新車試乗レポート
更新日:2024.04.25 / 掲載日:2024.04.25
ホンダ・WR-Vの見どころチェック! 乗ってわかった走りの実力
ホンダの躍進を支えるクルマとして、やはりSUVの人気モデルは外すことができない。特に昨年から今年にかけてデビューした「WR-V」と「ZR-V」は、ホンダらしい小気味の良い走りが楽しめることもあって、かなりの人気を集めている。ここではまずコンパクトクラスのWR-Vの魅力に迫ってみたい。
●文:川島茂夫
HONDA WR-V 見どころチェック


コスパ良く性能機能を追求
価格だけのモデルにあらず
現行ヴェゼルのラインナップはハイブリッド車が中心ということもあって、コンパクトSUVとしては比較的高価な価格設定になっている。そこでその価格のギャップを補うために開発されたのがWR-Vだ。パワートレーンを1・5ℓガソリンNAとCVTの組み合わせに絞り込むことで、リーズナブルプライスを実現している。
そんな経緯もあって、WR-Vは価格最優先のモデルとも考えてしまうが、コンパクトSUVに求められるニーズを上手に取り込んでいる巧みな設計も注目を集める理由になっている。
まずその一つは、キャビン実用性へのこだわりだ。実は車体寸法はヴェゼルとほぼ同サイズ。むしろ全高は70mm高く、ホイールベースは40mm長くなるなど、サイズ的には若干大柄になっている。キャビン&荷室の容量はヴェゼルを上回っており、コンパクトSUVとしてはトップクラスの広さを誇る。
室内高も居住性で高い評価を得ているフィットを上回るほどだ。後席シート格納は一般的なシングルフォールディング式だが、ゆとりある荷室高も頼もしく思える。
もうひとつは、気軽に使い倒すことができる汎用性の高さがあることだ。
最低地上高は、コンパクトSUVとしては最大級の195mmを確保しているが、駆動方式はFFのみの設定と、レジャー用途で考えるには少しアンバランスな組み合わせ。ただ、段差跨ぎや腹打ちに対しては十分なアドバンテージがあるため、平坦な雪路やダート路程度ならば難なくこなしてくれる。4WDが必須なシビアコンディションでは多少の不自由も目立ってくるだろうが、レジャービークルとしては水準以上の適性を持っていると考えていい。
そして見逃せないのが走りの総合力が相当に高いこと。現行ホンダ車に採用が進むアジャイルハンドリングアシストが採用されないとはいえ、フットワークは最近のホンダ車の流れに沿った安定志向を重視した特性であり、癖のない操縦感覚と高速安定性の高さが際立っている。電子パーキングブレーキを採用していないため、ACCは約30km/h以下非対応の高速型になってしまうが、その他のホンダセンシングの基本機能は全車に標準装備。高速長距離をまったく苦にしない。
価格レンジはおおよそ約210~250万円の幅に収まっている。フィットクロスターのガソリン仕様・FFモデルが約215万円なので、実用型コンパクトカーを検討しているユーザーにとっても魅力的な価格設定だ。
SUVらしさにこだわりがあるならば、中途半端な印象がするだろうが、手頃な予算でタウン&レジャーに使い勝手のいいクルマを求めるユーザーにはとてもバランスがいい一台だろう。
WR-V スタイリング
実用性を意識したロングキャビンのプロポーション。クラッディングパネルや高めのベルトライン、骨太なリヤピラーなどでタフなSUVらしさもしっかりと主張している。アウトドアレジャーの場にも似合うデザインを採用していることも魅力のひとつになっている。


●主要諸元(WR-V Z+) ●全長×全幅×全高(mm):4325×1790×1650 ●ホイールベース(mm):2650 ●車両重量(kg):1230 ●パワーユニット:1496cc直4DOHC(118PS/14.5kg・m) ●トランスミッション:CVT ●WLTCモード総合燃費:16.2km/ℓ ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/リーディングトレーリング(R) ●サスペンション:マクファーソン式(F)車軸式(R) ●タイヤ:215/55R17
WR-V キャビン&ユーティリティ
室内長も室内高もコンパクトSUVとしては最大級。ヘッドルームやニースペースは十分な余裕がある。後席格納はシングルフォールディング式で段差が大きくなってしまうのは残念だが、荷室容量もクラス最大級だ。ロングドライブも十分にこなせる。





WR-V 試乗インプレッション


出来の良いフットワーク! 最新ホンダの走りだ!
動力性能は1.5ℓクラスとしては標準的。全開加速で高回転を楽しめる制御にはなっていないが、力感の落ち込み感は少なめ。目立った非力感も感じない。高速長距離や山岳走行を前提にすると、もう少し余裕のあるパワートレーンが欲しくなるが、穏やかな運転でツーリングを楽しむには丁度いい。
走りの見所はフットワークの出来の良さ。長めのストロークで挙動や突き上げを抑えてくれるので、段差乗り越えや路面凹凸での不快な衝撃を上手にいなしてくれる。高速コーナリング中の加減速や路面うねりによる方向性の乱れも少なく、操舵による補正もほとんど必要がないほど。WR-Vにはアジャイルハンドリングアシストは非装着だが、操縦特性は最新ホンダ車によく似ている。