輸入車
更新日:2022.03.16 / 掲載日:2022.02.04
ステランティスをご存知ですか?【九島辰也】

文●九島辰也 写真●ステランティス
ステランティスと言う会社をご存知ですか? 自動車メディアをご覧の方は常識ですよね。FCAとグループPSAが合併してできた会社です。
3月1日にステランティスジャパンが設立される
言うなれば、イタリアとフランスの組み合わせ。でも、どうなんでしょう。仲良くできるのかな? 歴史的に見て、隣同士の国は仲良くないのが一般的です。まぁ、それでも長い目で見守ることにしましょう。そういえば、3年くらい前ジープのアメリカ人開発スタッフに「イタリア人はどう?」と訊ねたら、「ドイツ人とよりはやりやすい(笑)」と言っていました。ダイムラークライスラー時代の教訓ですね。そんなアメリカ人がイタリア人とフランス人の間をどううまく動くのかも見ものかもしれません。
そしてそれを受け、日本でも今年3月1日に、FCAジャパンとグループPSAジャパンがひとつになるそうです。名前はもちろんステランティスジャパン。そこに7つのブランドが統合されます。
7つのブランドを復習すると、アルファロメオ、アバルト、フィアット、ジープ、プジョー、シトロエン、DSオートモービルとなります。マセラティは引き続き独立したマセラティジャパンとして継続。フェラーリも当然別扱いです。
こうなると興味があるのが販売台数。ブランド別ではなく会社別で考えた場合、輸入車の中のポジションは大きく順位を上げます。メルセデス・ベンツ日本、VWグループ・ジャパン、BMWジャパンといったドイツ勢に攻め込みます。
そう考えると、VWグループジャパンがアウディジャパンを今年1月に吸収合併したのはわからなくもありません。アウディジャパンのコントロール下にはランボルギーニもいたわけですから、これでひとつの会社が4ブランドを扱うわけです。VW、アウディ、ランボルギーニ、それとベントレーといった面々です。
好調な販売が続く7つのブランド
話をステランティスに戻しましょう。ステランティスの有する7つのブランドの昨年の国内販売台数は4万5000台近くにのぼりました。ジープの販売台数はブランド史上初めて1万4000台超えです。アルファロメオ、フィアット、プジョー、シトロエンもそれぞれ2桁の成長をおさめています。結果、ステランティスは輸入車市場で17%オーバーのシェアを取ったと言うから恐れ入ります。しかも、毎年じわじわと増やしているとか。ドイツ勢は本当にうかうかしてられませんね。

躍進を遂げたジープはラングラーとコンパスが大きく貢献したようです。JL型ラングラーは評判良く、7000台近く売れたというのは驚きです。クライスラージャパンセールス時代とは一桁違います。あの時代は4ドアのアンリミテッドがありませんでしたし、今日のようなアウトドアブームではなかったのでしょうがありませんが、ラングラーがこんなに一般的になるとは想像しなかった。あの頃TJラングラーやYJラングラーを乗っていた身としてはなんか不思議な気がします。ラングラーみたいなマニアックなクルマがこんなに売れていいのかな?って。

プジョーは208と2008、308と3008、508と508SWがそれぞれ高い人気を獲得し、全体で1万2000台を超えました。特に208と2008は5000台を超える過去最高台数を記録したそうです。確かに、顔もかっこいいし、走りもいいのだから売れたのはわかります。フランスのホットハッチらしいキビキビした走りが好きな人はたまりません。
フィアットも年間販売台数は過去最高となりました。牽引したのはフィアット500。2008年の発売開始以来ほとんど変わらぬパッケージングで、いまだに記録を作るなんて立派です。売れる理由はわからなくありません。というのも、個人的にもフィアット500を所有していますが、このクルマは他に代わりがないんです。サイズ、パッケージング、デザイン、走りの面でオンリーワン。イタリア車らしいおしゃれで楽しい走りを提供してくれます。
驚くのはシトロエンです。こちらも昨年は5000台以上販売しています。もちろん、ラインナップを見れば充実していますし、モダンなのはわかります。ただ、昔を知っている立場から言わせていただくと、シトロエンはマニアックなイメージが強いだけにこんなに売れるとは信じられません。ちなみに、貢献したのはベルランゴだそうです。ルノーカングー的なユーティリティビークル。こちらもアウトドアブームに乗ったのでしょう。特別仕様車のサーフエディション・バイ・リップカールなんていい感じです。
というのが、ステランティスの近況。自動車業界の再編成の一角ですね。いずれEVを前提としたバッテリースペースのあるプラットフォームの共有化など、いろいろ始まるでしょう。でもって世界戦略を狙う。ラテン連合が、ゲルマンに勝負を挑むって感じかな。迎え撃つジャーマンスリーはどう動くのか! 2022年も目が離せませんね。

ライタープロフィール
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。