新車試乗レポート
更新日:2024.11.30 / 掲載日:2024.11.30
RXに乗って最近のレクサスを考える【九島辰也】
文●九島辰也 写真●レクサス
最近あまり大きな動きのないレクサスですが、それなりにモデルは進化したり新たに登場したりしています。今年、話題となったのはLMの3列シート。そもそもショーファードリブン(運転手付きで走らせるクルマってことね)に特化した4人乗り仕様でスタートしたラグジュアリーミニバンですが、ついに6人乗り仕様が追加されました。1列目と2列目のパテーションはなくなり、空港やホテルの送迎用、ファミリーユースにも使えるようになったんです。富裕層の家族旅行向けにいいですね。
LBXもそうです。発表はちょうど一年くらい前ですが、今年は“MORIZO RR”といったレーシーなモデルが追加されています。つい先日サーキットでそのMT車を走らせましたがすごかった。挙動はまるでレーシングカー。カチカチっと決まるマニュアルシフトやステアリング操作に対して動く一体化したシャシーは感動的です。低音が炸裂するエキゾーストサウンドとともにスピーディな走りを楽しめました。
といったレクサスですが、このブランドの礎になっている二つのモデルを忘れてはいけません。第一号となったLSと、世界で初めてSUVをモノコックボディで造ったRXです。前者は1989年、後者は1998年に北米でリリースされました。どちらも衝撃的だったのはいうまでもないでしょう。
個人的にもこの2つのモデルは好きで、時に広報車をお借りして走らせることがあります。ともにその優位性を発揮するのは長距離ドライブ。体力的な疲れは少なく、ドライブに対してストレスなく過ごすことができます。先日はRXで愛知県まで往復しました。荷物があったので、カーゴにいろいろ積み込んで。
現行のRXは2022年11月にリリースされました。98年デビューの初号機から5世代目を数えます。エクステリアは正常進化、インテリアは最新のインターフェイスを装備します。フロント周りの“スピンドルボディ”が新たなデザインアイコンです。
お借りしたのはRX 500h。2.4L直4ターボ+モーターのハイブリッドシステム搭載車で、駆動方式はAWDとなります。バッテリーはバイポーラ型のニッケル水素電池。リチウムイオン電池ではありませんが、バイポーラ型にすることで効率を上げています。
それはともかく、このクルマでの高速移動は快適でした。“レクサス・セーフティ・システム+”や“プロアクティブ・ドライビング・アシスト”など充実した運転支援システムがドライバーのストレスを軽減してくれます。「自動運転なのでボーッとしていられる」、ということではありませんが、ステアリングの保持やスピードコントロールに細かく神経を注がなくてすみます。なので、着いてからも元気。早朝に東京を出発し、その日は1日愛知県で仕事ができました。
ちなみに、あまり周りをキョロキョロしたり、ハンドルの12時のところを掴んで運転していると、クルマに怒られます。モニターに「前方に集中するように」とか、「正しい運転姿勢をとってください」とか表示されてしまいます。この注意、最初は煩わしかったんですが、だんだんとクルマと対話しているような気分になってきました。ひとり旅にはいい相棒です。
それ以外のこのクルマの特徴はスタイリッシュなフォルムとサイズでしょうか。全長4890×全幅1920×全高1700〜1705mmは少し大柄ですが、かなりの積載量があります。今回はひとり乗車だったこともあり、サーフボードやスケートボード、ゴルフバッグ、大きな段ボールを飲み込みました。それでもまだ余裕です。それにこのサイズながらセンサーやカメラが充実しているので駐車場が入りにくかったことはありませんし、狭い道での往来もそれほど苦ではありませんでした。電子デバイスが少し過保護かもしれませんが、間違いなく注意喚起にはなります。
ということで、RXを再考してみました。北米で今も人気のクルマですから手の抜いたところはありません。いわゆる屋台骨。カリフォルニア州ではほんとたくさん見かけます。これぞまさにLAスタイルな一台。ドジャースのキャップをかぶってRXに乗り込めば、目の前の景色はサンタモニカに一変……..したらいいですね。