新車試乗レポート
更新日:2025.04.03 / 掲載日:2025.04.03
想像以上の力強さ! 新型フォレスター走りの実力をチェック【九島辰也】

文●九島辰也 写真●スバル
新型フォレスターのプロトタイプに触れた。まだ認証を取得する前なのだろうか、ナンバープレートが付かない状態の車両をクローズドエリアで走らせるというメディア向け試乗会である。
「プレミアム」と「スポーツ」をサーキットで試乗



プロトタイプとはいえクルマは完成車であり、市販車と同等の性能を持っている状態。エンブレムも付き、ボディカラーもキレイに塗られている。というか、スタイリングはカッコよく、SUV然としたデザインは好印象だった。特に分厚くなったグリルがいい。聞くところによると、上のクラスの人気モデルを参考にしたとか。ランドクルーザーやフォードF150なんかの名前を耳にした。



ステアリングを握ったのは2.5リッター水平対向4気筒+2モーターのストロングハイブリッドを動力源とする「プレミアム」と1.8リッター水平対向4気筒ターボの「スポーツ」。タイヤは前者が235/50R19のブリヂストンTURANZA、後者が225/55R18のファルケンZIEXを装着していた。駆動方式はどちらもAWDとなる。
「プレミアム」は力強さが印象的で19インチでも快適

試乗コースは袖ヶ浦フォレストウェイが使われた。高速コーナーと直線を組み合わせたその外周路と、テクニカルなハンドリングを要する内周路を走らせるというものだ。
2つのパワソースからなる車両を何周か走らせるとそれぞれの特性がよくわかった。特に外周路では速度域が上がるので、挙動の違いがはっきりする。例えばコーナー出口からのドーンという加速は「プレミアム」の得意領域。モーターがエンジン出力からの駆動力をアシストし、車両をグングン引っ張って行く。加速の鋭さは言わずもがな。コーナー手前では想定以上にブレーキペダルを深く踏み込むことを必要とする場面もあった。
直線ではその抜群の安定感が際立つ。日本の高速道路での常用スピードあたりでの信頼性は高いといえよう。それを想定したレーンチェンジも数回行ったが問題なし。ステアリング操作に対し、キレイに移動したい位置におさまってくれる。
さらにいえば、19インチでこの乗り心地はかなり優秀。直線での加速や一定舵角での高速コーナーでのフラットライドは気持ちがいい。きっとサスペンションセッティングをソフトにしてよく動かせているのだろう。バネ下の柔らかな動きが快適さをキープする。
ただ調子に乗ってどんどんアクセルを踏み込んでいくといろいろ起きるのは確か。重心は低くロールセンターとの距離も短いためロール角は最小限に抑えられるが、ステアリング操作のタイミングを間違えれば揺り返しは起きてしまう。もちろん、そもそもSUVを走らせるにはそぐわないシーンなので、そういった走りはあまり参考にならないが、スバルだからといった過信は禁物だ。
「スポーツ」は軽快な走りが気持ちいい

「スポーツ」の走りはまんまスバルらしい動きを体感できる。「プレミアム」よりもおよそ100キロ軽い分、彼ららしいリアの粘りと、ステアリング操作に対する軽快な切り返しを味わえる。ステアリングセンターもしっかりしているので、左右に切っていく感覚が気持ちいい。加速は「プレミアム」には敵わないものの、ターボはちゃんと効いてくれるので、中間加速に不満もない。具体的には4000回転後半からのタービンの働きによる加速は頼もしい。しかもそのまま5000、6000回転へと体感するパワー曲線は右肩上がりだ。
ただ、乗り心地に関しては若干細かな路面からの入力が気になる。こちらは18インチなので19インチの「プレミアム」よりも良さそうなのだが、そうとも言えない。「プレミアム」は車両重量がかさむ分しっとりさが加わるのかもしれない。
ドライバーの意思に素早く反応するスバルらしい走り

というのが、プロトタイプをクローズドで走らせた印象。スバルらしくちょっと踏み込んだ走りにもしっかり対応している。次の走りのステージはナンバーを付けて一般道と高速道路、ワインディングってところだろう。箱根の山間あたりで、また違った顔を見せてくれるのを期待する。