輸入車
更新日:2019.08.22 / 掲載日:2019.06.20

【試乗レポート フィアット・500X】新エンジンで走りが楽しい! スマホ連携機能も搭載

500X クロス

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス

 あまり日本では話題になっていないが、今年フィアットは1899年の創業から120周年を迎えた。それを祝って先のジュネーブモーターショーでは記念モデルを発表している。ベースとなったのはフィアット500(チンクエチェント)。それをクールにお化粧し、120thの文字を付けた。そんなフィアットの今年の目玉のひとつがコンパクトSUVの500Xかもしれない。一見して「どこが変わったの?」という声が聞こえてきそうなマイナーチェンジだが、この機会に新エンジンが搭載されたのはニュース。その意味でも500Xの出来が近未来のフィアットの出来栄えを占うとも言えそうだ。

500のデザインを取り入れた小型SUV的モデル

 従来型フィアット500Xの日本発売は2015年だったと記憶する。基本的なプラットフォームを共有するジープ・レネゲードと同じ年の導入だったこともあり、それほど派手なコミュニケーション戦略にはならなかった。ただ、個人的にフィアット500を所有する立場から言わせてもらうと、かなり気になっていたのは事実。MINIクロスオーバーの成功例から鑑みても破壊力はありそうに思えた。現実にはそこまでのヒットには至っていないが、まわりを見渡すと友人の何人かは購入している。

新型を見分けるポイントはヘッドライト

 さて、新型に話を進めよう。
 トピックスは、先に記した新エンジンの搭載とLEDになったヘッドライト、その周辺のデザイン変更、それと価格設定あたり。どれも気になるポイントだ。そしてグレードは2つでスタンダードの500Xと500Xクロスになる。ともに前輪駆動なので、これをきっかけに日本仕様のカタログから4WDモデルは消えたことになる。

排気量を小さくし低燃費としながらパフォーマンスは向上

 新エンジンは1.3L直4ターボユニットで、「Fire Fly(ファイアフライ)」と呼ばれる。燃焼室の形状変更や吸気系のマルチエアを進化させたもの。既存の1.4Lユニットに対し、排気量を小さくしたにも関わらず、最高出力は11馬力アップの151馬力、トルクも20Nm(2kgm)増やして270Nm(27.5kgm)としている。さらにいえば、燃費も10%近くよくなっているそうだ。
 ちなみに、このエンジンは500Xと同時にジープ・レネゲードにも搭載される。小排気量ターボエンジンが主流のいま、FCAグループ内で今後さらに拡大されるのは間違いないだろう。ベースエンジンと考えればアバルトでも十分使えそうだ。

従来モデルよりもハンドリングの印象がいい

 では実際に走らせた印象をお届けしよう。まず、走り出してすぐに感じたのはハンドリングの気持ちよさ。これまでとは違い、そこにキビキビした歯切れのよさがある。その要因はボディ剛性の高さ、それとサスペンション周りのしっかりした取り付けにあると思う。今回その辺はアナウンスされていないが、手が入っているのは間違いない。この気持ちよさこそイタリア車の醍醐味といったところだ。
 そして新しくなったエンジンもかなりいい。これまで以上に力強く、いいタイミングでパワーが引き出せる。低回転域でのトルク発生も関係するが、そこからの吹け上がりに抑揚があるのがわかる。このフィーリングを好きな人は多いだろう。また、これには6速のデュアルクラッチ式トランスミッションによる貢献を忘れてはならない。速度に対するシフトアップのタイミングがいいことも気持ちのいいドライブフィールを演出してくれる要因のひとつだ。これならわざわざパドルシフトに頼る運転は必要ない。

上級モデルは魅力的な装備が標準となる

 ところで、試乗した500Xクロスには様々な装備が標準で装備されている。LEDヘッドライトにレザーシート、パドルシフト、アダプティブクルーズコントロール、ブラインドスポットモニター、フロントパーキングセンターなどだ。ホイールは17インチでかっこいい15本スポークのアルミ製を標準とする。それで価格は334万円。従来型の上級グレードと同等におさえられた。
 ラインアップは「500Xクロス」を上級グレードとし、エントリーグレードに298万円の「500X」が用意される。300万円を切るというプライスはたしかに魅力だが、前述した装備類がオプションであったりホイールが16インチであることからも、じつはお値打ち価格は「500Xクロス」だと思われる。「あるといいな」があるのだから。

スマホとリンクする7インチタッチパネルも新採用

 とにもかくにも、走らせたフィーリングがスッキリとしたものに進化したことで、運転するのがより一層楽しくなった500X。このサイズのSUVをお探しの方には朗報に違いない。そうそう、インフォテインメントまわりの進化も見逃せないところ。従来ではナビを使うには別体のポータブルナビを取り付けるしかなかったが、新型には7インチタッチパネルモニター採用のインフォテインメントシステム「Uconnect」が搭載されている。ナビ機能こそ備わらないものの、「Apple CarPlay」と「Android Auto」に対応しているのでそこはご心配なく。もちろん、スマホがないと使えません。ガラケーの方は500Xの購入を機にスマホに買い替えなんてのもグッドな理由になるかも。

フィアット 500X クロス(6速AT・デュアルクラッチオートマチック)

全長×全幅×全高 4280×1795×1610mm
ホイールベース 2570mm
トレッド前後 1545mm
車両重量 1440kg
エンジン 直4マルチエアターボ
総排気量 1331cc
最高出力 151ps/5500rpm
最大トルク 27.5kgm/1850rpm
サスペンション前後 ストラット
ブレーキ前・後 Vディスク/ディスク
タイヤ前後 215/55R17



 

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グーネットマガジン編集部

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