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更新日:2021.06.09 / 掲載日:2021.06.09
ポルシェ911 GT3カップ 購入申し込みを開始 ポルシェカレラカップジャパン競技用車両

ポルシェジャパン株式会社は、ポルシェカレラカップジャパン(PCCJ)の競技車両である「911 GT3カップ」(タイプ992)の購入申し込みを6月9日開始した。希望小売価格は34,650,000円(消費税込)。
なお、ポルシェジャパンがデリバリーする911 GT3 Cup車両は、PCCJ 2022年シーズンへのフル参戦が義務付けられる。購入希望の場合は、6月23日(水)までにポルシェカレラカップジャパン事務局へ問い合わせの上、所定の車両購入申込書にて申し込みが必要となる。

最新世代であるタイプ992の911 GT3カップは、現行型911である992世代をベースにした最初のレーシングカーで、ワイドなターボ仕様のボディを備えたワンメイクカップ用マシンだ。先代を25PS上回る375kW(510PS)の最高出力を発生しながらも、合成燃料の使用が可能なため、レース条件下でのCO2排出量を大幅に削減することができる。ラップタイムは、サーキットのレイアウトに応じて1%まで短縮される。
ポルシェは1990年に、ポルシェカレラカップドイツのデビューシーズンに向けて最初の911カップカーを発表。964世代をベースにしたモデルの最高出力は260PSだった。1993年からは、F1サポートプログラムの一環として新設されたポルシェスーパーカップも開始した。このレーシングカーは現在までに 4,251 台が生産され、タイプ992で第7世代となる。
ポルシェモータースポーツのセールスディレクターを務めるミハエル・ドライザーは「新型911 GT3カップは、911をベースとした911カップカーの歴史に新しい章を開く。私達の目標は、今後の数年間で累計生産台数5,000台を超え、代々のモデルと同様にプロのモータースポーツへの道を歩む新世代の才能あるレーシングドライバーを支援し、世界中のカスタマーモータースポーツの顔となることにある」と述べた。

新型911 GT3カップは2018年にデビューしたタイプ992の911カレラをベースに、2019年初めに具体的な開発が始まった。プロジェクトマネージャーのヤン・フェルトマンが率いるチームの主な開発目標は、時間とメンテナンスの費用を抑えながらパフォーマンスを高めて、さらにアグレッシブなデザイン、より素直なハンドリング、優れた耐久性を実現することにあった。新しいレーシングカーの多くの側面にその結果が反映されており、これまでと同じくシュトゥットガルトのツッフェンハウゼン工場にて、市販の911と同じラインで生産されている。
「新型911 GT3カップをプロフェッショナルレーシングカーとしてさらに位置づけると同時に、チームが使用する際の費用対効果を高めたいと考えた。私達は、目を見張るような外観、サスペンションの改良、および電装品の課題解決によって、その実現に成功した。911 GT3カップのハンドリングは、いっそう精確で楽しいものになった。性能の改善とコックピットの最適化によって、ポルシェがこれまでに製造した中で最高のカップカーになった」とフェルトマンは説明する。

911 GT3カップの最も魅力的な特徴のひとつが、最適化されたエアロダイナミクスと、一見して印象的な力感あふれる外観だ。カップカーに初めて採用されたワイドなターボ仕様軽量ボディもこれに寄与している。全幅は先代のリア幅を28mm上回る1,902mmで、ホイールの前に追加された冷却空気のインレットが特徴。さらに911 GT3カップはフロントアクスルも大幅にワイドになり、フレアフェンダーの追加によってフロントアクスルの寸法が1,920mmになった。これにより、フロントに12インチ幅のリムとリアに13インチの調和のとれたホイールとタイヤの組み合わせが可能に。これはGTレース特有で、レーシングカーのハンドリングとドライバビリティーに好影響を与えるものだ。
同時に、第7世代のカップカーは空力ダウンフォースを著しく増加させている。これは、大型リアウイングを備えたリアスポイラーとレースに適合されたフロントエプロン(フロントリップスポイラーと戦略的に配置されたセパレーションエッジ)の組み合わせによるものだ。「スワンネック」マウントを備え11段階の調整が可能なリアウイングは、連続したウイング下のエアフローを実現している。この空力効率の改善は、特に高速コーナーでの安定したハンドリングも提供してくれる。
991.2世代カップカーのボディは、70%のスチールと30%のアルミニウムで構成されていたが、新型車ではこの比率が入れ替わっている。車両重量の約35kgの増加(乾燥重量1,260kg)は、スチール製セーフティーセルへのストラットの追加などによるもの。取り外し可能なルーフのエスケープハッチは、最新のFIA基準に準拠している。GT3カップの全てのウインドウは軽量ポリカーボネート製で、傷のつきにくいハードコートグレージングが施された。ドア、エンジンフード、リアウイングはカーボンファイバー強化プラスチック製。一方で、独特のエアアウトレットダクトとセンターエアインテークを備えたフロントフードは、911カレラと同様にアルミニウム製で、アクシデントの際の修理費用を削減するだろう。

デザイナーは、特にドライバーの人間工学を考慮した。新しいレーシングシートは、角度に加えて2段階の高さ調節が可能。調整可能なステアリングコラムとの組み合わせで、全てのドライバーの身体に理想的にフィットする。さまざまな厚さのパッドにより、シートを各ドライバーのニーズに合わせることができる。再設計されたオープントップのカーボンファイバー製モータースポーツマルチファンクションステアリングホイールは、911 GT3 Rから採用されている。
ドライバーからのフィードバックを反映して、イルミネーテッドスイッチが再配置された。右側に10個の大型スイッチを備えたラバースイッチパネル(RSP)は、ポルシェ919ハイブリッドのコントロールエレメントを連想させる。レースの暑さの中でも使いやすいこれらのスイッチには、照明や換気、ドライからウェットへのタイヤの設定変更など、中心的機能が割り当てられた。ブレーキバランスの調整は、細部の巧みな強化の例だ。これによって、ブレーキ圧の増減の必要に応じて、RSPの右外側にあるロータリースイッチを使用して、進行方向に対して直感的に制御することができる。

中央に配置された10.3インチカラーモニターが一新された。このモニターはレース中、ドライバーにとって重要なデータと情報の表示を優先する。エンジン回転数の横には、水温と油温、使用中のギア、エラーメッセージ、あるいは雨天時の「ウェット」などの重要なベースライン設定情報が表示される。ドライバーとレースエンジニアが同じ情報を見ることができるように、データの読み出し後のディスプレイとコンピューターモニターの両方のデザインが一致しており、これは各セッション後の分析に役立つだろう。
電子機器は、エラー分析を容易にし、問題解決に具体的に役立つように、使いやすいように設計されている。約700の診断オプションを利用することができ、専用ソフトウェアは、全ての情報を理解しやすく明確に要約する。ABSやトラクションコントロールなどの車両機能も、システムに保存されている。
電子部品の配置に、新型911 GT3カップの繊細なソリューションのもうひとつの例を見ることができる。モータースポーツコントロールユニットとデータロガーが、助手席足元から右側リアコンパートメントに移動したのだ。その結果、同乗走行が必要な場合などに助手席を設置することができるようになった。

911 GT3カップのサスペンションは、最高のレーシングテクノロジーを提供する。リアはプロダクションモデルと基本的に変更されていないが、フロントは、ポルシェの現在のトップレーシングモデルである911 RSRと同様に、ダブルウィッシュボーンとユニボールベアリングによって制御される。これにより、ダンパーは横方向の力を受けずに軸方向の力のみを受けるようになり、さらに精確なターンインが実現されてフロントアクスルの感触が向上する。ショックアブソーバーも、919ハイブリッドと911 RSRから最先端のバルブテクノロジーを受け継いでいる。初めて911 GT3カップに完全電気機械式パワーステアリングが導入されており、油圧ポンプと関連の油圧ラインが不要になったのだ。
新型911 GT3カップも初代カップカーと変わらず自然吸気レーシングエンジンを搭載している。ドライサンプ潤滑方式を備えた高回転ユニットの水冷式4リッター水平対向6気筒エンジンは、先代の7,500rpmより高い8,400rpmで最高出力の375kW(510PS)を発揮する。レブリミットには8,750rpmで達し、6,150rpmで470N・mの最大トルクを発生。2つのレゾナンスフラップを備えたシングルスロットルバタフライシステムは、さらにダイレクトなレスポンスを実現し、触媒コンバーターレーシングエグゾーストシステムとの組み合わせで、荘厳なサウンドを奏でる。レーシングシリーズ、レギュレーション、サーキットに応じて、3種類のエグゾーストシステムから選択することができる。Bosch製MS 6.6電子制御エンジマネジメントシステムも装備されている。

先代と同様に、6気筒エンジンは100時間の走行後にメンテナンスチェックを行うだけで済む。エンジンは、シングルマスフライホイールと3プレート焼結金属レーシングクラッチを介して、72kgの6速ドッグクラッチ式シーケンシャルギアボックスに接続されている。ステアリングホイールのパドルシフトを介してギアシフトが行われ、60時間のレース後にギアボックスの「マイナー点検」が必要になる。これは、ポルシェ・モービル1スーパーカップの約2年に相当し、120時間のレース後に大規模なオーバーホールが予定されている。シフトバレルアクチュエーターは、従来の空気圧ユニットに代わって、電動サーボモーターによって作動。迅速なギアシフト、ライブ診断のオプション、およびギアシフトエラー時などの損傷リスクの低減がそのメリットだ。
購入申し込みおよび車両に関するお問合せ先:
ポルシェカレラカップジャパン事務局(コックス株式会社内)担当:森
TEL:0465-80-3808