


BMW X4 M40i（8速AT）

全長×全幅×全高 4760×1940×1620mm
ホイールベース 2865mm
トレッド前・後 1610mm／1625mm車両重量 1870kg
エンジン 直6DOHCツインターボ
総排気量 2997cc
最高出力 360ps／5500rpm
最大トルク 51kgm／1520-4800rpm
ブレーキ前後 Ｖディスク
タイヤ前・後 245／40R21・275／35R21