輸入車
更新日:2019.08.22 / 掲載日:2018.11.09
テスラのニューモデル「モデル3」を国内発表。小型サイズでより身近な存在に

テスラ モデル3
文と写真●内田俊一
テスラ・モータース・ジャパンは11月8日にモデル3を日本において先行公開した。モデル3はモデルSよりも低価格でサイズを小型化したセダンと位置付けられている。なお、以下記事中に記されているモデル3のスペック等は北米仕様のもので、現在日本仕様は検討中であるという。
普段使いに適したサイズ

北米仕様のモデル3のスペックは「全長:4694mm/全幅:1849mm/全高:1443mm/ホイールベース:2875mm」とモデルSやモデルXよりもはるかにコンパクトで、「日本でも普段便利に使ってもらえるサイズでしょう」とコメントするのは、テスラ・モータース・ジャパンカントリーセールスダイレクター吉田篤司氏だ。現在駆動方式やモーター出力によって3つのラインナップが用意されている(2018年11月8月現在の北米仕様のラインナップ)。
[ミッドレンジバッテリー]
加速:0-60mph 5.6秒
最高速度:125mph(約201km/h)
駆動方式:RWD
航続距離:260mph(約418km)
価格:4万6000ドル(約519万円)
[ロングレンジバッテリー]
加速:0-60mph 4.5秒
最高速度:145mph(約233km/h)
駆動方式:AWD
航続距離:310mph(約498km)
価格:5万3000ドル(約598万円)
[パフォーマンスバッテリー]
加速:0-60mph 3.3秒
最高速度:155mph(約249km/h)
駆動方式:AWD
航続距離:310mph(約498km)
価格:6万4000ドル(約723万円)
吉田氏によると、「モデルSやXと同様パワートレインに関して一切妥協はなく、また、そのデザインも非常にシンプルに仕上がっています」という。

特にインテリアは印象的だ。基本的には15インチのセンターディスプレイ以外は何も見当たらず、ここにスピードメーターなども表示される。また、このディスプレイでエアコンの風向きの調整なども行うことが可能となっている。テスラ・モーターズ・ジャパンマーケティングマネージャーの前田謙一郎氏は、「ステアリングにもスイッチは2つしかありませんので、かなりミニマリズムを追求したデザインです」とし、そのターゲットとなるユーザー層は、「デザインにすごくこだわりを持っており、かつ走りにもこだわっている方。航続距離も400kmを超えていますので、EVを普通のクルマとして乗りたい方はかなりお勧めです」とコメント。「例えばお洒落なカフェなどで仕事をする”ノマド”のような人たちに乗ってもらいたいクルマですね」とのことだった。
安全面においては、NHTSA(米国運輸省道路交通安全局)が行ったテストでは、「モデル3が一番安全だという結果が出ており、2位、3位ともテスラです。特に側突において乗員の安全は非常に高く保たれており、大きな要因は床に敷き詰められているバッテリーにあります。これにより、航続距離が伸びるとともに、側方衝突安全になる、さらに重心も下がると良いことばかり。非常に良い基本設計のクルマということがいえるでしょう」(吉田氏)とした。
意味のある所から電気化

テスラという会社について吉田氏は、「持続可能なエネルギーへ、世界の意向を加速するというキーワードで仕事をしています」という。「持続可能エネルギーを言い換えると化石燃料から脱出する、脱却するという世の中の動きを我々が手助けするということです。そこで我々が提供する商品は、電気自動車、蓄電池、そしてソーラールーフを用いた発電となります。世界で使われている化石燃料のだいたい半分から6割ぐらいが輸送もしくは発電に使われているのですが、それを我々が手がけることで再生可能エネルギーへの移行を手助けするということを考え、この3つの事業に取り組んでいるのです」と同社の姿勢を説明。
現在日本で販売している車両は大型セダンのモデルSと大型SUVモデルXの2種類。吉田氏は、「大きいクルマは快適だが燃費が悪いでしょう。それをふまえてまずは燃費の悪いところから是非変えていこうとしました。そして今回投入するモデル3が普及版ということで、量産としてよりマーケットの大きいところに食い込んでいくことを考えています。このように戦略的に意味のあるところから、意味の強いところから電気化しているのです」とした。
オートパイロットは適宜アップデート
テスラの各モデルには高速通信ができる小さな携帯電話が搭載されている。これは常にテスラのサーバーと繋がっており、最新のソフトウェアがダウンロードされるようになっているという。「例えば携帯電話やスマホなどはそうなっていますでしょう。我々のクルマもそれと同じことができるということです」と吉田氏は述べる。
このワイヤレスアップデートでは様々なシステムのアップデートが行われるが、その中で最も恩恵を受けているのは”オートパイロット(運転補助機能)”だ。クルマの周辺にあるものをカメラやレーダーが検知して、周囲の状況を確認し、安全に快適に走ることができるようにしている機能で、ソフトウェアをアップデートさせることで進化させている。実は、この逆もあるという。「クルマ側で取得したデータをフィードバックし、それによってさらに開発が進められてもいます」と両方向通信が行われていることを語る。
このオートパイロットについて吉田氏は、「ハードウェアとしてカメラが8個、センサーが20個くらい搭載されています(モデルSとX)。そこで得られた画像なりデータを処理してクルマを制御する性能の高い半導体チップも搭載されています。実はこれらハードウェアの性能はソフトウェアでできることの限界を超えたところにあるのです。従って今現在のクルマのハードウェアで完全自動運転をやろうと思えば、“かなりいいところまで”できるのですが、法規制やソフトウェアの完全な安全を考えた時に、今のところは運転補助機能に留められています。ただし未来のフル自動運転が来た暁にはまたこのワイヤレスアップデートにて完全自動運転ができるようになるでしょう」と述べた。
モデル3の日本での予約は開始されており、納車は2019年後半以降が予定されている。仕様が決定していないため、まずはデポジットを支払い購入する権利を得るところからスタートしている。
テスラ・モータース・ジャパンカントリーセールスダイレクター 吉田篤司氏