新車試乗レポート
更新日:2022.11.21 / 掲載日:2022.11.21

新型スバルクロストレック試乗!クロスオーバーSUVの進化した走りとは

いよいよ、11月に予約受注開始となった新型クロストレック。
最近のスバル車は走りのアップデートが著しいこともあって、
注目しているユーザーも多いはずだ。
今回はプロトモデルの試乗となったが、その走りは予想以上。
コンパクトSUV選びに大きな変化が出るの間違いなさそうだ。

●文:川島茂夫/月刊自家用車編集部 ●写真:SUBARU/澤田和久

AWDモデルに加えてFFモデルも新登場! 走りも機能装備も1ランク向上!

【CROSSTREK/新型クロストレック】プロトモデル試乗インプレッション

制御系の改良により
中速域の余力感を強化
 基本骨格構造を従来型(スバルXV)から継承しているが、新型(クロストレック)は最新のフルインナーフレーム構造が導入されている。骨格は同じなのに何故?と思うかもしれないが、アウターパネルを接合前に骨格を接合するように工法を変更。これにより骨格接合の溶接打点の最適化が施され、車体剛性の向上が図られているのだ。
 剛性アップならば、がっちりとした乗り味の方向へ、と想像してしまうが、試乗した印象は少し異なる。振動伝達経路や骨格の剛柔によるしなりを加えた設計を用いることで、乗り心地の良さもしっかり向上している。
 それ以外にも動力性能面で余力感の改善が挙げられる。パワートレーンは従来型の2ℓ車に搭載されていたe-BOXER。いわゆるパラレル式ハイブリッドだが、ハイブリッド用バッテリーの容量を抑えることでコストやスペースを抑制している。電動アシストと回生を中心に置いた設計であり、性能的にはマイルドハイブリッドに近い。
 全開性能は2ℓNA級と同等。1.5トンを超える車両重量を考えれば、それほどの余裕はない。ただし中間アクセル域での余力感が明らかに改善されている。
 そう感じる理由は3000~4000回転を積極的に使う変速特性を得たことで、中庸域のドライバビリティが高まったことが大きい。全開加速時の上乗せが少ないのは難点だが、滅多に使わない急加速時の性能よりも、使用頻度の高い領域での力強さを重視した特性は実践力の点で高く評価できる。
 エンジンフィールの改善も好ましい。高回転を用いて加速させた時の唸るような感覚がかなり減少している。洗練度がランクアップしたと言い換えてもいいだろう。

シャシーの向上は明らか
挙動性能も一枚上手
 より熟成が進んだことはフットワークも同様。操安性や乗り心地の方向性は大きな変化はなく、2ℓ級SUVとしては深めのストロークを上手に使うタイプ。タイトなS字コーナーでの急激な切り返しでも揺れ返したり、突き上げを受けたりしにくいのは、低重心車体の恩恵といえるだろう。その挙動の滑らかさや収束性の良さも新型は進化している。舗装のひび割れや段差を乗り越えた時の細かな振動の少なさは見所で、高回転のエンジンフィールと同様に雑味が減っている。車軸周りをガツガツと揺するような振動が少なく、タイヤの接地面から骨格までが一体となって振動を受け止める。細かな揺れを均している感じだ。
 動力性能にしても、操安性や乗り味にしても、従来型で良かったところは大きく変わっていない。ただ、走りの質感や洗練感は明らかに一枚上手。今回の試乗はオンロードに限定されていたが、クルマの基本性能が1ランク上がった印象だ。

軽快さが際立つ2WD車
スポーティ重視なら十分アリ
 また2WD(FF)車の設定もポイントの一つ。スバルSUV初の2WDモデルであり、クロストレックのコンセプトからすれば、素直に飲み込めないユーザーもいるだろう。1.6ℓ車が無くなったことの価格対策の一環とも思えるのだが、実際に乗ってみると4WD車よりも軽快さが増している。ハンドリングは素直で、荷重がかかる時のロールの挙動の抑えがよく、操縦感覚にメリハリがある。スポーティな味わいを好む向きにとっては、2WD車の方が適しているかもしれない。
 乗用車パッケージングに高い悪路踏破性を持たせたことがクロストレック(XV)のセールスポイントだけに、2WD車は少しキャラ違いという考えもよぎるが、オンロード前提ならばインプレッサ スポーツに代わる存在にもなりうる。プラスαを求める上級コンパクトの新顔と捉えてもいいだろう。
 スペックだけを見ていると従来型XVのビッグマイナーチェンジモデルのようにも思えるのだが、クロストレックはスペックに表れない部分をしっかりと磨き込んでいる。基本性能や実用性が変わっていないので新鮮味は欠くが、洗練と熟成の巧みさには好感。馴染みやすく良質なSUVである。

スバルXVには1.6ℓ車の設定もあったが、クロストレックは2ℓハイブリッドのe-BOXER車に一本化。スペックはXVと変わらないが、制御系の改良により中速域特性が高まっている。
設計面のハイライトとなるのが、フルインナーフレーム構造を取り入れたSGPの進化。上位モデル譲りの知見が注がれることで、車体ねじれ剛性が10%向上している。

■新型クロストレック 主要諸元(上級グレード車 AWD仕様 ※プロトモデルの数値)
●全長×全幅×全高(㎜):4480×1800×1575 ●ホイールベース(㎜):2670 ●車両重量(㎏):1610 ●パワーユニット:1995㏄水平対向4気筒DOHC(145PS/19.2㎏・m)+モーター(10kw/65Nm) ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)ベンチレーテッドディスク(R)
●サスペンション:ストラット式(F)ダブルウィッシュボーン式(R)タイヤ:225/55R18

上位モデル譲りのシャシー&ボディ設計を取り入れることで、動的質感が大きく向上。低重心車体の恩恵もあって、路面からの突き上げ感が大幅に軽減している。
XVはAWD車のみの設定だったが、クロストレックにはFF車も用意された。良く動くサスストロークのおかげもあって、コーナリング性能も良好。スポーティ重視ならばFFを選ぶ価値は大いにありそうだ。
試乗時点ではグレード名は未定で、標準仕様車(左)と上級仕様車(右)の2つがラインナップすることが明かされた。加飾やホイールが異なる(17インチ/18インチ)ものの、パワートレーンや主要走行関連機能は同等のものが与えられる。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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