新車試乗レポート
更新日:2018.11.07 / 掲載日:2015.11.19
メルセデス・ベンツ CLAシューティングブレーク 試乗レポート(2015年11月)
CLAクラスに新たに設定された「シューティングブレーク」は、コンパクトなサイズながらアクティブかつラグジュアリーなスタイルを持ち、セダンともワゴンとも違う独特の存在感を見せる。
クーペとワゴンを融合させた新ジャンル
「クーペ」のカッコよさに「4ドア」の便利さを加え、さらに「ワゴン」の多用途性をかけあわせたシューティングブレークの追加は、CLSの弟分といえるCLAが登場したときから予想できたこと。でも、現実になったCLAシューティングブレークのまとまりのよさは・・・想像や期待を上まわるレベルにある。
見どころは、本格ワゴンに迫る積載性を誇るラゲッジと、絶妙なルーフラインにより頭上高を稼ぎ出した後席空間。CLAのウリであるスポーティさやエレガントさをスポイルすることなく、家族ユースにも応える実用性をプラスした。とびきりの多才さが光る1台だと言っていい。
心臓はガソリン直噴ターボで、122馬力/20・4kg mの1.6L版を「180」、211馬力/35・7kg mの2L版を「250」に搭載。今回は、2Lユニットに4駆を組み合わせた「250シュポルト・4マティック」をメインで試乗をした。360馬力を炸裂させるスペシャルな2Lターボを積む「45AMG」を別格の存在と考えれば、CLAシリーズのトップに位置するモデルとなる。
それだけに、どんなシーンでも光っているのはゆとり。クーペと比べれば車重が20kg重く、そこに4駆化の70kgもプラスされるが、高速クルーズでは十二分な余力と高い静粛性、そして峠道においては「スポーティ」と表現できる瞬発力や速さを提供してくれる。そしてDCTのモードを「E」から「S」に切り替えれば、応答性、パワー感、変速の速さのすべてがアップ。加えてパドルシフトも備え、スポーティな運転を好むひとにも支持されそうだ。
吹け上がりやサウンドに官能性までは求められないが、エンジンは仕事をきっちりとこなすタイプ。常用域の性格はフレキシブルで、DCTの変速マナーも良好だから、当たり前のように日常のドライブフィールも洗練されている。性能は「180」で十分だと考えるが、「250」のゆとりと力感を知れば、こちらがほしくなってしまうに違いない。
そこに、4マティックがもたらすより高度なスタビリティや、過酷な季候&路面条件における高い包容力がプラスされることで、魅力が一段と高まっている点も興味深い。
なら、シャシーの能力はどうだろう。まずは乗り心地だが、40扁平の18インチといっても、ランフラットではないノーマルのタイヤを履くため直接的なゴツつきは伝えない。とはいえ、日常の乗り味はやや硬質な印象となる。それが好転するのは、速度を高めていったとき。足の動きがどんどんとよくなり、接地感が明らかに向上する。高速セッティングのAMGスポーツサス+18インチのコンビは、積極的に走りを楽しむ場面で本領を発揮するわけだ。
飛ばしてもハンドリングバランスは良好で、ブレーキも安全と安心をきちんと担保してくれるから、時と場所を選んでCLAシューティングブレークに鞭を入れてみるのもおもしろいだろう。そこで注文をつけるとすれば・・・全体にフリクション感があり、中高速域になると中立を強く締める電動パワステの性格はうれしくない。より自然で、リニアなフィールとすれば、走りの上質感や楽しさがさらに高まることだろう。
また、AMGスタイリングパッケージでバッチリ決めた容姿や、スポーティな内装も「250シュポルト・4マティック」の才能のひとつ。欲張りコンセプトをうまくまとめ上げた開発陣の手腕とセンスが光っている。「45AMG」を持ち出さなくても、この出来ならほとんどの人が「これで満足」と言うはずだ。
文●森野恭行 写真●GooWORLD
問い合わせ メルセデス・コール TEL:0120-190-610
Detail Check
全長は4.7m以下、全幅は1.8m以下。機械式駐車場にも対応しやすいサイズが魅力だ。その上で、実寸以上の存在感を醸し出している。
コックピット
コックピット
高級感とスポーティさの高バランスが注目点。コラム式のシフトセレクターを含めて、全体を近年の「メルセデス様式」でまとめている。
インテリア
インテリア
高めのベルトライン設定とヘッドレスト一体型シートの採用が、スポーティムードを色濃く演出するカギ。クーペと比べれば後席頭上高の余裕が大きく、実用性も兼備している。
エンジン
エンジン
「270」系の4気筒ガソリン直噴ターボユニットを横置きに積む。「250」用の2L版は211馬力/35.7kg mの高性能を誇る。ミッションは7速DCTだ。
ラゲッジスペース
ラゲッジスペース
定員乗車時の容量は495L。後席を倒せば1354Lまで拡大できる。スタイリッシュさと実用性を見事に両立していることがわかる。
主要諸元:CLA 250 シュポルト 4MATIC シューティングブレーク(7速AT・7G-DCT)
全長×全幅×全高 | 4685×1780×1435mm |
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ホイールベース | 2700mm |
トレッド前/後 | 1555/1555mm |
車両重量 | 1580kg |
エンジン | 直4DOHCターボ |
総排気量 | 1991cc |
最高出力 | 211ps/5500rpm |
最大トルク | 35.7kg m/1200-4000rpm |
サスペンション前/後 | ストラット/4リンク |
ブレーキ前後 | Vディスク |
タイヤサイズ前後 | 235/40R18 |
全国メーカー希望小売価格(発売 2015年6月)
CLA 180 シューティングブレーク | 360万円 |
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CLA 180 シューティングブレーク スポーツ | 428万円 |
CLA 250 シューティングブレーク | 492万円 |
CLA 250 シュポルト 4MATIC シューティングブレーク | 545万円 |
CLA 250 シューティングブレーク オレンジアートエディション | 567万円 |
メルセデスAMG CLA 45 4MATIC シューティングブレーク オレンジアートエディション | 862万円 |
Body Color
■ジュピターレッド □カルサイトホワイト ■コスモスブラック ■ノーザンライツブラック ■ポーラーシルバー ■オリエントブラウン ■マウンテングレー |
ブーム到来を予感させるスタイリッシュなワゴン
4ドアクーペからシューティングブレークを枝分かれさせるというストーリーは、兄貴のCLSと同様のもの。リヤのボリューム感アップは、FFベースゆえにフロントオーバーハングが長めなCLAにとっては好材料。プロポーションバランスがより向上した感があり、美しく流麗なイメージを加速させる。