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更新日:2021.01.04 / 掲載日:2020.12.28

【試乗レポート DSオートモーティブ DS 3 クロスバック E-TENSE】

DSオートモーティブ DS 3 クロスバック E-TENSE

DSオートモーティブ DS 3 クロスバック E-TENSE

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス

 DSオートモーティブの試乗会が行われた。DSをあらためて言うとシトロエンから派生したブランドで、PSAグループの一員。フランスの高級車復活の狼煙を掲げて旗揚げされた。

 試乗車はDS 3 クロスバックとDS 7 クロスバック、それと目玉となるDS 3 クロスバック E-TENSEのEV(電気自動車)版、E-TENSE(イーテンス)だ。E-TENSEは昨年ワールドプレミアされ、日本では今年7月に販売を開始したモデル。電動化はフランス車業界にもしっかり波及している。

電動化モデル用プラットフォームの採用で優れたパッケージングを実現

電動プラットフォームeCMPは、床下などにバッテリーを分散して搭載するため、居住性はガソリン版と同等

電動プラットフォームeCMPは、床下などにバッテリーを分散して搭載するため、居住性はガソリン版と同等

 DS 3 クロスバック E-TENSEを簡単に説明すると、リチウムイオン電池を搭載した完全なEV。動力用や充電用の内燃機関は積んでいない。フロントのモーターで前輪を駆動させて走るコンパクトSUVとなる。補器類を含めエンジンコンパートメントいっぱいのユニットを見ると、まるでFFパッケージングのガソリン車のようだ。

 そのプラットフォームはDS 3 クロスバックに採用されるCMP(コモンモジュールプラットフォーム)をEV用に設計し直したもの。名前をeCMPという。特徴はリチウムイオン電池の分散化で、うまい具合にフロア下やリアシート下などに積んだ。利点は、トランクやキャビンの容量を妨げないこと。パズルのように電池をはめ込みそれを実現している。ガソリン車と比べても使い勝手にネガティブ要素はない。

  • DS 3 クロスバック E-TENSE フロント

    DS 3 クロスバック E-TENSE フロント

  • DS 3 クロスバック E-TENSE サイド

    DS 3 クロスバック E-TENSE サイド

  • DS 3 クロスバック E-TENSE リヤ

    DS 3 クロスバック E-TENSE リヤ

電池の重さを感じさせない軽快なフットワーク

まるでゴーカートのような重心が低く、路面に張り付くような走りを見せる

まるでゴーカートのような重心が低く、路面に張り付くような走りを見せる

 では実際に走らせるとどうか。印象はかなりいい。EVにありがちな電池の重さによる多少の重ったるさを覚悟していたが、それがないのに驚いた。アクセルに対しモーターのチカラでグイッと走り出し、そのまま意外なほど軽快に街中を駆ける。思うに低い重心のままサスペンションをあまり動かさずにセッティングしているのではないだろうか。そしてドライバーを重心に近い位置に座らせる。そうすればゴーカートのようなスッキリした走りを手に入れるのはそう難しくない。最近大型SUVのEVによく乗るが、それとは別物だ。背の高いクルマがいくら重心を低くしても、このサイズには敵わない。

小型SUVとは思えないエレガントな世界観が魅力

DS 3 クロスバック E-TENSE インテリア

DS 3 クロスバック E-TENSE インテリア

 それになにより、このクルマはデザインが素晴らしい。DS 3 クロスバックともども独特な世界観を演出している。それはまるでフランスのエレガントさを現代的に解釈したような仕上がりだ。特にインテリアは目を引く。菱形をモチーフにしたダッシュパネルやドアトリム、シートの印象は素晴らしい。他のメーカーは手を出せないデザインだ。個人的にDS 7 スポーツバックをしばらく乗っていたこともあり、ここは多くの人に知っていただきたい部分である。言いたいのはまさに「クラスレス」。DSブランドのクルマはどれもクラスを超えたエレガントさがある。この辺は日本車やドイツ車とはまったく異なるセンスに基づいている。

  • DS 3 クロスバック E-TENSE 1列目シート

    DS 3 クロスバック E-TENSE 1列目シート

  • DS 3 クロスバック E-TENSE 2列目シート

    DS 3 クロスバック E-TENSE 2列目シート

  • DS 3 クロスバック E-TENSE ラゲッジルーム

    DS 3 クロスバック E-TENSE ラゲッジルーム

DS 3 クロスバック E-TENSE グランシック(電気式CVT)

全長×全幅×全高 4120×1790×1550mm
ホイールベース 2560mm
トレッド前/後 1540/1550mm
車両重量 1580kg
モーター最高出力 136ps/5500rpm
モーター最大トルク 26.5kgm/300-3674rpm
サスペンション前/後 ストラット/トーションビーム
ブレーキ前/後 Vディスク/ディスク
タイヤ前/後 215/55R18

ガソリン版DS 3 クロスバックの出来の良さを再確認

 ついでにEVではないガソリンエンジンのDS 3 クロスバックの走りに言及すると、そのテイストは言わずもがなのフレンチハッチ。軽快なハンドリングでキビキビと小気味よく走り続ける。1.2L直3ターボのフィーリングはなかなかのものだ。吹け上がりがスマートで気持ちがいい。8速ATとの相性もいい。というか、7速と8速はオーバードライブだから高速走行では好燃費が期待できそうである。

  • DS 3 クロスバック リヤ

    DS 3 クロスバック リヤ

  • DS 3 クロスバック インテリア

    DS 3 クロスバック インテリア

  • DS 3 クロスバック 1列目シート

    DS 3 クロスバック 1列目シート

  • DS 3 クロスバック 2列目シート

    DS 3 クロスバック 2列目シート

  • DS 3 クロスバック ラゲッジルーム

    DS 3 クロスバック ラゲッジルーム

  • DS 3 クロスバック エンジンルーム

    DS 3 クロスバック エンジンルーム

DS 3 クロスバック グランシック(8速AT)

全長×全幅×全高 4120×1790×1550mm
ホイールベース 2560mm
トレッド前/後 1540/1550mm
車両重量 1280kg
エンジン形式 直列3気筒DOHCターボエンジン排気量 1199cc最高出力 130ps/5500rpm
最大トルク 23.5kgm/1750rpm
サスペンション前/後 ストラット/トーションビーム
ブレーキ前/後 Vディスク/ディスク
タイヤ前/後 215/55R18

DS 7 クロスバックには、DSブランドの魅力が詰まっている

DS 7 クロスバック

DS 7 クロスバック

 最後にDS 7 クロスバックについてだが、このクルマの美点はいくつもある。エクステリア、インテリアデザインはもちろん、ガソリン、ディーゼルともどもパワーソースに不服はない。それよりも今回あらためて目を奪われたのはポジションランプの美しさ。絶妙に配置されたLEDのポジションランプが他のクルマとはまったく異なる妖艶な世界を演出する。いやはや大人。DSブランドはまだまだ認知が低いだろうが、その辺から興味を持っていただけたら嬉しい。これまでのどのクルマとも違う大人のエレガントなワールドがあなたを待っている、という感じである。

  • DS 7 クロスバック インテリア

    DS 7 クロスバック インテリア

  • DS 7 クロスバック 1列目シート

    DS 7 クロスバック 1列目シート

  • DS 7 クロスバック 2列目シート

    DS 7 クロスバック 2列目シート

  • DS 7 クロスバック ラゲッジルーム

    DS 7 クロスバック ラゲッジルーム

  • 時計はエンジン・オンで回転しながら現れる

    時計はエンジン・オンで回転しながら現れる

  • DS 7 クロスバック リヤ

    DS 7 クロスバック リヤ

DS 7 クロスバック グランシック BlueHDi(8速AT)

全長×全幅×全高 4590×1895×1635mm
ホイールベース 2730mm
トレッド前/後 1625/1605mm
車両重量 1700kg
エンジン形式 直列4気筒DOHCディーゼルターボエンジン排気量 1997cc最高出力 177ps/3750rpm
最大トルク 40.8kgm/2000rpm
サスペンション前/後 ストラット/マルチリンク
ブレーキ前/後 Vディスク/ディスク
タイヤ前/後 235/45R20

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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