新車試乗レポート
更新日:2024.05.25 / 掲載日:2024.05.25
新型アコード公道試乗&詳報
ホンダのFCEVはHONDA 新型アコード 公道試乗&詳報世代に突入!
国内ホンダ初となる最新技術が惜しみなく注入されるなど、新世代のプレミアムセダンらしい内容で話題を集める新型アコード。当然、その走りの進化ぶりも見どころのひとつ。さっそく、リアルワールドでその実力を確認してみたぞ。
●文:川島 茂夫 ●写真:澤田 和久/奥隅 圭之
ホンダの新フラッグシップ堂々デビュー
最新e:HEVの採用で
ドライバビリティを強化
SUVの台頭もあって、セダンの立ち位置が難しいものになってきているが、それに対してのひとつの解答となるのが、スポーティという価値感だ。今回試乗した新型アコードは、ファストバックのクーペ風フォルムが強まっているが、これが最近のセダンの定番となりつつある。いまやセダンは、実用的なスペシャリティカーと考えても的外れではないだろう。
ただ、それは表層的なセダンのトレンドだ。いまでもセダンの本質は、恵まれたフレームワークがもたらす高剛性の車体設計や、防振遮音での有利さにある。これがもたらす最大のメリットは、走りの質の高さだ。
パワートレーンはシリーズ/パラレル切替式となるe:HEVの最新型を採用している。細かな解説は別項で述べるが、シリーズ稼働時は電動の駆動制御とエンジン制御のコンビネーションの巧みさが特徴だ。ペダル操作に対して唐突な反応はなく、踏み込みから滑らかにトルクが立ち上がってくれる。落ち着いた加速度変化もあって、実際の加速性能以上に穏やかな印象だ。全開加速でも威圧的なエンジン音はなく、全長5mのサイズも1・6t超の車重も意識させない。上級車らしい悠々したドライバビリティといえる。
e:HEVの強みのひとつになる、直動機構による高速巡航性能は、余力感に加えてシリーズ/パラレルの切り替えがよりスムーズになった印象。これもプレミアムキャラの強化の理由といえるだろう。
フットワークの進化で
洗練さもレベルアップ
フットワークは高度に制御された電子制御ダンパーを採用した足回りと、AHA(アジャイルハンドリングアシスト)から進化したMMS(モーションマネジメントシステム)の採用が注目点。
ともに電子制御の介在を感じさせないのが優秀な電子デバイスで、接地安定性とラインコントロールを意識した素直な操縦性が印象的。最近のホンダ車に共通する運転しやすさを、アコードもしっかりと継承している。従来型も落ち着いた運転感覚を武器にしていたが、新型と比較すると、回頭挙動や過渡特性に忙しさを感じてしまう。新型のほうが「大人のクルマ」らしく、より安心して身をまかすことができる。
なお、走行モードのダンパー制御をスポーツにセットすると中立点の減衰力が高くなるため、初期応答性がさらに向上するが、コンフォートにセットしても応答遅れはなく、コーナリング中の姿勢安定も良好だった。コンフォートとスポーツのサス制御で最も差を感じるのは乗り心地で、スポーツだとコンフォートでは意識しないパッチやひび割れた路面での細かな突き上げが目立ってくる。
ちなみに装備機能面のさらなる充実も新型の魅力の一つで、落ち着きのあるインテリア、シートに身を委ねるような居心地の後席機能、アンドロイドOSをベースにスマホ同様の多彩な機能拡張を可能としたグーグルとの連携、さらに運転支援機能は自動車線変更機能も備えたホンダセンシング360を導入している。来年にはハンズオフ走行も含む部分自動運転走行を加えたホンダセンシング360+の導入も控えているとのこと。
これら最新機能の充実ぶりにも目移りするが、最も印象に残ったのは良質な走りだ。特にドライバーにも同乗者にも、ストレスが少ない挙動や操縦感覚は新型ならではのアドバンテージ。最新セダンに求められるニーズを汲み取った、ホンダの今を実感させる走りに感心させられた。
新型アコード《注目装備&メカニズム》
モーションマネジメントシステム
アダプティブダンパーシステム
新開発e:HEV
ホンダセンシング360
Googleビルトイン
新型アコード《結論》
アコードは、見た目も走りも正統派路線を追求する王道セダン
セダン市場の逆風もあって国産上級セダンは激減している。そんな背景もあってライバルとして最も適当になるのはクラウン クロスオーバーだ。一昔前なら「アコード」と「クラウン」では車格違いも甚だしかったが、クラウン クロスオーバーは車体設計としてはカムリの発展型ともいえ、実際、価格的にもラップしている。
ただ、逆風への対応策はアコードとクラウン クロスオーバーは真逆だ。クラウン クロスオーバーは外観にSUVスタイルを採用し、スポーツ&スペシャリティ志向を強めており、上級グレードには高性能を売り物にしたスポーツハイブリッド仕様も設定される。
一方、アコードはスポーティな雰囲気を纏いながらも、上級セダンの本質にこだわったモデルに仕上げている。これは外観の違いだけでなく走りにも現れており、クラウン クロスオーバーは刺激を求めたダイナミックな味が強い。セダンらしい良質さをモノサシに語るなら、アコードのほうが一枚上手だ。