新車試乗レポート
更新日:2022.08.26 / 掲載日:2022.08.08

【試乗レポート ダイハツ ムーヴ キャンバス】見た目はそのままに中身を一新

ムーヴ キャンバス ストライプスG

文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス

 昨今、軽乗用車ではスライドドア付きのモデルが人気上昇中。2020年の販売データでは、軽自動車販売におけるスライドドア車の比率が50%を超えました。
 「そうはいっても全体の半分でしょう?」と思うかもしれないけれど、そのデータにはスズキ「アルト」やダイハツ「ミラ」といった法人需要の多いモデルや軽トラックまで含まれたもの。個人ユーザーに限っていえばスライドドア車を中心にまわっているといっても過言ではないでしょう。
 スライドドアのメリットは、なんといっても後席の乗り降りがしやすいこと。具体的に言えば、左右隣にクルマが並ぶ駐車場のような狭い場所でもリヤドアを全開にできること、そして後席乗降時に隣のクルマにドアを当ててしまうリスクから解放されるなどで「一度知ると普通のドア(ヒンジドア)に戻れない」という声も納得できます。特に子育て世代には最適のドアと言っていいでしょう。

基本骨格を最新世代へとアップデート

ムーヴ キャンバス ストライプスG

 そんなスライドドアを組み合わせる乗用ワゴンといえばまずイメージするのはダイハツ「タント」、スズキ「スペーシア」、そしてホンダ「N-BOX」かもしれません。それらは天井の高さがだいたい1800mmで「スーパーハイトワゴン」と呼ばれます。
 ちょっと前まで、スライドドア付きの軽乗用車といえば、ワンボックスを除けば基本的にスーパーハイトしか選択肢がありませんでした。そんななか“新たなる一手”として2016年に登場したのが初代「ムーヴ キャンバス」。全高は1655mmといわゆる「ハイトワゴン」に分類され、同クラスでは唯一のスライドドア採用がライバルに対する最大のアドバンテージというわけです。

 「そこにスライドドアのニーズがある。」
 そう踏んだダイハツの読みは大当たり。ライバル不在を追い風に、デビューから約6年が経過しても人気をキープし、月平均で5千台以上を売り上げるヒット作となりました。あまりのヒットに、そこへ待ったをかける刺客として2021年にスズキから「ワゴンRスマイル」が送り出されたのも、記憶に新しいところです。

 というわけでムーヴ キャンバスがフルモデルチェンジして2代目へと進化。なにより驚いたのは、デザインが先代とほとんど変わっていないことです。この記事に使われている写真を見て「先代の間違いでは?」と思うかもしれませんが、正真正銘の新型で間違いありません。それほどまでに似ているのです。
 一方で、メカニズムは今回のフルモデルチェンジで刷新。クルマの骨格に相当するプラットフォームは「DNGA」と呼ばれる新世代タイプとなり、エンジンもトランスミッションも2020年に「タント」がデビューした際に基本構造から新たに開発した最新設計のタイプとなりました。
 メカニズムと言えばターボエンジンが追加されたのも大きなトピック。
 従来型のエンジンは自然吸気のみだったので、より力強く運転が楽になるターボを求める声もあったそうです。新型はそれに応えたということ。ターボエンジンは加速が力強いだけでなく、同じ加速をするならば自然吸気車よりもエンジン回転数を低く抑えられるのでエンジン音が静かで快適性が高いのもメリットです。
 燃費を気にする人もいるかもしれませんが、今どきのターボ車は運転スタイルや走行環境によっては自然吸気車よりも燃費がいいこともあるので心配はいりません(カタログ記載の燃費値も0.5km/Lしか違わない)。

新たに「セオリー」を追加

ムーヴ キャンバス セオリーGターボ

 ラインナップも変わりました。従来のイメージを継承する「ストライプス」に加え、新たに「セオリー」というモデルを用意。これはシックなモノトーンのボディカラーに、メッキ調のピンストライプ(車体側面のライン)やリヤバンパーのメッキモールを組み合わせ、ストライプスよりも大人仕様でちょっと上質にした仕立てを特徴とします。
 ターゲットは「キャンバスはちょっとかわいすぎる」という人たちで、インテリアはホワイト基調の「ストライプス」に対してブルーとネイビーをコーディネート。この落ち着いた雰囲気も悪くないですね。

保温機能の付いたカップホルダーなど使い勝手を考えた装備

ムーヴ キャンバス ストライプスGのインテリア

 インテリアの注目は、「ホッとカップホルダー」という、名前を聞いただけではちょっと意味不明のアイテム。「G」や「Gターボ」に標準装備となるこれは、インパネ左右に組み込まれたドリンクホルダーなのですが、電気ヒーターによる保温機能が組み込まれているのが親切です。単純に「冬に温かい飲み物をさましたくない」というのはもちろんですが、「エアコンの効いた涼しい車内でも飲み物は温かいほうがいい」というニーズにも対応するものなのだとか。確かに便利そうです。
 さらにダッシュボードの形状は上部がフラットなテーブル状で、ドリンクホルダーと同じ高さにはテーブルのような大型トレーも用意されています。その狙いは、停車中の車内でテイクアウトした食事をとりやすくするためなのだとか。コロナ禍でクルマの使い方に起きた変化を反映した、ウィズコロナ時代の新しい発想というわけですね。

 新しい時代と言えば、スマホを使いこなす“スマホネイティブ世代”への対応も新型キャンバスの変化と言えるかもしれません。カーナビではなくディスプレイオーディオ(カーナビよりも価格が安いけれどスマホを繋げれば実質的にナビとして使える)のメーカーオプション設定やそれとセットで搭載される非接触充電器(インパネのトレーに組み込まれる)は、まさにスマホ時代のアイテムです。

 また、「G」系グレードだとフロントシートには座面に加えて背もたれまで温まるシートヒーター(ライバルメーカーであるスズキの軽自動車は座面だけがほとんど)を標準採用。さらに日焼けの原因となる紫外線を約99%カットする「スーパーUVカットガラス」もすべての窓に採用となる、快適性の高さもライバルに対するアドバンテージと言えるでしょう。

ムーヴ キャンバス ストライプスGのスライドドア

 ところで、キャンバスの特徴のひとつになっているスライドドアですが、先代から変わっていないのはその考え方。一般的にスライドドアは人の乗り降りをしやすくするためですが、キャンバスはそれよりも「前席に乗る人が後席へ荷物を置く際にアクセスしやすくするため」というのが狙い。つまり後席に荷物を置くためのスライドドアなのです。
 先代に引き続いてリヤシート下には後席床へ荷物を置く際に活用するスライド式トレー(収納ボックスとしても利用できる)が組み込まれているのは、後席に荷物を置くことを考慮しているから。「床にバッグや買い物帰りのレジ袋を置きたくない」という人も多いでしょう。そんな人にはキャンバス以上にマッチングのいいクルマはないかもしれません。

 しかし、人が座ることよりも荷物を積むことを考えたクルマ作りとはいっても、後席に座ってみると足元は広いし、シートは左右独立のスライドに加えてリクライニングを備えるなど快適性もバッチリ。ファミリーユーザーでもまったく問題なしです。
 ただ、注意が必要なのは後席を倒して荷物を積むユーザー。たとえば「自転車を積む」なんていう人です。後席は左右独立で背もたれを前に倒すことができますが、多くのワゴン型軽自動車と違ってシート格納時の床はフラットになりません。理由は座面下に引き出しがあって格納時の座面を低くできないからですが、そういう意味でもキャンバスはほかのクルマと違うのです。

新型になって快適性は大きく進化

ムーヴ キャンバス セオリーGターボ

 さて、乗り味はどうでしょうか。
 まず驚いたのは、プラットフォームのポテンシャルの高さと絶妙なチューニングのサスペンション。試乗スタートの場所の地面は石畳だったのですが、細かい振動をよくいなすのでそこでの乗り心地が良好だし、一般公道での路面の段差の吸収の仕方などもなかなかのレベル。ある程度のスピードで大きめの段差を乗り越えた際に、「ドン!」と突き上げが来るかと思ったら実際の衝撃は予想よりもずっと小さいし、その衝撃が減衰されて1発でしっかりと納まるあたりに車体のしっかり感を感じました。ひとことでいえば快適です。
 そのうえで予想以上の仕上がりに感動したのが、曲がるときの安定感。曲がり方が素直だし、ロールも一定なのでグラグラせず安心できます。ハイトワゴンは曲がるのが苦手というのは、もう過去の話だと改めて実感しました。

 動力性能面では、自然吸気エンジンでも発進加速での音こそ煩いものの、意外にスムーズに発進するしスルスル加速するのが好印象。街中ならこれで十分でしょう。
 ただ、やっぱり高速道路やバイパスの合流、そして上り坂では力不足が否めないし、その結果としてロングドライブではちょっと心もとないし、疲れやすいだろうな、というのが正直なところです。そこで選択肢として魅力なのが新型になって追加されたターボ。発進直後から力強さが違い、加速は自然吸気の上を行くスムーズさ。さらに音も静かといいことばかり。もし上級グレードの「G」を狙っているのなら、そこから12万1000円の価格アップ(「G」ではオプション扱いとなる4万4000円分の先進運転サポート機能も含む)となるターボエンジン搭載の「Gターボ」が断然おオススメです。
 一方「ストライプス」を選ぶか、それとも「セオリー」にするかは、好みだけで選んでしまっていいでしょう。

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工藤貴宏(くどう たかひろ)

ライタープロフィール

工藤貴宏(くどう たかひろ)

学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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