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更新日:2020.11.26 / 掲載日:2020.11.19

【試乗レポート メルセデス・ベンツ Eクラス】改良モデル一気乗りで、ベスト・バイを探す

文●大音安弘 写真●ユニット・コンパス

 メルセデス・ベンツの中核的モデル「Eクラス」がマイナーチェンジを受けた。そのニュースを耳にした際に思い出されたのが、先代Eクラスのマイチェンだ。個性的な4灯式ヘッドライトを備えた先代Eクラスだったが、2013年のビックマイナーチェンジで激変。落ち着きのあるフロントマスクへのフェイスリフトを行うなど、イメージチェンジが図られた。しかし、それだけにとどまらず、同時に各部も徹底的に改良。その変更箇所は2000箇所以上となると伝えられ、我々を驚かせた。そこまでやるかと思ったが、それはメルセデス・ベンツの中で、Eクラスの存在の大きさを知らしめるものでもあった。

スポーティなルックスに生まれ変わった

セダンとステーションワゴンにスポーティな「AMGラインエクステリア」を標準化

セダンとステーションワゴンにスポーティな「AMGラインエクステリア」を標準化

 2016年に発売された現行型Eクラスは、上級車らしいエレガントなスタイルへと進化。時代の流れを受けて、主力エンジンが2Lにダウンサイズしたことも話題となった。そんなEクラスの魅力は、フォーマルサルーンらしい高い静粛性と快適な乗り味にあったが、裏を返せば、ビジネスサルーンらしいオーソドックスが際立ってもいた。

 初のマイナーチェンジを迎えた新型Eクラスの特徴は、ずばりスタイリングの若返りにある。セダンとステーションワゴンにスポーティな「AMGラインエクステリア」を標準化。フォーマルマスクを「エクスクルーシブ」のみとした。これは日本でのEクラスの活躍が、ドライバーズカー中心であることを意識したものだろう。前後のライトデザインも一新されたため、顔つきもかなり精悍となっている。

 その恩恵を最も受けるのは、セダンだ。ステーションワゴンも同じくスポーティな装いとはなったものの、自慢の大きなラゲッジスペースが、やはり落ち着きあるたたずまいに移る。一方、セダンは、持ち味の長いボンネットと短いトランクによって構成されるスポーティなシルエットが新デザインで際立ったように思えるのだ。

「MBUX」を始め、メルセデスの最新技術を投入

新デザインのステアリングを採用したインテリア

新デザインのステアリングを採用したインテリア

 インテリアは、現行型をベースに、インフォテインメントシステムなどの機能のアップデートを図ったものだが、すっきりとした直線的なダッシュボードデザインを受け継いでいるので、サイズの割に車両感覚が掴みやすい美点はそのままだ。新機能としては、対話型インフォテインメントシステム「MBUX」や直感的にルート案内が理解できるAR表示を可能としたナビゲーションシステム、新デザインのステアリングなどを採用している。

  • Eクラス セダン フロントシート

    Eクラス セダン フロントシート

  • Eクラス セダン リヤシート

    Eクラス セダン リヤシート

  • Eクラス セダン ラゲッジルーム

    Eクラス セダン ラゲッジルーム

バリエーションモデル一気乗りでわかった新型Eクラスの個性

「E 200」と「E 300」とでは、エンジン出力だけでなく、サスペンションも異なる

「E 200」と「E 300」とでは、エンジン出力だけでなく、サスペンションも異なる

 今回の試乗会では、充実のボディバリエーションを誇るEクラスファミリーのセダン、ステーションワゴン、クーペ、カブリオレの4タイプが揃っていた。残すは、クロスオーバーワゴン「オールテレイン」のみである。因みに、ボディバリエーションを5タイプも揃えるのは、メルセデスの中でもEクラスだけ。日本だとCクラスとSクラスに挟まれ、やや存在感が薄いが、世界ではマルチラウンドプレイヤーとして活躍するため、よりモデルが細分化されているのだ。

 試乗車のパワートレインは、4気筒のガソリンエンジンが2種類。セダンとステーションワゴンには、主力となるマイルドハイブリッド仕様の1.5Lターボの「E 200 スポーツ」を、モデルラインの中でも、より上級に収まる「クーペ」と「カブリオレ」には、2Lターボの「E 300 スポーツ」を用意され、これらを一気乗りすることができた。

 オールテレインを除き、全ボディに設定される「E 200 スポーツ」は、最高出力184馬力、最大トルク28.6kgmを発揮。そこに10kW/3.9kgmのモーターがアシストを行う。E200スポーツのマイルドハイブリッドは、モーター走行は出来ないが、発電機とスターターを兼ねるモーター(BSG)が備わり、加速のアシストや減速時のエネルギー回生、エンジンの始動を行う。もっともエンジンスペックは十分なものを備えるので、5m弱と1.7tを超えるボディを悠々と走らせる。

 ではBSGの恩恵はいつ感じられるか。それはEクラスらしい静粛性を際立だせることだ。アイドリングストップからの再始動に、スターターモーターではなく、ベルトを介してモーターでクランクシャフトを回すことで、静かでスムーズなアイドリングストップからの立ち上がりを実現。もちろん、アシストが行われる加速時は、その分、エンジンの軽やかさが際立つ。BSGは、小型エンジンでも、Eクラスの風格を支える縁の下の力持ちといったところだ。


 そうなると、「E 300 スポーツ」はどうなのか。こちらも1.5Lとの差を見せつけてくれる。500ccの排気量アップに加え、可変バルブタイミング機構とツインスクロールターボで武装し、最高出力258馬力、最大トルク37.7kgmを発揮。Eクラスだけに、巡行時は極めて上品に振舞うが、鞭をふるえば、強烈な加速を味わえる。もちろんEクラスはエンジンバリエーションも豊富で、更なる猛者も控えているが、日常で刺激を味わうには、「E 300 スポーツ」で十分。いやその範囲を上回るものを持つ。また4気筒らしい軽快な回転フィールも持ち味で、排気音もややスポーティさが演出されている。

 サスペンションは、「E 200 スポーツ」がバネサス、「E 300 スポーツ」がエアサスとなる。バネサスは、よりしっかり感が強調された印象で、バネサスでも快適であると同時にドイツ車らしい引き締まった乗り味が演出されているなと感じた。一方、エアサスは、設定を変化させることができるので、コンフォートにもスポーツにも振ることが出来る欲張りな存在だ。グレードでサスペンション仕様は固定となるのだが、いずれも不満を感じるシーンはないはずだ。

オンオフを問わず活躍する万能なEクラス ステーションワゴン

Eクラス ステーションワゴン

Eクラス ステーションワゴン

  • Eクラス ステーションワゴン リヤスタイル

    Eクラス ステーションワゴン リヤスタイル

  • Eクラス ステーションワゴン フロントシート

    Eクラス ステーションワゴン フロントシート

  • Eクラス ステーションワゴン ラゲッジルーム

    Eクラス ステーションワゴン ラゲッジルーム

Eクラス クーペは、ラインナップでもっとも走りがスポーティ

Eクラス クーペ

Eクラス クーペ

  • Eクラス クーペ リヤスタイル

    Eクラス クーペ リヤスタイル

  • Eクラス クーペ インテリア

    Eクラス クーペ インテリア

  • Eクラス クーペ フロントシート

    Eクラス クーペ フロントシート

エレガントかつラグジュアリーな世界が広がるEクラス カブリオレ

Eクラス カブリオレ

Eクラス カブリオレ

  • Eクラス カブリオレ リヤスタイル

    Eクラス カブリオレ リヤスタイル

  • Eクラス カブリオレ インテリア

    Eクラス カブリオレ インテリア

  • Eクラス カブリオレ フロントシート

    Eクラス カブリオレ フロントシート

自動車ライター 大音氏の新型Eクラス ベスト・バイはセダンの「E 200」

自動車ライター 大音氏のベスト・バイは「E 200 スポーツ」

自動車ライター 大音氏のベスト・バイは「E 200 スポーツ」

 Eクラスとなれば、贅沢にクーペやカブリオレを選びたいのが本音だが、コストパフォーマンスと万能さでいえば、やはりセダン。それもエントリーとなる「E 200 スポーツ」がベスト・バイだ。このクラスならではの標準装備の豪華さと高級車らしい性能を持ちながら、シリーズで最も価格を抑えているからだ。確かにステーションワゴンはより多くのシーンにマッチするが、そこまで積載能力に拘らないなら、若々しさを備えたセダンの方がお仕事感もなく、オーナーカーに相応しい。上を見たらキリがない高級車だが、足元をしっかり固めているのも、Eクラスがベストセラーたる由縁だろう。

メルセデス・ベンツ E 200 スポーツ(9速AT)

■全長×全幅×全高:4940×1850×1455mm
■ホイールベース:2940mm
■トレッド前/後:1600/1590mm
■車両重量:1720kg
■エンジン:直4DOHCターボ
■総排気量:1496cc
■最高出力:184ps/5800-6100rpm
■最大トルク:28.6kgm/3000-4000rpm
■サスペンション前/後:4リンク/マルチリンク
■ブレーキ前後:Vディスク
■タイヤ前・後:245/40R19・275/35R19

メルセデス・ベンツ Eクラスのカタログ情報はこちら

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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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