新車試乗レポート
更新日:2023.02.22 / 掲載日:2023.01.20

新型レクサスRX 350/450h+/500h 乗り比べレポ!

次世代LEXUS、注目の走りの実力は?

次世代レクサスの主力モデル「RX」がついに公道デビュー。3つのパワーユニットはいずれも世代トップの性能が与えられているだけに、走りの実力が気になるユーザーも多いはずだ。選んで満足のグレードは如何に?

●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之

LEXUS 新型RX試乗リポート

ハンドリングを追求しつつも
快適性も強く意識した味付け
 発表資料で感じた印象はキープコンセプト路線と思えたが、いざ実車を目の当たりにするとこれまでのRXにはない奥ゆかしさみたいなものが感じられた。サイズ的には全幅が拡大しているのだが、装着タイヤの径やホイールベースの増加もあり、遠目には一回りコンパクトになったようにも見える。取り回しサイズも同様であり、外観や取り回し感で大きさをあまり意識させないのが新型の特徴だ。
 従来型も乗り心地の向上を意識した味付けだったが、新型はさらに快適さを意識している印象を受ける。最も分かりやすいのは乗り心地で、バネ下重量等のハンデが大きい大径の低扁平タイヤを装着しているわりには、路面当たりは穏やか。試乗した3つのグレードとも試乗中に身体に響くような突き上げは一度も感じられなかった。
 ただ、サスはよく動くが、ストロークの速度は速く動きも細かい。粘るような感覚が少々希薄だ。細かく動くサスは、しなやかな印象だが、サイズや重量がもたらす、どっしりと腰の据わった感覚が希薄。軽快という言い方も可能だが、車格感という視点では、もう少し重質な味わいが欲しくなる。
 ハンドリングも穏やかで御しやすい特性。操舵初期の回頭や横Gの立ち上がりの急激な変化を抑えて神経質な操舵感は皆無。だからといって鈍重な訳でもなく、深めの舵角で素直なライントレース性を示してくれる。減速しながらラインを絞るようなアプローチを試みても乱れが少なく、ドライブモードをスポーツにセットしてもそれは変わらない。ハンドリングの道理に則った特性はドライバーにとって快適性の要点のひとつと言える。

3つのパワートレーンは
それぞれに優れた美点あり
 試乗したモデルのパワートレーンは3タイプ。350には2.4ℓターボ/8速AT、450h+には2.5ℓスプリット式ハイブリッド/PHEV/E-Four、500hには2.4ℓターボ/6速ATパラレル式ハイブリッド/ダイレクト4が搭載される。350と450h+のパワートレーンはNXに、500hはクラウンのRS系に展開されているシステムになる。
 この3モデルのパワーフィールがなかなか興味深い。350は弾ける様な加速感や高回転域の伸びやかさが特徴。急加速を試みるとダウンシフトの一瞬の後に蹴り出し感が強調。一般走行では穏やかだが、スポーティドライブではリズミカルで昂揚感のあるパワーフィールを示す。シフト操作でリズムを刻みながら加速度と回転数を管理するのは、内燃機+ステップ変速の醍醐味ともいえる。
 一方、新型RXの環境性能のリーダーにもなる450h+は、穏やかさと力強さの巧みな両立と、静かな電動走行が特徴。アクセル踏み増し時の初期加速反応は350より早いが、急激なトルク変化を抑えて繋がりのいい加速度増が力強さを印象付ける。速度や勾配の変化を意識させないパワーフィールともいえ、寛ぎを主としたプレミアムを実感させてくれる。ただ350と比較すると昂揚感や操る醍醐味は今ひとつだ。
 350と450h+のそれぞれの特徴を兼ね備えるのが500hである。2.4ℓターボと6速ATが生み出す小気味よさと伸びやかさを、強力な電動アシストで嵩上げする印象。タイムラグはほとんどなく、ターボのトルクに乗った加速へと繋がる。もちろん、ステップ変速の心地よさもあれば、マニュアル変速のリズム感もいい。巡航から緩加速にかけての穏やかなアクセルコントロールの反応の良さとコントロール性はHEVならではだが、それでいて昂揚感あるスポーティと悠々ツーリングの特性を状況に則して使い分ける二面性を持つことは500hの見所といえる。
 ちなみに燃費性能はWLTC総合モード燃費で350が11.1㎞/ℓ(4WD)、HEV走行時の500hが14.4㎞/ℓ、450h+が18.8㎞/ℓで、パワートレーンのキャラどおりの順番になる。
 寛ぎを軸にした走りが楽しめることが新型RXの特徴。450h+はそのキャラが特に強く不要な刺激を抑えているので、幅広いユーザーに安心してオススメできる。
 さらに予算面だけでなく3タイプのパワートレーンをパワーフィールのキャラで選び分けられるのも好感を覚えるところ。NXにも感じられたレクサスの新世代を予感させるモデルに仕上がっていた。

RX450h+“version L”

価格:871万円

■主要諸元(RX450h+“version L”)
●全長×全幅×全高(㎜):4890×1920×1700 ●ホイールベース(㎜):2850 ●車両重量(㎏):2160 ●パワーユニット:2487㏄直列4気筒DOHC(185PS/23.2㎏・m)+ツインモーター(134kW/270Nm【フロント】40kW/121Nm【リヤ】) ●WLTCモード総合燃費:18.8㎞/ℓ ●燃料・タンク容量:プレミアム.55ℓ ●最小回転半径:5.9m ●サスペンション:マクファーソンストラット式(フロント)マルチリンク式(リヤ) ●タイヤ&ホイール:235/50R21

全長4890㎜は従来型と同サイズだが、ホイールベースは60㎜拡大した2850㎜。さらに低重心設計やトレッド拡大(前+15㎜/後+45㎜)により、走行性能を意識したパッケージ設計を採用する。ちなみにプラットフォームは「GA-K」の改良型になる。
450h+は、2.5ℓ直4DOHCに前後のツインモーターが組み合わせるAWDモデルのみ。リヤモーターはE-Fourを採用するが、前後駆動トルク配分100:0〜20:80で常時可変を行うことで高い接地感を実現する。
PHEV車は外部給電にも対応。ボディ右側後方には充電用のポートが設置されているが200Vの一般充電用。急速充電には対応していない。

RX500h“F SPORT performance”

価格:900万円

■主要諸元(RX500h“F SPORT performance”)
●全長×全幅×全高(㎜):4890×1920×1700 ●ホイールベース(㎜):2850 ●車両重量(㎏):2100 ●パワーユニット:2393㏄直列4気筒DOHCターボ(275PS/46.9㎏・m)+ツインモーター(64kW/292Nm【フロント】76kW/169Nm【リヤ】) ●WLTCモード総合燃費:14.4㎞/ℓ ●燃料・タンク容量:プレミアム・65ℓ ●最小回転半径:5.5m ●サスペンション:マクファーソンストラット式(フロント) マルチリンク式(リヤ) ●タイヤ&ホイール:235/50R21

ベースエンジンが2.4ℓターボになり、駆動モーターもリヤに高出力モーター「eAxle」を搭載。より緻密な四輪駆動制御を取り入れたことで動力性能面でも1ランク上の性能を手に入れている。
マットブラック塗装の21インチアルミホイールもFスポーツ専用アイテム。フロントブレーキシステムはFスポーツパフォーマンス専用の6ピストンブレーキキャリパーを装着。

RX350“VersionL”

価格:705万円
2.4ℓターボを搭載するRX350は、シリーズ唯一の内燃機モデル。グレード構成としては下位になるが廉価仕様ではなく、最新ターボと8速ATの相乗効果で走りの質は良好。スポーツ走行を求める向きには最適の選択にもなりうる。

【VS】ライバルはこれだ!

新型RXの登場でプレミアムSUV戦線はどうなる?

輸入車勢がライバルになるが、
価格と電動技術で優位に戦える

 エントリーモデルの350バージョンLのFF車で664万円。450h+バージョンLでは871万円、最高価格の500h Fスポーツパフォーマンスは900万円になる。
 この価格レンジで展開する国産SUVはなく、ライバル車は輸入車。それもベンツ、BMW、アウディのドイツプレミアム御三家だろう。ただ、同価格で真っ向からぶつかるモデルがない。RXと同車格となるモデル、ベンツ車ならGLEクラス以上になれば価格は1000万円を超えてしまう。再びベンツを引き合いに出すなら車格面では1クラス下がるがGLCクラスが被ってくるが、それもHEVや高性能仕様など性能面のプレミアムを求めれば1000万円超。価格も含めてがっぷり四つのモデルが見当たらない。HEVなどの電動系先進技術を盛り込んだモデルを手頃な価格で提供するのは国産車の強味であり、RXも例外ではない、買い得感で選ぶようなクラスではないが、輸入ライバル車と比べればコスパの良さも魅力だ。

メルセデスベンツ GLC ●価格:768万〜1076万円
メルセデスベンツ GLE ●価格:1059万〜2101万円
BMW X3 ●価格:721万〜1338万円
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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