新車試乗レポート
更新日:2023.04.18 / 掲載日:2023.04.18

【スバル クロストレック】軽快な身のこなしに楽しさと魅力を感じる

文●九島辰也 写真●スバル

 インプレッサのクロスオーバー版として日本でも人気のスバルXV。それがインプレッサのフルモデルチェンジを機に新型へ移行した。名前はクロストレック。XVの北米でのネーミングである。

新型は「XV」改め「クロストレック」に

クロストレック

 特徴はそのキャラクター。インプレッサをベースにしていることからもわかるように、本格的なSUVではない。あくまでも実用性を持たせながらアクティブさとスポーティさをフューチャリングしている。1575mmの全高からもそれは読み取れるだろう。つまり、インプレッサ&クロストレックの関係はホンダでのシビックとZR-Vと同じようなものと考えられる。

 とはいえ、インプレッサとの差別化はしっかり図られていて、従来型よりも50mm車高を上げることで各アングルを深くしている。そこはキャンプ場付近での未舗装道路で効果を発揮する。石がゴロゴロした道でそれほど慎重になる必要はない。また、水深という面では300mmでも車内に水が入ってくることはなく、走行を可能とする。これからの季節ゲリラ豪雨が増えることを鑑みるとけっこう大切だ。見た目このくらいは平気だろうと油断して水溜りに入りスタックするクルマは少なくない。

エンジンはハイブリッド、駆動方式は4WDも用意する

クロストレック

 デザインはインプレッサと変わらない。スピード感あるシェイプと膨らんだフェンダーがアクティブさを強調する。グレードによってフェンダーのモール部分が強調されたり、ルーフレールが取り付けられたりする。スバルらしさの面では“六連星”をイメージする六角形のグリルがそれをアピールする。オーセンティックなそれは万人に受け入れられやすいアイコンだ。

 プラットフォームに関してはSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)を進化させた。ウエルドボンドの使用範囲を広げ、剛性アップと軽量化を実現。また、アウトバックから始まったウエルドナット技術でサスペンション取り付け部の剛性アップを行っている。これにより、ボディ剛性が高まり、ダンパーの減衰圧を下げることができたのは朗報だろう。乗り心地が良くなったのが想像できる。

 ユニークなのはこうしたプラットフォームの見直しと同時にフロントシートを再設計したこと。フレーム構造、取り付け構造を新しくしている。足回りに手をつけたと同時にシートを見直せば、乗り心地はさらにグレードアップされるという考えである。

 パワートレインは2リッター水平対向4気筒DOHC+モーターのe-BOXERで、リニアトロニックが組み合わされる。スタートなど加速時にモーターがガソリンエンジンをアシストする仕組みだ。駆動方式はFWDとAWD。グレードはツーリングとリミテッドがあり、前者が17インチ、後者が18インチを標準装備とする。

クロストレック

 インテリアで目につくのはダッシュボードセンターの縦型モニターだろう。テスラ、ボルボ、メルセデスSクラスなどが縦型を採用しているが、今後このタイプは増える気がする。普段使っているケータイやタブレット型ガジェットがそうで多くの人が慣れているからだ。それにナビゲーションを稼働させた時、進行方向を広く見られるのにもこちらの方が適している。その他の意匠はシンプルでよくいえば機能的だが、400万円の壁が見えてくる上級グレードではもう少し高級感を期待したいところだろう。

乗り心地を考えると17インチ仕様に魅力を感じた

クロストレック

 では実際に走らせた印象だが、各部が操作に対して素直に反応するので扱いやすさが際立った。ステアリングやアクセル、ブレーキはクイック過ぎず、それでいて鈍さはない。2ピニオン仕様のパワステもそうで、精度は上がっていても変にスポーティさが顔を出したわけでもないので扱いやすい。コーナーが連続しても気持ちよく曲がれるのがいい。

 パワーソースに関しては高速道路での安定性が想像以上。高速域でのレーンチェンジでボディが振り回れることはなかった。ステアリングセンターはしっかりしているし、それでいて操作に対しボディは捩れることなくスッと車線変更を行う。ここはひとクラス上のクルマの挙動だ。

 乗り心地に関しては17インチに軍配が上がる。というか、18インチのピッチングが気になった。一般道ではおへそ周りを意識して走っていると上下に振動しているのがわかる。これなら17インチの方が助手席、後席を配慮すればメリットはあるだろう。クロスオーバービークルの性格上大きなホイールの必要性は低い。もっといえば、16インチでもよかったかもしれない。きっと乗り心地はさらに良くなるはずだ。それでいて今時は16インチでもスタビリティは高く剛性は良くなっている。それにリプレイスも安いが嬉しい。

まとめ

 といったのが新型クロストレックとのファーストコンタクト。総合的な仕上がりはかなりいい。オススメはFWD+17インチのツーリング。ワインディングでの軽快な身のこなしを含めFWDで走らせて楽しいセッティングになっている。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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