新車試乗レポート
更新日:2025.04.04 / 掲載日:2025.04.04
PHEV登場! 新型アルファード/ヴェルファイア《試乗テスト》
TOYOTA 新型アルファード/ヴェルファイア PHEV 魅力大研究
持続可能な社会の実現に向け、トヨタが掲げる「マルチパスウェイ」の重要な選択肢の1つとして位置付けられるPHEV(プラグインハイブリッド)。さらに日本で最高峰のプレミアムラグジュアリーミニバンとしての地位を確立しているアルファード/ヴェルファイア。この2つが合わさることで、その走りはどれほどまでレベルアップしていたのだろうか?
●文:まるも亜希子 ●写真:澤田和久
プラグインの実力は予想以上! まさに「最高の移動空間」

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トヨタPHEVとして急速充電にも初対応
今や高級ミニバンの頂点に君臨するアルファード/ヴェルファイア。2023年6月にフルモデルチェンジを果たした現行型は、世界最高水準に引き上げられた基本性能に加え、ゴージャスなシートなど室内空間のホスピタリティも格段にアップ。その効果は従来のユーザーだけでなく、ショーファーカーとしてのニーズもガッチリつかんでおり、今回導入されるPHEVモデルはその集大成ともいえる一台だ。
PHEVは、豪華キャビンを武器とするトップグレード「エグゼクティブラウンジ」に4WDのE-Fourを組み合わせた6人乗りモデルとして設定される。
これまでラインナップしていた既存グレード(ガソリン&ハイブリッド)とPHEVの外観の差はごくわずかだ。リヤゲートに「PHEV」のエンブレムが追加されたことと、充電口が設置されたことくらいで、ことさらPHEVであることを主張しないのは、RAV4 PHEVなどと同様だ。
ただ、充電方式は、これまでトヨタのPHEVモデルは普通充電のみとしていたが、アルファード/ヴェルファイアPHEVは急速充電にも対応している。
バッテリーは床下に18.1kWhの容量を搭載し、一充電あたりのEV走行距離は73kmを実現しているが、ショーファーカーならではの使い方として長い待機時間に空調などが使えたり、早朝や深夜の送迎などでも静かに走りたいことから、出先でも短時間で充電ができるようにとの配慮から変更されたという。50kWhの急速充電器なら、約38分で80%程度までの充電が可能になっている。
極上キャビンの魅力に加えて走り&乗り心地も最上級
搭載する2.5ℓシリーズパラレル式プラグインハイブリッドシステムは、システム出力225kW、0-100km/h加速7.1秒、燃費(WLTCモード)16.7km/ℓを達成。パワーも加速性能も燃費も、ハイブリッドや2.4ℓターボを凌駕する。走行モードは「EV」「HV」「オートEV/HV」が設定されており、速度で約120km/hまでのEV走行を可能としている。
そんなシステムの違いもあって、今回の試乗では、まずEVモードから試してみた。すると発進直後から重厚感を感じるとともに、静かで滑らかな走り出し。ボディ全体が強固なカタマリであると感じさせる落ち着いた乗り心地が、高い上質感を生み出している。ちなみにPHEVでは、リヤラゲージ部カーペットの遮音量が1400g/㎥となる素材に変更したり、インパネ内の吸音材を追加するなど、適材適所の吸遮音材を設定したという。ほかにもアンダーカバーの範囲拡大や、マフラー形状を工夫して床下流速をアップさせることで、ダウンフォースも強化。この効果によって車両安定性が大きく向上していることも体感できた。
HV(ハイブリッド)モードに切り替えるとエンジンが始動するが、「気配」が伝わってくる程度の静かさということにも驚かされた。これはHVモードの時もバッテリーパワーを最大限に活用し、エンジン回転数を通常で700rpm前後に抑え、回っても2000rpm以下に抑えているからだという。
そして一般道から高速道路まで、さらに感心したのは「EV」と「HV」が自動で切り替わるオートモードの出来の良さ。発進から高速度域、ストップ&ゴーから合流や追い越しなどの強めの加速時まで、どこでEVとHVが切り替わっているのかわからないほど、シームレスでスマートだ。
さらに、ショーファーカーにマッチした「おもてなし」のブレーキ性能をサポートする「スムーズストップ」という制御が採用されており、ブレーキの踏み始めで制動力前後配分を最適に制御することで、ミニバンで感じやすい前のめり感を抑制。停止間際にカックンとなる不快な挙動を抑え、スーッとブレーキ抜きをする熟練ドライバーのペダル操作を車両側でやってくれる。普通に運転しているとあまり感じなかったが、ラフにブレーキングしてみると確かに制御してくれていることが分かる。
最後にセカンドシートに座ってみると、シームレスで静かな走りと安定した乗り心地で、申し分のない心地よさを実感。運転席とは違った極上空間が楽しめる。高級ミニバンの歴史が再び塗り替えられる、そう思えるほどの素晴らしい一台だ。




新型アルファード








新型ヴェルファイア




さらなる高みを目指した究極のショーファーモデル「スペーシャスラウンジ」も登場
今回の一部改良のもうひとつの目玉といえるのが、アルファードに設定された特別架装車「スペーシャスラウンジ」だ。トヨタ車体の手で4座仕様に設えたこのモデルには、ショーファーカーの究極を実現する特別な装備が目白押しだ。

通常モデルの上をゆくおもてなし装備がズラリ
ショーファーカーとしての価値をさらに高める一台として開発されたスペーシャスラウンジ。外観からしてセミマットなブラックカラーで特別感を醸し出しているのだが、これは95万円でオプションとなっているラッピングの「ペイントプロテクションフィルム」によるもの。施工には1週間ほどを要するが、一度施工しておけば飛び石や爪などによる傷がつきにくく、機械洗車にも対応しているとあって多くの注文が入っているそうだ。
目玉の室内まわりに目を向けると、やはりリヤスペースに設置される大きなシートが目を惹く。キャプテンタイプ2座のリヤシートは、通常のエグゼクティブランジ車よりもクッションを柔らかくしたほか、ヘッドレストを高くして周囲から人が乗っているかどうかがわからないようにしているとのこと。これはプライバシーや防犯上の理由からの選択という。さらにヘッドレストにはスピーカーを内蔵し、通常より420mmも広くなった足元スペースのマットには、毛足の詰まった特別仕様のマットも敷かれる。フロント部との境目には冷蔵庫と手荷物などが置ける大型フロアトレイが設置されており、ここは靴を脱いでおく場所として使うことが想定されている。
またフロント側と仕切ることができるカーテンにも工夫が凝らされている。このカーテンはモデル専用に新開発されたもので、遮音性を高めていることが特徴。見るからに分厚い素材で展開するにも少し手間がかかるものだったが、リヤシートに座ったVIPが運転手に聞かれたくない話もできるレベルだという。
ラゲッジは通常ならゴルフバッグ4個の積載が可能な大容量ラゲッジスペースだが、この仕様では上部にバーが備わり、9着の洋服がかけられる洋服掛け(取り外し可能)が設置される。これもショーファーモデルらしい機能のひとつ。細かな部分にいたるまで、乗る人への配慮を伺うことができる。
さらに、国内トヨタでは初だというフレグランスの設置も面白いアプローチ。後席などのカップホルダーに収まるサイズで、ローズ系、フレッシュ系、スパイシー系と3種類ある香りのうち、今回の撮影車には万人に好まれるというローズ系のフレグランスが置かれていた。欧州車のパフュームのようなキツイ香りではなく、ほのかに薫って包み込むような優しい香りだ。スペーシャスラウンジを選ぶユーザーには、居心地の良い空間づくりにこだわる人も多いだろうということで、新たな取り組みとして開発したという。
この撮影車はハイブリッドモデルだが、PHEVモデルも用意されるとのこと。価格はPHEVで1480万円、ハイブリッドでも1272万円とかなり高価ではあるが、ショーファーモデルとしての深化を考えれば選択肢としてはアリと思える。まさにスペーシャスラウンジは「快適に移動する幸せ」の究極を追い求めた一台だ。








