新車試乗レポート
更新日:2024.01.25 / 掲載日:2024.01.23

新型クラウン「セダン」の実力公開〜公道試乗リポート〜

続々登場! 第2&第3の新CROWNの実力を徹底チェック!

トヨタのプレミアム戦略を担う新世代クラウンの「スポーツ」と「セダン」がついに公道デビュー。クロスオーバーの評価が高いこともあって、後発の2モデルの走りも大いに期待できそう。シリーズ唯一のFR「セダン」の実力は如何に?

●文:川島 茂夫 ●写真:奥隅 圭之

TOYOTA 新型クラウン セダン 公道試乗リポート

●主要諸元(HEV Z) ●全長×全幅×全高(mm):5030×1890×1475 ●ホイールベース(mm):3000 ●車両重量(kg):2020 ●パワーユニット:2487cc直4DOHC(185PS/22.9kg・m)+モーター(132kW/300Nm) ●トランスミッション:マルチステージハイブリッドトランスミッション ●WLTCモード総合燃費:18.0km/ℓ ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ベンチレーテッドディスク(R) ●サスペンション:マルチリンク式(F)マルチリンク式(R) ●タイヤ:235/55R19

シリーズ唯一のFRモデル
“王道”を受け継ぐ存在

 FRプラットフォームでセダンという組み合わせは、まさにクラウンの伝統の継承者だ。ただし、新型は車史に任せ、漠然と開発されたモデルではなく、新機軸の3シリーズに主役の座を奪われてなるものか、と主張するような力作。新型でも”セダン”がクラウンの本流と納得できる出来栄えだ。

 プラットフォームはミライと同じGA-Lで、ホイールベースはミライよりも80mm長い。この変更はVIPカー需要を考慮したもので、延長した余裕は後席レッグスペースの拡大に向けられている。

 ただし、VIPカー用途を第一の目的にしていないことは、ローフォルムなスタイリングから推測できる。キャビン後席の頭上空間こそしっかりと確保されているが、ドア開口部の高さは不足気味。さらに水素タンクをフロア下に置いているため後席の座面高も高めで、乗降時の頭抜けは今ひとつ。やはり開発時に重視したのは、ドライバーズカーとしてのクラウンだったのだろう。

 オーナードライバーにとってクラウン セダンはとても魅力的だ。ひとつはFRであることを意識させる乗り味。加速時にリヤサスが沈み込む挙動が、いい意味での重厚感を感じさせてくれる。細かな動きも含めて揺れ返しも少なく、据わりや収まりがいい。

 同系のプラットフォームを採用するミライと比較しても、一歩進んだ印象。ミライが採用していない電子制御サスのナビAI・AVSが装着されている恩恵もあるが、ストロークの滑らかさや収束感が1ランク上の出来栄え。重みがありながら据わりがいいストローク制御は、走りの車格感の差になっている。

 パワートレーンは2タイプ。ひとつはミライと共通のFCEV。FCの発電反応にはタイムラグもあるが、駆動用バッテリーとの二人三脚で駆動制御系はBEVと変わらない。即応性と制御精度の高い電動駆動だが、神経質な扱いを必要とせず、刺激的な瞬発で同乗者を脅すこともない。洗練された力強さが似合っている。

 もうひとつはHEV。2・5ℓのスプリット式に4段の変則ギヤを組み合わせたマルチステージハイブリッドを搭載する。巧みなエンジン回転数制御もあって、標準的なスプリット式と比べると内燃機車的なメリハリのあるドライブフィールが楽しめる。同排気量のFF(横置)系モデルよりも高速域での加速の伸びもいい。ただ、省燃費志向のエンジンと組み合わされたことで、基本は穏やかなドライバビリティ。迫力や昂揚感を求めるタイプではない。

 良質な走りを目指す考え方は、FF系プラットフォーム&E-Fourを採用するクロスオーバー、スポーツと同系統だが、セダンはさらに上質感や重厚さといったプレミアムモデルとしてのキャラも強く意識している。歴代クラウンを乗り続けてきたユーザーならば、新型の進化ぶりに好感を覚えるはず。クラウンが育んできた王道を受け継ぐモデルなのだ。

●主要諸元(FCEV Z) ●全長×全幅×全高(mm):5030×1890×1475 ●ホイールベース(mm):3000 ●車両重量(kg):2000 ●パワーユニット:FCスタック最高出力(128kW)+モーター(134kW/300Nm) ●WLTCモード燃料消費率:148km/kg ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ベンチレーテッドディスク(R) ●サスペンション:マルチリンク式(F)マルチリンク式(R) ●タイヤ:235/55R19
マルチステージハイブリッドは、縦型に置いた2.5ℓ直4エンジンに2つのモーターを組み合わせた上級ハイブリッドシステム。4段の変速機構が直列に配置されることでリニアな駆動制御を実現している。システム最高出力は180kWを発揮
燃料電池ユニット(FCスタック)で発電した電気を用いて駆動モーターを動かすFCEV。駆動モーターの最高出力は134kW、最大トルクは300N・mを発揮する。一充電走行距離は約820km。
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内外出版/月刊自家用車

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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