新車試乗レポート
更新日:2022.10.07 / 掲載日:2022.08.16

新型日産キックス速攻試乗! 4WD車の走りと内装/外装チェック

電動走行がもたらす力強い走りで人気を集める
コンパクトSUV「キックス」がビッグマイナーチェンジ。
見所はズバリ、現行ノート世代の最新e-POWERを搭載
することでどう変わったのか、に尽きる。
強力ライバル勢に勝つことができるのか?
その実力を明らかにしよう!

●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久

ビッグマイナーで最新e-POWERを搭載! 1ランク上のSUVへ!

NISSAN 新型キックス

●発表(最新改良)日:’20年6月24日(’22年7月19日)
●価格:279万8400円〜328万1300円
●販売店:ニッサン全店
●問い合わせ先:0120-315-232(日産自動車お客様相談室)

■主要諸元
(X FOUR スタイルエディション)
●全長×全幅×全高(㎜):4290×1760×1605 ●ホイールベース(㎜):2620 ●車両重量(㎏):1480 ●パワーユニット:1198㏄直3気筒DOHC(82PS/10.5㎏・m)+ツインモーター(フロント100kW/280Nm、リヤ50kW/100Nm) ●トランスミッション:一段固定式 WLTCモード総合燃費:19.2㎞/ℓ ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)ディスク(R)
●サスペンション:ストラット式(F)トーションビーム式(R)●タイヤ:205/55R17

待望の4WDモデルを追加
走りの魅力がパワーアップ

 キックスはノートから発展したコンパクトSUVだが、ベースとなったのは先代ノート。2020年の国内デビュー時に搭載していたe-POWERは、現行ノートより一世代古いユニットだったが、今回実施されるマイナーチェンジで現行ノートと同型のe-POWERに変更。電動系のハードウェアも一新され、さらに待望の4WD車も追加。駆動モーターの最高出力はノート オーラと同等の100kWになるなど、1ランク上の性能を手に入れている。
 試乗したモデルは新設定された4WDモデル。ノートの4WD車と同様に、後輪に最高出力50‌kWの同期モーターを搭載するe-POWER 4WDを採用している。ノートと比べると車両重量は約100㎏重くなっているため、走行性能は低下しているはずなのだが、いざ走らせてみるとそのデメリットはあまり感じさせない。
 アクセル踏み込み時の即応性と繋ぎの巧さが新型のドライバビリティの要点で、従来型のe-POWERに比べると格段に力強いドライブフィールになっている。洗練された加速性能は、最近の日産電動モデルの特徴でもあり、最新e-POWERを搭載したことで生まれるスペックアップを強く実感できる。
 深く踏み込んだ全開加速はノート オーラに軍配が挙がるが、一般走行でちょっと活発に走らせるくらいでの加速や余力感は、ノート オーラと大きくは変わらない。余裕のある走行状況ではほぼ等しい運転感覚だ。これがエンジン車ならダウンシフトの頻度や常用回転域の違いが余力感に影響するが、エンジン稼働(発電)中の静粛性も良好。稼働時間が多少長くなっても、非力とは感じない。
バランス&コスパの良さは
日産車トップレベル

 ならば現行ノート/ノート オーラのSUVバリエーションに位置付けられるかと言えば、そこはけっこう微妙な面もある。パワートレーンの性能は現行ノート系に匹敵するが、乗り心地やスタビリティに大きな影響を与えるシャシー性能については、先代ノートの域を出ていない。
 加減速時の姿勢安定やコーナリングラインの操舵追従性は従来型よりも向上しているが、ノート/ノート オーラと比べると、しなやかさや挙動の収まりが劣る。硬いというか渋いというか、サスの動き出しの滑らかさやストローク速度の抑制、直進や定常円旋回時の姿勢の据わりなど、全体的な洗練度は少々劣る印象である。
 従来型の改良で追い付かれる程度では新しいプラットフォームを開発する意味もないが、パワートレーンの印象がよかっただけに、無い物ねだりもしたくなってしまう。
 走行ハード以外の改良点で目立ったのは内装だ。基本デザインは変わらず、2トーンの内装色にベージュとブラウン(スタイルエディション)が追加されたくらい。ただし、センターコンソール周りとシフトレバー(セレクター)のデザインは一新されている。機能面での大きな変化はないが、加飾や造形はノート/ノート オーラと共通したテイストであり、1世代ほど前進した感じだ。
 また、安全装備もバージョンアップしている。今回の試乗では機能チェックはできなかったが、追突回避機能に前々走車減速検知機能を加えたインテリジェントFCWを新採用。安全&運転支援装備面でもノート/ノート オーラと同等になっている。
 マイナーチェンジに伴う価格アップは約4万円。マイナー前と同様にプロパイロットは標準装着される。改良内容や走りのグレードアップを考えると買い得感は大幅向上したといえるだろう。
 ノートを基準とすれば、ノート オーラは内外装のプレミアム性で勝り、キックスはSUVとしての実用性で勝る。コンパクトSUVらしい開放的な後席や一回り大きな荷室がキックスの魅力だ。
 新型の目玉となる4WD車とFF車の価格を比べると、その価格差はノート同様の約26万円。ハードウェア内容からして4WDの買い得感は高く、FF車しか選べなかった従来型と比べると、SUVとしての魅力は大幅に増した。
 フットワーク面は多少物足りなさもあるが、キャビン機能や4WDの性能、動力性能の質などを総合的に見れば、コスパはノート/ノート オーラ以上。レジャー志向のダウンサイザーにとっては最有力になりうる1台だろう。

従来型に対してモーター出力は約5%、最大トルクは約7%向上。数値的には大きな差ではないが、実際に走ってみるとその違いは明白。アクセル入力に対する反応が大きく変わっている。
発電専用エンジンは従来型と同じ1.2ℓユニットだが、現行ノート/ノート オーラに搭載される第2世代e-POWERにアップデート。新たにリヤモーターを組み合わせる4WD車が設定されるなど、選択肢の幅も大きく向上している。
後席格納機構は左右6:4分割式。座面に厚みがあるため完全にフラットにはならないが、このクラスとしては十分な広さが確保されている。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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