新車試乗レポート
更新日:2018.11.29 / 掲載日:2017.11.30
HONDA 新型シビック 公道試乗
7年ぶりの国内投入となる新型シビック。最大のポイントは”世界統一仕様“として開発された事だろう。サイズは先代より拡大されているが、セダン/ハッチバック共にかつてのシビックのようなワイド&ローの伸びやかなプロポーションに仕上げられている。一方、インテリアはパッケージングの工夫により見た目からは想像できない広々空間を実現。インパネ周りの質感も大きくレベルアップ。
プラットフォームは新開発の「グローバルプラットフォーム」。サスペンションはフロント・ストラット/リヤ・マルチリンクが奢られ、TYPE Rを想定したボディ剛性と低重心パッケージと相まって、走りのポテンシャルは飛躍的に引き上げられている。
パワートレーンは仕向け地によって若干異なるが、日本仕様はステップワゴン/ジェイドと同じ1・5L直噴VTECターボだが、ハッチバックとセダンで出力が異なる。トランスミッションはCVTに加えて、ハッチバックには6速MTも設定される。
セダン/ハッチバック共にモノグレードだが、ナビゲーション以外はフル装備。安全運転支援システム「ホンダセンシング」も標準装備(レスOPの設定あり)だ。
走りが楽しいだけじゃない! 乗り心地など快適性も高次元!
自然吸気2.4L級のパワーを誇るだけあって、高速ツアラーとしての素質も十分。しかも、静粛性と乗り心地の良さも両立。乗れば必ず分かる良さが新型シビックにはある。
かつてのシビックに乗っていたファンの中には、「肥大化」、「シビックと呼べない」などと苦言を呈する人もいるようだが、その判断は試乗してからにしてもらいたい。
ボディサイズから想像すると走りは大味かと思いきや、実際に乗るとボディサイズを感じさせない身のこなし、ボディ剛性、ステアリングの正確性、操舵時の応答性の高さ、絶大な安心感のリヤ、やや硬めながらもしなやかな足さばき、アンダー知らずのライントレース性、ブレーキのタッチ、直進安定性など、すべてが繊細に仕上がっているのだ。
昨今のホンダ車の印象としては、「初期応答性は良いものの、その後がイマイチ」だったが、シビックはコーナリング時の一連の動きに連続性がある。例えるならフォルクスワーゲン ゴルフの滑らかさにホンダらしいドライビングファンが融合したイメージ。このようにダイナミクス性能は、輸入車を含めてクラストップレベルだと思う。
パワートレーンはハッチバック専用となる182PSの1・5L直噴VTECターボ。トランスミッションによって最大トルクは異なるが、どちらもトルクフルで高回転まで気持ちよく回る。ただ、ノーマルモードは力強いものの、若干ターボラグが気になった。逆にECONモードは出力がやや抑えられるが滑らかなフィーリング。もちろん、6MTの組み合わせはダイレクト感が高く気持ちいいが、エンジン特性的にはCVTの方がマッチングは良いかもしれない。
このように「走る/曲がる/止まる」の性能はまさに”直球勝負“でノーマルのシビック史上最良のバランスに仕上がっていると思う。
■主要諸元(試乗車:ハッチバック CVT) 全長×全幅×全高(mm):4520×1800×1435 ●ホイールベース(mm):2700 ●車両重量(kg):1350 ●駆動方式:FF ●パワートレーン:1496cc直4DOHCターボ(182PS/22.4kg・m) ●トランスミッション:CVT ●JC08モード燃費(km/L):18.0 ●燃料タンク(L):46(プレミアム) ●最小回転半径(m):5.5 ●タイヤサイズ:235/40R18 ●価格:280万440円(OP含まず)
ハッチバックにはCVTと6MTを用意。CVTはHonda独自の変速制御「G-Design Shift」を採用、リニアな加速とスムーズで気持ちの良いシフトフィールを実現した。
ハッチバックのエンジンはセダンに対しスポーティなチューンが施されている。また、CVT&6MTでトルク特性を変更しており、後者がよりパワフルだ。
セダン&TYPE RもCHECK
流麗なリヤスタイルが特徴。トランクは519L、ゴルフバッグを4個積める。
購入層を考えハッチバックよりもツーリング性能を重視したセダン。走りの印象はハッチ同様サイズを感じさせない。最もベーシックな16インチ仕様でも直進時はアコードを超えるしなやかさ、正確で一体感の高いハンドリングだが、ハッチよりもやりすぎていない絶妙なバランス。1.5L直噴VTECターボは173PS/22.4kg・mとハッチより控えめだが、十分以上の性能だ。
多数の専用の内外装パーツでノーマルとは異なる世界と実力を実現。
TYPE Rは320PS/40.kg・mの2.0L直噴VTECターボ+6MTのパワートレーンはパワフルなのはもちろん滑らかなフィーリングで官能性も備える。高速コーナーでは絶大なスタビリティを備えつつ、中低速コーナーではアンダー知らずでグイグイ曲がる旋回性の高さを実現。これは基本素性の良さと絶妙なセットアップの相乗効果。それでいながら20インチ35偏平タイヤを履いているとは思えないほどのコンフォート性能も備えるなど、新時代のTYPE Rは走る道を選ばないマルチパフォーマンス性能が魅力。ただ誤解してほしくないのはTYPE Rが丸くなったのではなく懐が深いのである。