輸入車
更新日:2021.12.23 / 掲載日:2021.10.04
フランス車特集/今、フランス車がとっても美味しい

写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2021年11月号の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2021年9月調べ。
近年、フランス車への注目が高まっている。それは、魅力的なモデルが数多く登場してきたからだ。ルノー、プジョー、シトロエン、DS、そしてアルピーヌ。どのブランドのどのモデルも、それぞれキャラクターをしっかり持ち、わかりやすくユーザーにアピールしている。今特集はフランス車好きに加え、これまでフランス車に興味がなかった人にも見ていただきたい。きっとフランス車ワールドに引き込まれるに違いない!
[VISUAL MODEL]ルノー ルーテシア/この価格にして内容は一クラス上
全面刷新を図った5代目は、一クラス上の快適性を目指し、開発。内外装の質感に注力し、上質な作りに。驚くべきは、コンパクトなサイズを維持しながら、車内空間も一クラス上に迫ったこと。しっかりとした走りも持ち味で、1.3Lターボエンジンは力強く文句なし。弱点だった先進機能も強化し、快適機能も充実。最新ルノーの旨味を凝縮した1台だ。
ルノー ルーテシア インテンス(7速AT・EDC) ●全長×全幅×全高:4075×1725×1470mm ●ホイールベース:2585mm ●車両重量:1200kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●排気量:1333cc ●最高出力:131ps/5000rpm ●最大トルク:24.5kgm/1600rpm ●新車価格:236万9000円~276万9000円(ルーテシア 全グレード)
SUV&ミニバンの破壊力

文●大音安弘 写真●ユニット・コンパス
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。
近年、日本市場でも活気があるフランス車の原動力となっているのは、やっぱりSUV! そして、スライドドア付きのコンパクトミニバンも、そこに連なっている。
新たな顧客開拓につながる充実したラインアップ
ほんの少し前までフランス車といえば、通好みなクルマと思われていたが、近年の事情は一変。エントリーとなるコンパクトカーを中心に、新たな顧客の獲得に成功している。
今、フランス車の支持率が高まる理由として、安全装備、デザイン、コスパの3つが挙げられる。これまでフランス車は、先進の安全運転支援機能への対応の遅れが目立ったが、新世代モデルの投入が進むと共に、標準化を一気に進めることで安全性の弱点を克服した。さらにデザインも刷新され、フランス車が得意とする上品な内外装にも磨きが掛けられたことで、感度の高い人たちの関心を集めることにも成功。そしてフランス車には大型車はなく、日本でも扱いやすいサイズの車種が中心。しかも輸入する仕様を絞るために装備を充実させているので、コスパにも優れる。これらの相乗効果が、人気へとつながっているのだ。
現在、日本で販売される主なフランス車は、グループPSA傘下のプジョー、シトロエン、DS。そして、日産の親会社でもあるルノー。その傘下のアルピーヌだ。DSとアルピーヌはラグジュアリー志向だが、それ以外は国民車的ブランドだ。
そんなフランス車のなかで、最も勢いを見せるのがプジョーだ。新たな欧州スタンダードをねらった上質なクルマ作りと、先進的かつ優雅なデザインを武器に新たなファンの獲得に成功。特に力を入れるSUVは、力強さを強調するクロカン風味ではなく洒落た街乗りクロスオーバーというキャラクターのため、セダンやハッチバックの代わりとしても受け入れやすい。しかも同じ傘下のシトロエンとDSもSUVを中心としたラインアップなので、今後さらなる勢いを見せるかもしれない。
その一方で、かつてのフランス車のように質実剛健さを武器とするフランス車も人気を集める。それがフレンチミニバンだ。これまでルノーカングーの一人勝ちだったが、プジョー リフターとシトロエン ベルランゴが新参入。この3台に共通するのは、原点が商用車であること。そのため、機能性も高い。それでいて国産ミニバンにはない走りのよさや洒落っ気もある。来年には新型カングーが上陸予定。この3台の対決にも期待が膨らむばかりだ。
[プジョー 3008]より洗練されモデルの選択肢も広がった

2021年1月のフェイスリフトで、新世代プジョーマスクとなった新型3008。小径ステアリングとデジタルメーターを組み合わせたドライバーズエリア「i-Cockpit」が特徴的。最新型ではガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッドの3つからパワーソースの選択が可能に。エンジン車は前輪駆動だが、新登場のPHEVは、前後にモーターを備えるハイブリッド4WDとなるのも大きな特徴だ。
プジョー 3008 GTハイブリッド4(8速AT) ●全長×全幅×全高:4450×1840×1630mm ●ホイールベース:2675mm ●車両重量:1880kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●排気量:1598cc ●エンジン最高出力:200ps/6000rpm ●エンジン最大トルク:30.6kgm/3000rpm ●モーター最高出力(前/後):110ps/112ps ●モーター最大トルク(前/後):32.6kgm/16.9kgm ●新車価格:397万6000円~595万円(3008 全グレード)

取りまわしに優れる小径ハンドルが特徴的なi-Cockpit。デジタルメーターの表示はグラフィカルで見やすく、各種の表示切替ができる。

MCでシートが刷新され、よりモダンなデザインとなるだけでなく、さらなる快適性も追求。一部を除き、オプションでナッパレザーも用意する。
高性能ディーゼルは、ロングボディの5008も選べる!
プジョー 3008 BlueHDi

最大トルク40.8kgmを発揮する2Lディーゼルターボは、レスポンスがよく、スポーティな走りも得意。猫足と称される軽快なプジョーの走りを支える縁の下の力持ちだ。
プジョー 5008 BlueHDi

プジョー唯一の3列7人乗りの5008も新しいマスクに。主力の2Lディーゼルターボは、フル乗車でもゆとりの走りを提供。後席をすべて倒すと荷室が約1862Lまで拡大。
[ルノー キャプチャー]コスパに優れたコンパクトSUV

先代はカジュアルクロスオーバーという色が強かったが、新型では、上質なシティSUVへと路線を変更。ボディはロングホイールベース化により、後席の居住性が向上。後席はスライドが可能で、荷室の広さを調整できる。走りはルーテシアと差別化され、SUVらしい乗り心地重視の味付けだが、軽快なステアリングにより、コンパクトカーらしい身軽な動きも得意とする。街中でも扱いやすいSUVだ。
ルノー キャプチャー インテンス テックパック(7速AT・EDC) ●全長×全幅×全高:4230×1795×1590mm ●ホイールベース:2640mm ●車両重量:1310kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●排気量:1333cc ●最高出力:154ps/5500rpm ●最大トルク:27.5kgm/1800rpm ●新車価格:299万円~319万円(キャプチャー 全グレード)

内装もシックとなり、上品に。先進機能を含め、装備も大幅向上され、エントリーのインテンスでも十分な内容だ。1.3Lターボは、ルーテシアよりも性能を強化。ラゲッジスペースは、536L~最大1235Lを確保する。
[プジョー リフター&シトロエン ベルランゴ]いまや大人気のコンパクトミニバン

個性派ミニバンとして注目されるリフターとベルランゴは、基本構造を共有するスライドドア付きの5人乗りMPV。積載性と居住性に優れたボクシーなスタイルを持ちながら、欧州車らしい走りのよさと快適な乗り心地が持ち味だ。ポップなデザインのベルランゴは映える存在。一方のリフターはシックに映るが、最低地上高を180mm確保するなど、クロスオーバー仕立てで、アウトドアシーンにも強い。
プジョー リフター アリュール(8速AT) ●全長×全幅×全高:4405×1850×1880mm ●ホイールベース:2785mm ●車両重量:1600kg ●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ ●排気量:1498cc ●最高出力:130ps/ 3750rpm ●最大トルク:30.6kgm/1750rpm ●新車価格:339万円~361万円(リフター 全グレード)

色や装飾など内装に異なる部分もあるが、機能性は共通となるキャビン。頭上には収納スペースを設け、小物を収納。助手席も可倒式となり、長尺物も楽々と飲み込む。後席もしっかりしているので、ロングドライブも楽チンだ。

思わず取り憑かれる走りの奥義

※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。
「スポーツモデルはドイツ車に限る」。そんな先入観をぶち壊してくれるのが、メガーヌR.S.とA110。また、コンパクトモデルたちも、走りの個性には光るものが。
どのモデルにも走りの個性がある
欧州のクルマ好きの期待に応えるべく、モータースポーツに熱心に取り組んできた歴史を持つのが、フランスの自動車メーカーたちだ。その技術を市販車にも惜しみなく投入し、伝統を色濃く反映したピュアエンジン車のスポーツモデルが購入のラストチャンスを迎えている。代表格はルノー メガーヌR.S.だ。かつて大衆車をベースに数々のホットハッチを生み出してきたフランス車らしく、メガーヌハッチバックをベースに、ルノーのモータースポーツ部門「ルノー・スポール」の技術を惜しみなく投入し、磨き上げた逸品。ルノー・スポールは、アルピーヌに吸収されるため、これが最後の作品となる。しかし、アルピーヌも状況は同様だ。今後は電動ハイパフォーマンスブランドにシフトすることが決定しており、ピュアエンジンの現代版A110も、近い将来に生産を終える予定。2台のスポーツモデルは、性格や生い立ちは異なるが、旧来のスポーツモデルの価値を極めた最高傑作といっても過言ではない。今、乗っておくべきクルマたちだろう。
しかし、いずれも高価であるため、万人にオススメできるものではない。そこで注目してほしいのが、フレンチコンパクトたちだ。
プジョー208は、使い切れるエンジンと機敏な身のこなしが持ち味。見た目重視ならば、GT一択となるが、エンジンのスペックは全車共通。むしろコンフォート路線のアリュールやスタイルのソフトな乗り味を活かした走りもフランス車らしい。
続いて、隠れた高性能モデルが、ルノー ルーテシア。じつは一クラス上にも使われる1.3Lターボエンジンを搭載。加速時に重要となる最大トルクは、なんと先代ルーテシアR.S.と同等で、それを受け止めるボディにもゆとりがある。足まわりもドイツ車を彷彿させるしっかりとした味付けなので、新型にR.S.がないのがじつに惜しいと思わせる。
最後が、その可愛さとは裏腹に、元気な走りを見せるシトロエンC3。しかも、ふかふかなシートの恩恵で、ロングドライブでも疲れ知らず。このようにエントリーモデルでも、走りに手抜きなし。旨味もたっぷり。これがクルマ好きがフランス車の虜となる隠し味なのだ。
[ルノー メガーヌ R.S.]知る人は知っている高性能ハッチバック

ニュルFF最速の称号を持つルノーの高性能モデル。仕様は、標準車と足まわりを強化した「トロフィー」の2種類。2021年の改良で、エンジン仕様が全車共通となり、標準車の魅力と刺激が増した。峠やサーキットでの走りが楽しめるクルマだが、運転はしやすく、乗り心地も悪くない。お家事情でルノー・スポール最後のモデルとなる模様。今のうちに乗っておきたい痛快ピュアエンジン車のひとつだ。
ルノー メガーヌ R.S.(6速AT・EDC) ●全長×全幅×全高:4410×1875×1465mm ●ホイールベース:2670mm ●車両重量:1480kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●排気量:1798cc ●最高出力:300ps/6000rpm ●最大トルク:42.8kgm/3200rpm ●新車価格:464万円~504万円(メガーヌ R.S. 全グレード)

好戦的な外観に対して内装は控えめだが、シートやステアリングの形状や質感などはスポーツカーにふさわしいもの。パドル付き6速DCTが基本で、トロフィーには6速MTも用意。
[アルピーヌ A110]現代に蘇ったアルピーヌの名車

往年の名車アルピーヌA110を、現代に蘇らせた軽量で小型のピュアスポーツカー。2座のキャビンの後方にエンジンを載せ、後輪を駆動するミッドシップレイアウトが特徴。軽量化のためにアルミボディを採用するなど、走りを追求した贅沢な作りを持つ。その走りは、軽快かつ刺激的だが、ロングドライブでも疲れにくい一面も。過去のソフトと現代ハードの融合が生んだ夢のスポーツカーだ。
アルピーヌ A110S(7速AT・EDC) ●全長×全幅×全高:4205×1800×1250mm ●ホイールベース:2420mm ●車両重量:1110kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●排気量:1798cc ●最高出力:292ps/6420rpm ●最大トルク:32.6kgm/2000rpm ●新車価格:799万円~864万円(全グレード)

クラシカルなテイストの美しいスタイルの内側は、最新デバイスが満載のコックピットとなる。走りを重視した機能と作りだが、必要な快適装備はしっかりと備える。車内収納は限られ、前後に小さなトランクを持つ。
[プジョー 208]小径ステアリングを握るといつもの道が違って見える

日本でもヒットしたプジョー205を彷彿させるスポーティなデザインが話題のプジョーエントリーモデル。先代同様、208を名乗るが、中身は全面刷新されている。小型ボディと小径ステアリングによる身軽な身のこなしは、街乗りにも最適。i-Cockpitデザインによるインテリアも、フレッシュだ。ボディは5ドアハッチのみで、ガソリン車とEVが選択可能。253.9万円からという価格も魅力的だ。
プジョー 208 GTライン(8速AT) ●全長×全幅×全高:4095×1745×1465mm ●ホイールベース:2540mm ●車両重量:1170kg ●エンジン:直3DOHCターボ ●排気量:1199cc ●最高出力:100ps/5500rpm ●最大トルク:20.9kgm/1750rpm ●新車価格:253万9000円~432万8000円(208 全グレード)

100馬力の1.2Lターボはやや非力だと感じる面もあるが、8速ATがフルに性能を引き出し、元気な走りを見せてくれる。グレードの差は、見た目と装備のみ。コンフォート志向のアリュールであれば満足できる内容だ。
今後日本導入が期待されるニューモデルを紹介 電動化への準備は完了

文●ユニット・コンパス 写真●プジョー、DSオートモービルズ、ルノー
欧州市場の急速な電動化に対応すべく、フレンチブランドも続々とアップデート。そのなかには日本導入が期待されるニューモデルも数多い。従来の魅力に電動化による優れた環境性能を備えた次世代フレンチカーに注目
電動化を前提としたニューモデル開発
気候変動の影響が深刻な欧州では、世界を牽引する形でカーボンニュートラル実現に向けての大転換が始まっている。その真っ只中にいるフレンチブランドも、ニューモデルは電動化を前提としたクルマ作りを行っているのは言うまでもない。
数多くのフレンチブランドが所属するステランティスグループは、去る7月にオンラインイベント「EV DAY 2021」を開催し、その戦略を公開した。それによれば、電動化に向けて今後5年間で3兆9000億円(1ユーロ=130円換算)もの投資を行い、グループのために4つのBEVプラットフォームを開発するという。さらに、BEV用のパワートレインについても出力の異なる3モデルをグループで共用することで、スケールメリットを実現していく。
一方、ルノーも負けていない。7月に行われたオンラインイベント「ルノー Eウェイズ エレクトロポップ」では、2025年までに10モデルのEVを投入する計画を発表。しかもそれらは「市場競争力があり、サステイナブルで大衆的」だという。その第1弾は、ここでも紹介しているメガーヌ Eテックエレクトリック。さらに、より小型なBセグメント用のプラットフォーム「CMF-BEV」も公開。復活のBEV版「5(サンク)」がこれを使用する。シルエットのみの公開となったが「4(キャトル)」を想起させるBEV小型バン「4ever」も開発中だ。
[プジョー 308]伝統的なハッチバックをSUVテイストで料理

実用性に優れたCセグメントカーのハッチバックスタイル、それでありながらSUVのような力強い存在感を与えたという新型308。従来よりも延長されたホイールベースにより室内空間はさらに拡大。そこには新世代のi-Cockpitとi-Connectを搭載。インパネは10インチタッチ対応スクリーンでGTグレードは3D表示となる。操作はスマホライクで、カスタマイズ性も豊富だ。

新世代に進化したインフォテインメントシステムを採用するインテリア。小径ステアリングのi-Cockpitもさらに使いやすく進化しているという。

新型308にはPHVモデルも用意される。電池の空間をできるだけ狭くすることで、室内スペースへの影響を最小化。EV航続可能距離は60㎞。
[プジョー 308 SW]入念に作り込まれたステーションワゴン

プジョーにおけるステーションワゴンの歴史は長く、原初である203から数えると70年もの月日を数える。新型308 SWの魅力は、美しいプロポーションと実用性の両立にある。308と比較してホイールベースは57mm拡大されているため、後席の居住性はそのままにラゲッジ容量は標準状態で608Lと大容量で、シートを展開することで最大1634Lまで拡大する。

内部の空間がスクエアで、開口部も広いラゲッジスペースは、伝統的に実用性を重んじるフランスブランドならではの作り込み。
[DS 4]斬新なスタイルはクーペSUVとハッチバックの融合

2021年2月にDSオートモービル第4弾として発表されたDS 4。プレミアムCセグメントに属するクロスオーバー車で、新世代のデザイン言語を採用。クーペSUVとハッチバック、双方の特徴を備えた新しさを感じさせるプロポーションを特徴とする。ローンチと同時に発売されるプラグインHVに加えてBEV版も計画されており、こちらは2022年の欧州販売を予定している。

エアアウトレットを見せないことで非常にすっきりとした印象を与える室内。コンソールに5インチのタッチスクリーンを配置。
[ルノー メガーヌ Eテック エレクトリック]低い全高で美しさと低燃費を両立させる

IAAでルノーが発表したのが新型メガーヌのBEV。つまり実用車の大本命ともいえるCセグメントカークラスのBEVがお目見えとなった。プラットフォームはルノー、日産、三菱のアライアンスで開発された新世代のCMF-EVで日産アリアと同タイプ。薄型バッテリーのおかげで全高を1500mmに抑えているものポイント。航続可能距離は最大で470km(WLTPモード)としている。

Googleと共同開発したAndroidオートモーティブOSを搭載したインフォテインメントシステムを採用する。
EVキャンピングカーという新提案[5つ星ホテルの快適性]

文●ユニット・コンパス 写真●ルノー
環境問題や感染症など、我々の社会を取り巻く問題は多い。しかし、それをアイデアとテクノロジーでポジティブに変えてしまおうというのが、ルノーが発表したコンセプトモデル「ヒッピー キャビア ホテル」だ。
コロナ渦で需要が増すキャンピングカー
カーボンニュートラルの流れは乗用車だけではなく、当然商用車にも波及している。ルノーはそんな流れをむしろポジティブに捉え、新しい提案を行ってきた。それがこのEVキャンピングカーのコンセプトモデル「ヒッピー キャビア ホテル」。
ベースモデルは、2022年に欧州で登場予定のBEV版トラフィック。欧州では商用車をコンバージョンしたキャンピングカーが人気を集めており、内燃機関版の「トラフィック スペースノマド」は、スイスでのパイロット販売が好調で、2022年から欧州各国に販売が拡大される。コンセプトモデルは、停車時にエンジンをかけることなく豊富な電力が使えるBEVの特徴を生かした快適な空間を作り出した。
そもそもこのコンセプトモデルが誕生するきっかけとなったのが、昨今の新型コロナ。クルマであれば、安全な旅が楽しめるということで、デザインチームは「遊牧生活」をテーマに、5つ星ホテルの客室からインスパイアされた内装デザインを作り上げた。色と素材は1960年代のヒッピー文化から影響を受けたもので、洗練された天然素材を豊富にあしらっている。
日本でもキャンピングカー需要は右肩上がり。自然との距離がさらに近くなりそうなBEVキャンピングカーが登場すれば、その人気はさらに高まるに違いない。

ルーフトップにはコーヒーテーブルが備わり、取り外し式背もたれを設置することで天体観測などのアクティビティを満喫できる。ベースとなっている「トラフィック」のBEV版は2022年に欧州で販売開始される予定。

ベンチシートは取り外し式。車外に移動して使うほか、ベッドにもなる設計。テールゲートにはカーテンが備わるので、解放感とプライバシーを両立する。車内の設えはまさに5つ星ホテル。
フランスの名門アルピーヌの挑戦[古豪復活をかけて]

文●ユニット・コンパス 写真●アルピーヌ
あまり日本では知られていないが、フランスはモータースポーツ大国。なにせ世界で初めてモータースポーツが開催された国でもある。そんなフランスを代表するブランドが、モータースポーツの最前線に帰ってきた。
グループを代表するスポーツカーブランドに
4輪によるモータースポーツ発祥の地であるフランス。自動車競技として最古の記録として残っているのはなんと1894年で、パリを舞台に開催されている。現在でも世界3大レースのひとつであるル・マン24時間レースが開催されているように、フランスはモータースポーツと縁の深い国なのだ。
1955年に誕生したアルピーヌ。そもそもは、ルノーディーラーを経営していたジャン・レデレが大衆車ルノー4CVを改造してミッレミリアに参加したのが始まりだった。ルノーのバックアップを受けながら独自のスポーツカーを生み出したアルピーヌは、1973年に初開催された世界ラリー選手権(WRC)にA110にて出場すると見事にマニュファクチャラーズタイトルを獲得した。その後、ルノーはアルピーヌとゴルディーニを融合させ、モータースポーツ部門であるルノー・スポールを設立する(1976年)。その後ルノー・スポールがF1や耐久レースで活躍したのはご存じのとおり。
そして2021年、ルノーグループは再びモータースポーツの主役としてアルピーヌに白羽の矢を立てた。歴史あるF1チームをアルピーヌに名称変更。さらに1978年以来の総合優勝を目指してル・マン24時間レースにも最速クラスで挑戦した。戦うアルピーヌが帰ってきたのだ。
F1

モータースポーツの最高峰であるF1にも参戦中で、製造者ランキングも5位(9月上旬時点)と健闘。アロンソ選手との2022年シーズンの契約も決定した。

耐久レース

2021年シーズンはA480(ハイパーカークラス)で世界耐久選手権(WEC)に参戦中。ル・マン24時間レースでは総合3位の成績を残している。

ラリー

ラリーフィールドにアルピーヌが帰ってきた。WRCの2輪駆動カテゴリー(R-GT)にA110ラリーが参戦中。2021年は初代A110によるモンテカルロラリー初優勝から50年にあたる記念すべき年だったが、見事クラス優勝を成し遂げている。
ブランド別[今買いのフランス車]フランス車らしさはピカイチ!? シトロエンオーナーになろう

文●ユニット・コンパス
※中古車参考価格はグーネット2021年9月調べ。
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。
人とは違うクルマ選びをしたい人は、個性豊かなフランス車がオススメ。その一方、どれを選んだらいいかわかりにくい一面もあるだろう。今回は主要4ブランド別に、一押しのフランス車をピックアップしてみた。
[シトロエン グランド C4 ピカソ]家族でプチ旅行を楽しめる7人乗りミニバン

13年から18年まで日本で販売されたが、18年以降は「グランド C4 スペースツアラー」という名称になった。ここでは18年以前の中古車動向を探ってみたい。物件数はそれほど多くなく、グーネット では50台以下にとどまる。しかし相場は大きく下がり、100万円前後の物件も少なくない。平均価格は180万円だから、新車時のおよそ半額の予算で探せるようになった。エンジンはガソリンのほうが多く、ディーゼルは相場が高くやや買いにくい状況だ。
中古車参考価格帯:120万円~280万円(※14年~18年 全グレード)

3列シート7人乗りのインテリア。3列目は子供なら十分座れるが、シートをたたんで5人乗りという使い方もいいだろう。ガラス面積が広いため、明るい室内も魅力的。

3列目シートをたたむことで645Lというスペースを確保。2列目をたためば2181Lとなり、かさばる荷物の運搬も可能だ。フラットな床のため、使いやすいのも特徴である。

1.6Lガソリンターボは、165馬力、24.5kgmを発揮(2014年型)。6速ATを組み合わせ、スムーズな走りを楽しめる。このほか、2Lディーゼルも選べる。
2列シート仕様のC4ピカソも設定される[シトロエン C4 ピカソ]

2列シート5人乗りのC4ピカソという選択もある。メカニズムはグランドC4ピカソとほぼ同じなので、ライフスタイルに合わせた選び方ができる。相場も7人乗りと同程度となり、100万円台前半の予算から探せる。
中古車参考価格帯:120万円~230万円(※14年~18年 全グレード)
[シトロエン C3(先代)]50万円以下の予算でねらえるコンパクトカー

2010年に登場した2代目C3もオススメのコンパクトカー。国産車とは一線を画すお洒落なデザインが魅力。インテリアは、パノラミックガラスルーフにより明るく開放感抜群。パワートレインは1.2L直3と1.6L直4から選択できるが、後者のほうが物件は豊富。しかし、いずれも相場はほぼ底値といえる状況で、50万円以下の物件も目立つ。敷居が低いのが魅力といえよう。
中古車参考価格帯:20万円~110万円(※10年~17年 全グレード)

[DS 3]6速MTも選べるスポーティモデル

C3と共通のプラットフォームを持つ高級モデルがDS 3。こちらも当初シトロエンブランドだったが、後にDS専用モデルとなった。注目なのは1.6Lターボ+6速MTのスポーティ仕様が選べること。相場はC3よりやや高めとなっている。
中古車参考価格帯:30万円~270万円(※10年~19年 シトロエンブランドも含む)

[DS 5]ちょっとリッチなスペースツアラー

ステーションワゴンとミニバンを融合させたクロスオーバーモデルがDS 5。当初はシトロエンブランドで販売されたが、後にDSブランドとしてリリース。高級感のある内外装に注目だ。最近は100万円前後でも購入可能となった。
中古車参考価格帯:90万円~270万円(※12年~18年 シトロエンブランドも含む)

最近のプジョーは高級感とスポーティさを両立している
[プジョー 308]プレミアム感を高めたプジョーの中堅モデル

Cセグメントに属する308は、ファミリー層にぴったりのサイズと品質を備えたプジョー。特に、2014年に登場した現行型は走りの質感が一層高められ、ドイツ車にも負けない魅力を身につけた。中古車も豊富に流通し、初期型なら100万円以下でも購入可能。認定中古車をねらうのも手だろう。
中古車参考価格帯:80万円~270万円(※14年~21年 全グレード)

先代モデルと比べて飛躍的に高まった内外装の質感。スポーティ志向なインテリアも注目のポイント。後席シートにもゆとりがあり、大人がゆとりを持って座れる。

パワートレインは1.2Lターボから2Lターボまで幅広い。ガソリン、ディーゼルともに選択可能。写真は1.2Lターボの「GTライン」で、最高出力は130馬力を発揮する。

どっしりとしたリアビューも魅力的。全長はおよそ4.3mと、このクラスとしては平均的なサイズ。5ドアハッチバックのほか、ステーションワゴン「SW」も選べる。
[プジョー 208 GTi]小さいけれど走りは辛口 ホットハッチならコレ!

かつての205 GTiのリバイバルモデルといえるのが208 GTi。200馬力の直4ターボを搭載し、6速MTを組み合わせる。内外装も専用仕立てとなり、ホットハッチファン垂涎のモデルといえるだろう。中古車もそれなりに流通しており、100万円が価格の下限。ただし状態のよいものは200万円を超えている。
中古車参考価格帯:100万円~220万円(※13年~20年 GTiのみ)

レッドアクセントが施されたスポーツシート、ステアリング、シフトノブに注目。ホットハッチながらも、実用性は標準の208と同じで、使い勝手は良好だ。
[プジョー 508 SW(先代)]ラグジュアリーなステーションワゴン

プジョーのフラッグシップモデルが508シリーズ。今回は物件が多いワゴンモデル「SW」に注目。エレガントなルーフラインとリッチな内外装は、高級感たっぷり。ガソリン、ディーゼルともに選べるパワートレインも注目。先代モデルは相場が大きく下がり、100万円以下の物件も増えている。
中古車参考価格帯:50万円~250万円(※11年~18年 全グレード)

レザー仕立ての高級感あるインテリア。後席をたためば多くの荷物が積み込める実用性も注目のポイント。フランスのステーションワゴンなら候補に入れたい1台だ。
レーシーなイメージを持つ「R.S.」に人気が集まる
[ルノー メガーヌ R.S.(先代)]サーキット走行も可能な本格スポーツモデル

日本で販売された先代メガーヌの多くは、スポーツモデルの「R.S.」。ホットハッチは数多くあるが、「R.S.」はルノー・スポールが開発した専用シャシーとエンジンを搭載し、本格的な走りが楽しめる。低年式の物件は100万円台半ばからねらえるが、限定車「トロフィーR」は300万円以上の値が付く。
中古車参考価格帯:160万円~380万円(※11年~17年 R.S.全グレード)

シンプルだが運転しやすいインテリアデザイン。3ドアのため後席へのアクセス性は高くない。しかし、バケットシートを装着するなど、純粋に走りを楽しみたいユーザーには歓迎される環境だ。

写真の2013年式「R.S.」には、265馬力を発揮する直4ターボを搭載する。トランスミッションは6速MTが組み合わされ、ダイレクト感のあるシフトフィールが楽しめる。

3ドアクーペに近いロー&ワイドなプロポーション。ラインアップは標準の「R.S.」に加え、専用チューニングされた「トロフィー」など数種類のモデルが販売された。
[ルノー ルーテシア R.S.(先代)]スポーティな走りを楽しむなら最適の選択

先代ルーテシアをベースに、スポーツモデルに仕立てたのが「R.S.」。200馬力の1.6L直4ターボに、6速EDC(デュアルクラッチ式MT)を組み合わせる。内外装や足まわりも専用設計。人気モデルゆえ中古車の物件が多く、フランス車のなかでも買いやすい。100万円台半ばの予算で幅広く探せる。
中古車参考価格帯:110万円~240万円(※13年~20年 R.S.全グレード)

スポーツシートを装着し、レッドアクセントが施されたインテリア。シンプルだが硬派な仕立てとなっている。後席は広くはないが、大人も座れるスペースを確保。
[ルノー キャプチャー(先代)]扱いやすさが自慢のコンパクトSUV

ルーテシアをベースにしたコンパクトSUVがキャプチャーである。1.2L直4ターボを搭載し、6速EDC(デュアルクラッチ式MT)を組み合わせる。エレガントな内外装とスポーティな走りが魅力。新車時価格はおよそ250万円だったが、平均価格は130万円ほど。およそ半額で買えるようになった。
中古車参考価格帯:80万円~230万円(※14年~21年 全グレード)

SUVといえども、全高は1565mmと低め。少し背が高いハッチバックというドライビングポジションなので乗りやすい。丸みを帯びたデザインの内装も心地よく、質感も高い。

ライタープロフィール
1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。
また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。
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