新車試乗レポート
更新日:2024.10.31 / 掲載日:2024.10.31

割り切って使うなら最高の相棒【ホンダ N-VAN e:】【工藤貴宏】

文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス

 「N-VAN e:(エヌバン イー)」は、ひとことでいえばホンダの軽商用車「N-VAN」をEV(電気自動車)に仕立てたクルマ。ホンダが日本におけるEV本格普及の第一弾として位置づけているモデルです。

 ただ、最初に伝えておきましょう。このクルマは「マッチングがいいユーザー」と「そうでもない人」が極端に分かれます。クルマ選びで失敗しないために、まずはそこを理解することが大切です。

N-VAN e:購入に向いているのはこんなひと

N-VAN e: L4

 では、マッチングがいいのはどんなユーザーか?

 まずはEVを買うことに抵抗がないこと。航続距離も長くない(カタログ記載のWLTCモードで245km)から、原則的にはセカンドカーとしての所有がオススメです。郊外では、1家に2台以上クルマがあるのも珍しいことではありません。ガソリン/ディーゼル車やハイブリッドカーをファーストカーとして遠くへ出かけるときはそのクルマを利用し、セカンドカーとして日常の街乗り時にN-VAN e:を使う。そんな使い方がいいでしょう。

 また、自宅(通勤先などでもOK!)に充電設備があることも前提としたいポイント。なぜなら外で急速充電器を使うとエネルギーコストが高くなるので、せっかくなら安く済ませるために自宅で充電したいからです(自宅充電のほうが電気代が安い)。たとえ、いま自宅に充電設備がなくても、心配はいりません。一戸建てであれば10万円程度で設置することができます。いっぽうマンションなど集合住宅だと後から設置するのは大変です。

 電気自動車を自宅外だけで充電する使い方もできなくはありませんが、それって実は意外に煩わしい。家に帰って、バッテリー残量が少ないときは充電ケーブルをつなぐ。基本はそんな自宅充電ですね。ちなみにN-VAN e:は、最上級の「e:FUN」のみ急速充電ポートが標準装備で、ほかのグレードはメーカーオプション設定なのでご注意を。

N-VAN e: L4

 マッチングを左右するポイントは、ほかにもあります。それは「シンプルなクルマでも受け入れられる」ということ。N-VAN e:は商用車として開発されました。だから言葉を選ばずに言うと、快適装備類はシンプル。まるで商用バンとかトラックのようですから「質素なインテリアでも構わない。快適装備は欲張らない」という人だけが、このN-VAN e:を選ぶ資格があるといってもいいでしょう。快適装備の充実を求める人は「N-BOX」などほかのクルマのほうがいいですね。

N-VAN e: L4

 運転席以外(助手席や後席)は補助席のような位置づけで、座り心地よりも格納性優先(そのかわり畳んで床下へ収まるのが凄い)。4人で快適に移動しよう……っていうのは諦められる人のためのクルマです。本当にシンプルでクッションも薄いから、同乗者も笑顔でいられるのは長くても30分くらいでしょうか。子供の送迎やスーパーへの買い物なら問題なさそうですね。

 その代わり荷室は広く、助手席まで畳めば自転車どころかバイクまで積めます。そんな広大で実用的な荷室がEVであることと並ぶこのクルマのベネフィットなので「小さなクルマで荷物をたくさん運びたい」なんて人にはちょうどいいでしょう。

 いかがですか? もしもあなたが、質素なミニマニズムな生活を送っているなら、こんなシンプルで実用的なEVもきっと似合うでしょう。あとは「セカンドカーでどうせ足に使うのだから、シンプルでいいの!」という人ともマッチングがいいでしょう。

 いっぽうで、向かないのは上記とは逆の人。EVに抵抗がある人はやめておいたほうがいいし、複数台所有ではなくこれ1台だけですべて賄おうというのもちょっと辛い(「遠くへ出かけるときはレンタカー」と割り切るならそれもアリ)。自宅に充電設備がない人や長距離を走ることがある人もやめておいたほうがいいでしょう。

 あと上質なインテリアや快適装備を求める人も、マッチングは良くないでしょうね。

N-VAN e: L4

 どうしてN-VAN e:はそんなに尖ったクルマなのか?

 それはターゲットを明確にした、軽の貨物車だから。乗用車ではないのです。

 そもそもN-VAN は、乗用モデルで快適性を求めたN-BOXに対してシンプルに仕立てて実用性を強調した商用モデル。快適装備はないし後席も狭いけれど、広い荷室があって、横(助手席側)から大きな荷物を出し入れするためのBピラーレス開口部もあって、荷物を運ぶ車両として実用性が高いのが特徴。後席はもちろん助手席迄床下へ格納できるアイデアはちょっと凄いですね。プロユースというか、余計なものをそぎ落とした質実剛健な実用ツールというわけです。

 N-VAN e:はそんなN-VAN のEVモデルなのだから、方向性も同じ。そこをしっかり認識しておいたほうがいいでしょう。

力強い走りはもちろん、室内の作りもガソリン版と細かく異なる

N-VAN e: L4

 ちなみにこのN-VAN e:、単にN-VANのパワートレインをガソリンからEVに置き換えただけかといえば、そうでもないのが面白いところ。

 たとえばシートアレンジは、全グレードとも助手席&後席付きの4人乗りとしているN-VAN に対し、N-VAN e:は4人乗りだけでなく、助手席と助手席側後席のない“2人乗り”や、助手席も後席もない“1人乗り”も設定(グレード別設定)。「1人が乗れればいい」とか「2人乗りたい」というニーズを叶える、個性的な設定になっています。

 インテリアは、液晶の大きなメーターやボタン式のシフトセレクターを採用して先進的な印象としているのがガソリン車との違い。でもそれだけじゃなくて、よく見ると空調のコントロールパネルもパワーウインドウのスイッチ(ガソリン車はドアにあるけどEVはインパネ中央にある)なんかも別物。そもそもダッシュボード自体が違うのです(地味だけど凝ってる!)。

 しかもドアや荷室の内張まで別設計。そこまで変えるのか?と驚かずにはいられませんよね。商用車&電気自動車として最適化というわけです。

 そして、走りはかなりハイレベル。まず加速が力強い。滑らかだけど、アクセル全開にするとけっこうな勢いでグイグイ加速していきます。これこそがモーターのメリット。最高出力は53~64馬力とガソリン車同等ですが、最大トルクは162Nmとガソリンターボエンジンの約1.5倍。ガソリンエンジンでいえば、排気量1.6Lクラスの実力です。この加速性能を秘めているというだけで、ガソリンじゃなくてEVを買いたくなる……というのは嘘じゃありません。気持ちいいです。

 そんな動力性能のおかげで、普通の軽自動車ならエンジン回転を上げないと登っていかないほどの上り坂だって楽々だし、荷物満載でも安心。EVって素晴らしいですね。

 そのうえコーナリングの安定感も、ガソリンのN-VAN以上の落ち着き。バッテリーを床下に置いたことで重心が低くなったから、曲がっている時も車体が安定するのです。

 走行中の音も静か(エンジン音がしないから当然!)だし、エンジンがないのでそれに起因する振動もない。そういう部分では、とっても快適です。すなわち「EVの走りは素晴らしい。シンプルなEVが欲しい」という人には超おススメできます。

N-VAN e: 4つのグレードを解説

N-VAN e: FUN

 さて、グレードの説明もしておきましょう。N-VAN e:には4つのグレードがありますが、そのうち“商用ニーズ”に全振りした一人乗りの「e:G」と2人乗りの「e:L2」は基本的に法人営業とサブスクのみ。一般のひとが買えるのは4人乗りのベーシックグレード「e:L4」(先進安全装備も「e:L4」より充実)と4人乗り上級タイプ「e:FUN」の2グレードとなります。価格は「e:L4」が269万9400円(急速充電ポート付は280万9400円)。「e:FUN」が291万9400円(急速充電ポート標準装備)となっています。

N-VAN e: FUN

 個人ユーザーであれば、スマートキーなど快適装備が付いたうえで、見た目も丸いヘッドライトなどで“脱商用車”している「e:FUN」が絶対にいいでしょうね。

 確かに価格は、ガソリン車のN-VANに比べても高いのは否めません(バッテリーが高いのです)。ただ、2024年度だと国からの補助金が55万円(事業用の黒ナンバーは100万円)受けられる(加えて自治体によっては独自の補助金もあり東京都は35万円~)から、それを加味すれば「ガソリン車よりもちょっと高い」とか、条件がいい人は「ガソリン車と同じくらい」の価格で購入可能。そう考えると、車両価格よりは身近に感じられるのでないでしょうか?

セカンドカーに割り切れば最高のパートナーかも

N-VAN e: L4

 繰り返しになりますが、そんなN-VAN e:の本来の姿はプロツール。だけど、カーライフがそこにマッチしているのなら、プライベートカーとして選ぶのも大いにアリでしょう。

 筆者個人としては、近所の足にするならこんなクルマは最高だと思います。装備がシンプルかつ運転席以外の居住性が良くないことを忘れれば、実用的だし走りが快適ですからね。「割り切りのセカンドカー」としては最高のパートナーじゃないでしょうか。

 ちなみにこのN-VAN e:は、何を隠そう軽スーパーハイトワゴンタイプとしてははじめてのEVモデル。スライドドア付きの商用車としては三菱「ミニキャブEV」もあるけれど、そちらはN-VAN以上に商用車設計でフロアは高いし、運転ポジションも独特。骨の髄まで商用車設計なのです。比べると一般ユーザーならN-VAN e:のほうが馴染めるし便利なのは間違いないでしょう。

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工藤貴宏(くどう たかひろ)

ライタープロフィール

工藤貴宏(くどう たかひろ)

学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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