新車試乗レポート
更新日:2022.08.22 / 掲載日:2022.08.04

【マツダ CX-60】マツダの高級車路線を占う期待の新型を実車チェック

文●大音安弘 写真●ユニット・コンパス

 マツダが2022年9月より販売開始を予定している新型ミッドサイズSUV「CX-60」が、メディアに向けて初公開された。新型車「CX-60」は、新世代ラージ商品群の第一弾となるモデルだ。現在も展開がスタートしている新世代商品群は、コンパクトモデル「マツダ3」よりスタートとしたスモール商品群と、「CX-60」よりスタートするラージ商品群の大きくふたつに分けられる。2022年以降の新型車戦略では、世界的に人気の高いSUVに注力し、新展開となるラージ商品群でも、新たなSUVを展開していく計画だ。そもそもスモール車とラージ車の違いは、どこにあるのか。その名が示すボディサイズだけでなく、なんと駆動方式も異なる。なんとラージ商品群は、近年はスポーツカーに限定されていたフロントにエンジンを搭載し、リヤ駆動するFRレイアウトを基本としているのが大きなトピック。このため、ボディの骨格から新開発されたブランニューモデルなのだ。

マツダにとっての新たなる高級車モデル

CX-60 XD ハイブリッド プレミアムスポーツ

 新型車「CX-60」は、マツダの新たな高級車として位置付けられている。一般的に、高級車の展開は、サイズの大きいモデルであることが多いが、マツダは上級SUVの中心的存在であるミッドサイズからの展開を行うことで、既存の顧客を含め、多くの顧客にラージ商品群の訴求を図っていくのが狙い。そのボディサイズは、全長4740mm×全幅1890mm×全高1685mmとなる。既存ラインアップと比較すると、全長では4575mmのCX-5と4900mmのCX-8の間に収まっているが、全幅はCX-5の1845mm、CX-8の1840mmよりもワイド。そのキャビンには、2+3の5人乗りレイアウトを採用している。高級車と聞くと一部のユーザー向けのクルマとして捉えられるかもしれないが、CX-60の価格レンジは、299.2万円〜626.45万円と幅広く、CX-5やCX-8の検討者とも重なる。この価格設定こそが、マツダが目指す新たな高級車像がある。もちろん、価格帯によりパワートレインや装備、装飾などは異なるが、マツダが目指す高級車の提供価値として、上級車に相応しい質感だけでなく、新たな走りの質にも追求しているのだ。その想いは、「ドライビングエンターテイメントSUV」という車両コンセプトに凝縮されている。

CX-60 XD ハイブリッド プレミアムスポーツ

 まずはデザインを見ていこう。CX-60も魂動デザインによるものだが、既存のFF車とは少し雰囲気が異なる。シンプルに説明すると、これまでのFF車は、パワーの源であるエンジンルームの存在を強調しているものの、疾走する獣のような躍動感のある前傾姿勢のフォルムに仕上げられていた。しかし、FRレイアウトとなるCX-60は、「静」を強めた落ち着き有るフォルムを当てている。但し、大人しいクルマに仕上げようとしたわけではない。後輪駆動である上級スポーツカーや高級セダンの大定番であるロングノーズショートデッキに仕上げることで、クルマの内側に秘めた高い走りのポテンシャルを強調するのが目的なのだ。例えるならば、オーダースーツを纏ったアスリートだろうか。フォーマルなスタイルでも、鍛え上げられた身体の存在はシルエットが物語る。フロントマスクは、ワイドさを意識させる大型グリルを採用し、敢えてライトもコンパクトなデザインに。フロントマスクからフロントフェンダーは直線的だが、これも構造的な要因に加え、大型エンジンの存在を際立たせる演出でもある。ガラスエリアはサイドパネルに対してコンパクトに纏められ、ルーフラインやテールゲートをクーペライクとすることで、マツダSUVらしいスポーティさもしっかりと演出されている。ボディカラーには、「赤のマツダ」を定着させた匠塗の第3弾となる「ロジウムホワイトプレミアムメタリック」を新提案。日本の引き算の美学や禅の世界の「無」から着想を得た新しい白色だという。艶やかさや滑らかさを感じる優しい風合いの色でもあるので、きっと人気色となるだろう。もちろん、匠塗の「ソウルレッドクリスタルメタリック」と「マシーングレープレミアムメタリック」も設定される。

CX-60 XD ハイブリッド プレミアムスポーツ

 インテリアは、広さを感じさせる横基調のダッシュボードレイアウトを採用。肉厚のセンターコンソールは、まさに高級車らしい風格を与えているが、シート幅にもゆとりがあり、寛げる空間が広がっている。メーターパネルは、12.3インチのワイド液晶タイプで、センターディスプレイも最大12.3インチのワイド液晶を備える。ヘッドアップディスプレイも大型かつカラー表示となり、運転中に必要な情報が一目で分かるように工夫されている。コクピットの新機能として紹介しておきたいのが、「自動ドライビングポジションガイド」だ。CX-60では、ステアリングやペダルレイアウト、シートのホールド性など、より運転のし易い環境作りが目指されているが、それを活かすには、正しい運転姿勢が重要となる。そこでCX-60では、クルマが自動的にドライバーの体形に合わせたポジションに調整してくれる機能を装備している。より自分に適した運転姿勢を知ることは、安全運転の向上にも繋がるだろう。快適機能として注目したいのは、純正オーディオだ。静粛性を高めたキャビンを活かし、移動の楽しみを高めるべく、標準装備のオーディオシステム「マツダハーモニック・アコースティックス」を磨き上げた。標準仕様でも再生音のチューニングが行えるほか、より上位のシステムとして、マツダと共同開発のBOSEシステムも用意されている。基本のオーディオから拘るというのも、高級車らしいおもてなしといえよう。もちろん、内装の表現も上質さに拘り、高品質なナッパレザーやウッドパネル、日本の掛縫いを参考にしたダッシュボードトリムなどを採用。同時にシックな装いの仕様でも質感の高さを感じられるなど、素材や色合いなどのコーディネートにも注力している。さらに快適面では、車幅を中心としたサイズアップも室内空間のゆとりに結び付いており、後席利用の多いユーザーの期待にもしっかりと応えてくれる。

CX-60に採用された新しいメカニズム

 ラージ商品群の要となる新プラットフォーム「SKYACTIV マルチソリューションスケーラブルアーキテクチャー」は、縦置きエンジンの後輪駆動レイアウトを可能としたのが最大のポイント。最大直列6気筒エンジンまで搭載可能とした。サスペンション形式は、フロントがダブルウィッシュボーン式、後輪がマルチリンク式とし、路面追従性の高いしなやかな動きを実現している。マツダの後輪駆動車といえば、世界中で愛されるライトウェイトスポーツカー「ロードスター」を思い出すが、その知見もしっかりと活かされている。昨年登場した改良型ロードスターより採用する姿勢安定化制御「キネマティック・ポスチャー・コントロール(KPC)」をCX-60にも搭載。後輪駆動車ように開発したサスペンションの魅力を最大限引き出すべく、気持ちよくコーナリングが味わえる仕掛けが施されている。純粋な後輪駆動仕様も用意されるが、SUVに求められる高い走破性を与えるべく、後輪駆動ベースの新4WDシステムも開発しており、この4WD仕様では、滑りやすい下り坂等でステアリング操作に集中できる「ヒルディセントコントロール」をマツダ初採用している。

 注目のパワートレインは、全部で4タイプ。エントリーとなるのが、ガソリン仕様の2.5L直列4気筒DOHCエンジン「SKYACTIV-G 2.5」だ。最高出力188ps、最大トルク250Nmを発揮する。もうひとつのガソリン仕様は、2.5Lエンジンを組み合わせたPHEVだ。システム最高出力323ps、最大トルクは、なんと500Nmを発揮するパワフルさ。駆動用バッテリーとして17.8kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、200Vの普通充電と急速充電に対応。車両のコンセントから電源供給が可能な「V2L」に加え、充放電設備と接続すること蓄電池としての役目も果たす「V2H」にも対応する。

 国産乗用車で復活を果たすことになる直列6気筒エンジンは、クリーンディーゼル専用エンジンとなる。「SKYACTIV-D 3.3」は、3.3Lの直列6気筒DOHCクリーンディーゼルターボで、最高出力231ps、最大トルク500Nmを発揮する。同エンジンには、マイルドハイブリッド仕様も用意され、最高出力254ps、最大トルクは、ライトアップ最強の550Nmにも及ぶ。ガソリンのPHEVとマイルドハイブリッド仕様のクリーンディーゼルは、4WD専用となる。この3.3Lという排気量は、効率を最大化させるための工夫であり、マツダの人気エンジン「SKYACTIV-D 2.2」で得られた1シリンダー当たり550ccというスペックを踏襲している。これらのエンジンに組み合わされるトランスミッションも新開発のもので、通常のATで使われるトルクコンバーターを使用しない新しい8速ATとなる。トルクコンバーターの代わりにクラッチ機構を設けることで、よりダイレクトな変速や加減速を実現しているという。これも走りの良さへの拘りから生まれたものだ。またトルクコンバーターによるエネルギーロスも無くなるため、燃費向上も期待できる。因みにマツダSUVには、一部にMTの設定があるが、CX-60に関しては非設定となるようだ。

CX-60には4つのパワートレインと4つの世界観が用意される

 先進安全運転機能の強化など、まだまだ語るべきポイントに溢れるCX-60だが、より掘り下げるのは、「ドライビングエンターテイメントSUV」の本質である走りの魅力に触れてからにしたいと思う。大きめのクルマではあるが、SUVとしてはトレンドに収まるものであり、日本の道路事情でも実用的といえる。ラインアップは、4つのパワーユニットと4つの世界観の異なる内外装デザインを組み合わせた幅広いグレードを備えており、仕様によってFRと4WDの選択が出来るのも魅力的なところ。そして、CX-60は、マツダが新たに提供する高級車の第一弾でもあり、マツダの未来を知るためヒントにもなる。今の猛暑も落ち着きを見せる頃となれば、全国の販売店でもCX-60に触れることが出来るだろう。

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大音安弘(おおと やすひろ)

ライタープロフィール

大音安弘(おおと やすひろ)

1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在はフリーランスの自動車ライターとして、自動車雑誌やWEBを中心に執筆を行う。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

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