新車試乗レポート
更新日:2024.12.03 / 掲載日:2024.12.03

《大人気!》新型フロンクス実力検証〜試乗&解説〜

“見た目” “設え” “走り” すべてヨシッ! 注目のプレミアムコンパクトSUV

ディーラーに試乗車が用意される前の先行予約で9000台を超える受注を集めたスズキ・フロンクス。ディーラーレベルでは「納車まで相当お待ちいただくことに……」と嬉しい悲鳴をあげているようだが、クラス離れした魅力を考えると、この状況はしばらく続きそうな気配だ。

●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之

SUZUKI 新型フロンクス 実力大検証

実用性とプレミアムを
融合させた新時代のSUV
 近年、デザインや走りの付加価値を高めたSUVの人気が高まっているが、今回登場したスズキ・フロンクスは、まさにそのマーケットを貪欲に狙ってきた一台。これまで国内ではジュークやC‐HRなどが同様のアプローチで市販化されているが、フロンクスがこの2モデルと異なっているのは、エキセントリックなスタイルイメージではなく、上級SUVにも通じるクーペフォルムを採用していること。尖った個性を押し付けるのではなく、プレミアム感を上手にコンパクトサイズに織り込んでいる。
 そんな狙いもあって、フロンクスの見た目はオーソドックスな雰囲気がある。奇抜さよりも洗練されたイメージを重視したのは、スズキの世界戦略の一翼を担うモデルでもあることが大きい。
サイズ的には登録車のSUVとしては最小クラスになるのだが、実用性は良好。ここもフロンクスの大きなポイントだ。外観の印象からすると後席は狭めに感じられてしまうが、実際に乗り込むとヘッドルームの余裕は平凡だが、足元まわりのスペースは相当なゆとりがある。さらに後席の設えがしっかりしていることもあって、4名乗車の長時間走行には十分すぎるほどの居住性を備えている。たった4m足らずの全長にもかかわらず、これだけの余裕を感じることができることも、フロンクスがこのクラスの中で格上に感じてしまう理由になっている。
 車体サイズは全幅こそ1・8m近いが、全高はアンテナを含めて1550㎜。最小回転半径は4.8mでしかない。つまりコンパクトカーの魅力のひとつになる、都市部の使い勝手を考慮した設計がなされている。
 パワートレーンは1.5ℓのISG式マイルドハイブリッドとトルコン式の6速AT。経済性と実用性能を両立する車格相応の設定だ。これに静粛性を向上させたプラットフォームなど走りの車格感を高める設計が施されている。

先行注文で9000台超えの受注を獲得!

すでに納車待ちは半年以上
ディーラーは嬉しい悲鳴
 全国500か所を超える場所で先行展示を行うなど、スズキとしては異例ともいうべき販売プロモーションを行ったフロンクス。その影響もあって反響も上々で、10月の正式発売時点で先行予約が9000台を突破。予想を超えるスタートダッシュに成功した格好だが、そうなると気になってくるのが納期の問題だ。1か月あたりの販売計画台数は1000台ということもあって、すでにディーラーでは、「納車まで半年以上はかかると思ってください」と話されるほど。本誌でお馴染みの松本隆一氏も「欲しいならばすぐに契約すること。少しのタイミングの違いで納期が大きく変わりそうです」。欲しいならばディーラーに急ぐべしだ。

新型フロンクス《試乗インプレッション》

●主要諸元(標準仕様 2WD) 全長×全幅×全高(mm):3995×1765×1550 ホイールベース(mm):2520 トレッド【前/後】(mm):1520/1530 最低地上高(mm):170 車両重量(kg):1070 パワーユニット:1460cc直列4気筒エンジン(101PS/13.8kg・m)+モーター(2.3kW/60Nm) ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)ディスク(R) サスペンション:マクファーソンストラット式(F)トーションビーム式(R)タイヤ:195/60R16

高回転まで伸びる
爽快な加速感がマル
車両重量はダイハツのロッキーハイブリッドと同等で、登録車のSUVでは最軽量クラス。電動アシストと軽量ボディに助けられるとはいえ、1・5ℓNAエンジンでは悠々たる動力性能を期待するのは無理がある、と思っていたのだが、その走りは想像よりもパワフルさが際立っている。
まず最初に感じるのが、加速感の良さ。ダウンシフトに伴って回転域は高くなってくるが、エンジンフィールを損なうことなく上までしっかりと加速してくれる。全開加速時は高回転域まで使うことになるが、エンジン音は想像以上に静か。高速域でも同乗者との会話が通りやすく、ロードノイズの気にならなさも含めて、この同車格のライバル勢の中では、最も優れた静粛性を持っている。
乗り心地は少々硬め。低速域の段差乗り越えでは少し上下動を感じてしまうが、突き上げ時も角を上手に丸めたような挙動になっており、乗員の不快さは皆無だ。

高速長距離適性は
クラスナンバー1
そしてフロンクスの走りで、最も高く評価したいのは、優れた高速操安性を持つことだ。直進時、コーナー時とも接地感は十分。軽量小型車を意識させない、上級クラスのツアラーを思わせる安心感のあるハンドリングを示してくれる。軽量小型クラスは乗車人数の影響が出やすい傾向があるが、フロンクスは4名乗車でも優れた安定性をキープする。ファミリーカーとしての資質が高いことも、見逃せない美点のひとつだ。
落ち着きを重視して設定されたパワステ特性からしても高速道路を主体としたツーリング用途が得意なフットワークだ。取り回しのよさと合わせ、タウン&ツーリングの両面を高水準で両立させた走りが楽しめる。
フットワークの傾向はFFと4WDは共通だが、4WD車のほうが少し車軸周りの揺動感やハンドリングの緩さが感じられた。4WD車には滑りやすい路面での性能向上を狙ったスリップ制御機能などを採用するが、性能としては生活四駆レベル。雪路走行を前提にしないのであれば、FF車で十分だろう。
高速長距離の利便性向上の要となるACCやLKAとの相性もよく、視線移動を最小限にできるカラーヘッドアップディスプレイにしても高速走行での効果が高い。高速長距離適性は上級クラスほど有利であり、走りのプレミアム性と言い換えてもいいほど。装備機能の面においても、フロンクスは車格を超えた質を備えている。

パワートレーンは1.5ℓ直4エンジンにモーター(ISG)を組み合わせるマイルドハイブリッドを採用。K15C型と呼ばれるエンジンは、燃費性能と低中速域での力強さに定評があるスズキのグローバルエンジンのひとつ。トランスミッションはCVTではなく6速ATを搭載している。

新型フロンクス《エクステリア

LEDコンビランプの採用でひとクラス上の高級感を演出。さらに前後バンパーへのアンダーパーツの装着でスポーティな雰囲気も高めている。
アルミホイールは、切削面の外周部に段差をつけることで、堅牢さと力強さを表現したという専用デザインの16インチを採用。

新型フロンクス《キャビン&ユーティリティ》

車載ITはスマホ連携機能を備えるディスプレイオーディオを採用。車両機能の設定などもタッチ操作で行える。
シフトはオーソドックスなストレートタイプ。その後端には電動パーキングブレーキ、ステアリングにはパドルスイッチが配置される。
スピードメーターは中央にディスプレイを配置する2眼タイプ。
カメラ+ミリ派レーダーで障害物検知を行うデュアルセンサーブレーキサポートⅡを標準装着。安全&運転支援機能もクラストップ級の実力を持つ。

新型フロンクス《最終結論》

装備充実の割に価格はかなりお値ごろ!
このクラスでは明らかに格上だ
 悪路走行を前提とするならば選びにくいモデルだが、フロンクスの魅力は、サイズやクラスを意識させないルックスや走りにある。見た目も走りもプレミアム感が高いのにサイズは全長4m以下。スペシャリティ志向の外観にもかかわらず、コンパクトなサイズの中に実用性も確保されている。大きなレジャーグッズ満載というような用途は無理にしても、ユーティリティは同サイズの2BOX車と同等レベル。少し高めと思える価格も、装備充実の内容を考えれば納得できるもので、内外装の仕立てや走りの質まで含めれば買い得と言ってもいい。
 フルハイブリッド車に及ばないものの、FF車のWLTC総合ード燃費は19.0㎞/ℓと十分な性能を持つ。タウン&ツーリングに適した良質な走りとコスパの良さは、上級モデルからの買い替えを考えているダウンサイザーにとっても最有力候補になるはずだ。

新型フロンクス 主要装備一覧

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  • 年式 : 2024年
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  • 車種 : フロンクス
  • 年式 : 2025年
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  • 車種 : フロンクス
  • 年式 : 2025年
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  • 車種 : フロンクス
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  • 車種 : フロンクス
  • 年式 : 2024年
  • 走行距離 : 29km
  • 車検: 検9.10
  • 支払総額:320.8万円
  • 車両本体価格:304.8万円
  • 車種 : フロンクス
  • 年式 : 2024年
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  • 車種 : フロンクス
  • 年式 : 2024年
  • 走行距離 : 29km
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内外出版/月刊自家用車

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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