新車試乗レポート
更新日:2024.02.29 / 掲載日:2023.11.17

安らぎのジムニーシエラ5MT【池田直渡の5分でわかるクルマ経済】

文●池田直渡 写真●ユニット・コンパス、斎藤健二

 ジムニーは名車である。多分それはクルマ好きのうち、結構な割合でコンセンサスが取れていると思う。が、しかし、恥ずかしながら筆者はジムニーのバリエーションであるシエラには一度も乗ったことがなかった。スズキの広報に会うたびに「今度シエラを借りに行きます」「いつでもお待ちしています」というやりとりを何年越しに繰り返し、「シエラのMTが入りました」と言われて、ようやく重い腰を上げた。面目次第もないお話である。

さて、ジムニーシエラは、一般論として「軽じゃないほうのジムニー」あるいは「輸出仕様のジムニー」という理解で良いだろう。概略を説明すれば、シエラとは、軽クロカンのジムニーに、K15Bユニットを搭載したモデルで、4気筒4弁にVVTを備え、1460ccから75kW(102PS)130N・m(13.3kg・m)を発揮する。K型ユニットは現在のR型がデビューする前のスズキの主力ユニットであり、660ccの3気筒から1.5リッターの4気筒まで共通の設計で作られたモジュールユニットである。

 全幅については、樹脂製オーバーフェンダーで拡幅してある。それは2つのことを意味する。ラダーフレームに載るボディは軽と共通。だから広々とはしていないし、リヤシートやラゲッジに多くを求めてはいけない。そして、トレッドについては前1265mm、後1275mmから、前1395mm、後1405mmに広げられている。軽規格に縛られない分、設計自由度が上がったはずで、おそらくは限界走破性が向上している。一応断っておくが、ジムニーの世界の限界とは巨岩や崖の上り下りなので、普通の人の人生にはまるで関係ない。

 限界はともかく、多くの人がシエラに期待するのは排気量アップの分余裕ができて、色々日常使いで楽なんじゃないだろうかということではないだろうか。

ジムニーシエラは主に輸出仕様として活躍するモデルで、排気量が1.5Lとなり、トレッドも拡大される。オーバーフェンダーが軽自動車版との識別点

 結論から言うと「差がないとは言わないが大きくはない」。個体差なのかも知れないが、シエラのトランスミッションは、割とひっかかりが強く、シンクロが弱目で、操作にコツが要るMTだった。それと1.5リッターユニットはアイドリング領域のトルクが期待するほどには高くないので、少しアクセルを煽ってやらないとストンと行くんじゃないかという緊張感はある。もちろん丁寧にやればアイドルでの発進も可能だが、それには安定した集中力が求められる。なんだダメじゃんと言わないで欲しい。刮目してみるべきは価格である。最安値の5MTで186.3万円、最高値の4ATでも208.5万円。今時の新車価格としては明らかに安い。

 しかもただ安いだけではない。ジムニーシエラには明確な世界観があり、その世界観に対して完璧な(崖だろうと登れる)機能があり、ジムニーならではのスタイルがある。そういう意味ではケーターハム・スーパーセブンやポルシェ 911、マツダ ロードスター、メルセデス・ベンツ Sクラス、あるいは日産 GT-Rに匹敵する名車だと言える。そういう誇り高いクルマが概ね200万円で買えて、下取りも常に高値安定。庶民が無理せず新車で買える名車という意味では世界随一と言えるだろう。

 全般的な乗り味だが、いわゆるクロカン四駆としてはかなり穏やかで牧歌的。防御力高めな分、独特な挙動が多いこのジャンルの中で唯一軽快な走行感がある。

写真はAT仕様だが、マニュアルトランスミッションを求める世界中のユーザーのために5速MT仕様も用意されている

 運転するものとしての室内空間の設えもドライビングポジションも違和感がない。ちなみに「違和感がない」はかなりの高評価と理解してほしい。ステアリングもブレーキも自然。決して過敏ではないが正確で信頼感が高い。極低速を除けばトルクの出方も自然で好もしい。キャブの時代を知っている人から見たら、あの頃ほど回転の上下の軽快さはないが、可変バルタイ時代にそれを求めるのは欲のかきすぎである。件のMTも慣れてしまえば、発進のクセ以外はむしろ好転して軽快かつ自在に走れる。適切なギヤを自分で選んで、軽快感のあるクルマの挙動を楽しめるのはMTの美点のひとつだろう。

 舵を入れた時のロールもナチュラルで、初期ロールだけが突出して早いということもない。一言で言えば、クルマ1台を通して、全てが自然な振る舞いである

 欠点は、オーディオを含むインフォテイメントシステムの貧弱さと、ものの置き場の無さだが、小物入れ程度ならアフターマーケットパーツでなんとかできるだろう。

 ちなみに燃費は高速で15キロ前後、一般道で13キロ前後と、あまり褒められたものではないが、かと言ってジムニーを空力優先でデザインされるのはご免被りたいので、そこの否定は自制しておく。そのデザインに関してはまあ好き好きはあるかもしれないが、相当にレベルが高いと思う。660ccの新車がデビューしてまもなく試乗に出かけた時には、そこらじゅうでおじさんたちに声をかけられた「おじさんゴロシ」のデザインで、圧倒的な人気を感じたものである。

 まあ、筆者もおじさんなので、率直に言って欲しくなった。不幸なことに筆者が好むクルマは割と長距離巡航を不得手とするクルマが多いのに、職業的には長距離取材が多い。取材のアシという要求がなかったらシエラはかなり有力な候補だと思う。

 何より運転していてトゲトゲした気持ちにならない。心穏やかに走れるのが良い。そういう意味ではシエラが絶対かというと、乗り味は共通。つまりジムニーとジムニーシエラは甲乙つけ難しと言っておく。となると維持費が安い分だけジムニーかもしれない。

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池田直渡(いけだ なおと)

ライタープロフィール

池田直渡(いけだ なおと)

1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(『カー・マガジン』『オートメンテナンス』『オートカー・ジャパン』)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う。

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1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(『カー・マガジン』『オートメンテナンス』『オートカー・ジャパン』)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う。

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