新車試乗レポート
更新日:2023.08.31 / 掲載日:2023.06.19
【三菱 デリカミニ】売れるのも納得! 見た目も走りもいい感じ
文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス
テレビCMをヘビロテしているデリカミニ。公式キャラクターの「デリ丸。」もなかなか好評で、LINEスタンプを用意しているようだ。軽自動車のCMはスズキがチカラを入れているので認知度は高いと聞くが、データによるとデリカミニも負けていないらしい。
スーパーハイトワゴン市場に登場したニューフェイス
そんなデリカミニの特徴は、まずはスーパーハイトワゴンであること。実際に座ってみるとわかるが、この頭の上の空間は武器になる。このカテゴリーがマーケットで人気なのはよくわかる。一度慣れると他が窮屈に感じられるかもしれない。それにドライバーにとって視界が広いのもメリット。フロントウィンドウは縦方向にかなりあるので、歩道用信号の先頭で止まった時に助かる。信号が高すぎて近いと見えない場面もチラホラあるからね。
それでいて運転していてふらつくことはなく、低重心に仕上がっているのはさすが。ロールセンターも低いのでドライバーはそれほど背の高いクルマを運転している気にならない。コーナーでの深いロールは消され、荷重移動も自然に行われる。
その根底になるのは、ルノー、日産、三菱のアライアンスから生まれたプラットフォーム。高剛性プラットフォームが各方向からの入力にしっかり対応してくれる。今回は足回りにマニアックな考えを取り入れているが、それを許容するのも骨格がいいからだ。中心部がしっかりしていれば足のセッティングは自由だ。
そんな足に履くのは165/60R15のダンロップエナセーブ。通常だと扁平率55となるところ外径を大きくした。目的は見た目のアウトドア感を出すのと乗り心地の向上だ。よってタイヤは直径で16mm大きくなり、最終的に車高は10mmアップさせた。それならいっそのこと14インチにしてもっと肉厚なタイヤを履いた方がインパクトは大きくなるが、それだとブレーキが入らないらしい。
そんな話を開発陣としていると、年初のオートサロンで参考出品として165/65R15のオープンカントリーを履いた3インチアップの車両を展示したと聞いた。人気は上々だったとか。きっとマーケットはそんなモデルを期待しているのだろう。それにしてもメーカーとしては攻めた仕様である。
しっかりとした走りの感触
それじゃ実際に走らせた印象はというと、かなりしっかりしている。ステアリング操作に対する動きに淀みはなくスッと向きを変える。前述したようにその時のロールの抑え方がいい。特にフロントの足を突っ張らせることなく、自然な荷重移動を行うのは秀逸なセッティングだ。それでいてシャープすぎない。各部がしっかりしているとはいえ、エッジを効かせてはいないのは好印象。操作に対する反応はマイルドなので、広いレンジのドライバーに使いやすいと思ってもらえるであろう。人によっては運転がうまくなったような気がするかもしれない。
そんな中でちょっとだけ気になったのはタイヤからの入力なのだが、路面によってはトレッド面の硬さがそのまま伝わる。そこは燃費優先タイヤの弱点かもしれないが、もう少し当たりの柔らかい性質のタイヤを履くとなお良くなる気がする。
この他では高速道路でマイパイロットを試した。ロングタームテスト車両としてアウトランダーPHEVを普段から乗っていることもあり操作はお手のもの。というか、この操作はわかりやすくていい。ステアリング上右側にあるスイッチは右手親指だけで操作完了。一度、二度使えば目線を落とさなくても済む。
まとめ
ということで、走りはいい感じだし、“デリカ”の名前を使ってアウトドア風に仕上げているのだから売れないわけがない。
冒頭に記したようにスーパーハイトワゴンで両側スライドドアという軽自動車トレンドもちゃんと押さえている。それに訴求色のアッシュグリーンメタリックは個人的にも気に入った。グリルやフェンダーの黒との相性がいい。おすすめはこの“アッシュグリーン+ブラックマイカ”か“サンシャインオレンジメタリック+ブラックマイカ”あたり。
ちなみに、4月5日までの注文では“アッシュグリーン+ブラックマイカ”が一番人気だそうだ。グレードはT Premiumが一番。駆動方式は2WDが40%、4WDが60%となる。4WDの比率が高いのは “デリカ”の名前が効果を発揮しているのだろう。
となると、ekクロスは“D5ミニ”に車名変更してもいいかも。D5オーナーがガレージに2台並べる姿が頭に浮かぶ。