輸入車
更新日:2020.11.04 / 掲載日:2020.11.04
LONDON TAXI IS NOW IN JAPAN!
新車価格:1120万円(タクシーとして使用する場合は各種補助金が適用され、たとえば東京都なら実質756万円となる)
文と写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2020年12月号の内容です)
問い合わせ●LEVCジャパン TEL:050-6875-6801 URL:https://levc.jp
実際にロンドンを訪れたことがある人はもちろん、イギリスを舞台にしたテレビドラマや映画のなかで黒塗りの背が高いタクシーを目にしたことはあるだろう。そのロンドンタクシーが進化を遂げ、今年日本に上陸。実際に試乗する機会を得た。
東京ではジャパンタクシーがその数を伸ばしているが、ニューヨークのイエローキャブと並び、このタクシーはロンドンの風物詩。1948年のオースチン「FX3」に始まり、「FX4」が1958年~1997年という長きにわたり活躍。そして、この新型はボルボも傘下に収めるGeelyホールディングスのLEVC(ロンドン EV カンパニー)が新たに製造し、「ロンドンタクシー TX」と呼ばれる。
「ロンドンタクシー TX」は、2007年に英国に導入されたモデル(TX4)と外観は大きく変わらず、ひと目でそれとわかる親しみのあるデザイン。しかし、中身は新時代を見据えたプラグインハイブリッドとなっている。ボルボ製の3気筒1.5Lガソリンを搭載し、エンジンは発電のみに使われるシリーズハイブリッドとなる。EV走行距離は100km以上、満タン30Lのガソリンと合わせると、500km以上の航続距離を実現。
ボディは基本骨格がアルミ製で、外板は耐久性と耐候性に優れた特殊繊維素材。ボディサイズは全長4855mm×全幅2036mm(ミラー格納時1874mm)×全高1880mmと大柄だが、このサイズの恩恵は、そのまま室内の広さに直結している。車いすユーザーを素早く乗せることができるうえ、車いすが乗る場合でも、ほかに3人まで乗車するスペースが確保されているのだ。ちなみに、前輪の切れ角が大きく、最小回転半径は4.01mを実現。
駆動はモーターでリアデフと一体になった後輪駆動。ハイブリッドシステムは「EVモード」のほかに速度域やバッテリー残量などによってEV走行とHV走行を切り替える「スマートモード」、市街地での走行などに備え、バッテリー残量を温存する「セーブモード」が用意される。
その走りは、重厚感がありしっとりとしたもの。完全EVモードでは、下手な高級車顔負けのライドフィールを誇る。また、運転席と後部席の間がパーテーションで仕切られており、エアコンも別々のため、昨今のコロナ禍でも安心できる構造となっている(専用のインターホンで会話)。
リアシートはセミセパレートタイプの3人掛け。フロントシートの背面にも3席の折りたたみ式シートが搭載され(車いす乗車時を想定し、通常はたたまれた状態)、6名が乗車可能。ドアは観音開きで乗降性の向上を図っている。
スライド式のスロープを搭載しているのはさすがで、欧州のバリアフリー意識の高さを示す。最大で250kgまでの重量に耐えられるこのスロープは、何より展開の素早さ、操作の手軽さに感心させられる。
グリル横の充電プラグで急速充電も行える。搭載される60kWリチウムイオンバッテリーは水冷式だ。
レンジエクステンダーシステム。ボルボ製の1.5L3気筒ターボエンジンで発電し100%モーター駆動。
他車にはない「ロンドンタクシーTX」の美点のひとつが、車いす乗車が非常にスムーズに行え、かつ車いすユーザー以外に3人の大人が乗れるということ。介護タクシーとしても使えるパフォーマンスを持っている。