新車試乗レポート
更新日:2018.10.25 / 掲載日:2018.01.30

LEXUS RX450hLという贅沢

レクサスの人気SUV、RXに待望の3列シート車が登場した。ノーマルモデルに対し、プラス110mm延伸した結果、全長は堂々の5m。ボディ形状を変更してまで追加された気合いの3列仕様だ。結果、全体のプロポーションもノーマルに対し優れるなど3列化への評判は上々。今回は試乗でその実力を確認しつつ、一足先に導入されたマツダCX-8共に“3列シート”比較を行った。

3列化は居住性の向上に加え走りの質感もアップ
 レクサスRXはプレミアムSUVでもトップエンドに位置。同カテゴリーは走行ハードウェアや内外装の設えは高級セダンの最上級クラスと同等であり、頂点クラスの新たな選択肢として現在でも市場を拡大している。
 RXに新たに加わったRX450hLは全長の拡大やサードシートの採用により多用途性とプレミアム感を高めたモデルだ。ハイブリッド車専用に1グレードのみの設定と言うことから分かるようにグレード設定も価格も標準ボディ車の上位に位置する。
 ただし、先代LSのようにホイールベースの延長は施されず、全長の違いはリヤオーバーハングの差だが、標準ボディに対して全長は110mm拡大され、キャビン周りの印象は上級ワゴン様になった。たった11cmの違いだがルーフラインとリヤピラー周りの印象に変化があり、標準ボディを躍動感に喩えるならロングボディは優雅さや落ち着きを感じさせてくれる。若々しさと大人っぽさに喩えてもいいだろう。
 そういった外観から受けた印象の影響か、あるいは設計値変更にまで至らない改良の効果か、試乗印象でも標準ボディのハイブリッド車よりも落ち着きが感じられた。細かな路面凹凸に多少神経質な振動を感じるが、スポーツ+モードを選択していても硬バネで無理に押さえ込むようなあからさまな硬さはなく、短いストロークをおだやかに使う。また、コンフォートモードではストローク量もしなやかさも増加するが、極端な差異はなく、コンフォートモードでもレクサスらしい味を残した設定である。
 パワートレーンは電動後輪駆動など従来の450h・AWDと変更はない。標準ボディ車に対して車重は100kg増加しているが、発進時の加速でも、加減速時のエンジン回転数変化でも重量増の悪影響は感じなかった。エンジン稼働時の静粛性も高く、静けさがゆとりを一層感じさせてくれる。外観の印象にマッチした走りである。

3.5L V6エンジンと2基の電動モーターを搭載することで、システム合計の最高出力は308PSにも達すると同時に、17.8km/L(JC08モード)という低燃費を実現した。

LEXUS RX450hL
●発売日:’17年12月7日 ●価格:769万円 ●販売店:レクサス店

■主要諸元
●全長×全幅×全高(mm): 5000×1895×1725●ホイールベース(mm):2790●車両重量(kg):2240●駆動方式:4WD●パワートレーン:3456cc V6DOHC(262PS/34.2kg・m)+モーター((F)123kW/335N・m(, R) 50kW/139N・m)●トランスミッション:CVT ●JC08モード燃費(km/L):17.8●燃料タンク(L):65(プレミアム)●最小回転半径(m):5.9●タイヤサイズ:235/55R20

レクサスおなじみのスピンドルグリルをはじめ、高級感とスポーティさを両立したアルミホイール、効果的なメッキパーツの配置などによって、高級感と躍動感を見事両立したエクステリア。

  • リヤオーバーハングの延長とそれに伴うリヤピラー周囲及びルーフラインの変更、ルーフレールの採用はロングボディの特徴。リヤドア以後のボリューム感や伸びやかなルーフラインが落ち着いた雰囲気を醸し出している。

  • 3列シート車

  • 通常モデル

高い質感はベース車譲り、ただし実用性は疑問符
 基本的な内装の設えは標準ボディの450hバージョンLを踏襲している。運転席に座ればコックピットもフロントウインドウ越しの風景も目立った違いを見出すことは出来ない。もちろん、サードシートへの乗降のためにセカンドシートにはワンタッチの前倒機能が備わり、シート形状も左右席の独立感を高めたデザインとなり、後席乗員も最上級仕様であることを多少は実感できる。この辺りは5名以上の乗車時にはサードシートで対応できる3列シートの優位性を利用してセカンドシートのプレミアム感を高めたと言える。
 サードシートは表皮の素材やデザインは贅沢な印象を受けるが、小振りでクッションは薄手である。レッグスペースもヘッドルームも男性には不足気味であり、視角的にも圧迫感が強い。見た目よく仕立てられているので、プレミアム感を高める室内の調度品として捉えてもいいだろう。
 3列シートSUVでは標準的だが、実用では緊急用に割り切る必要がある。それでもプラス2の拡張性は標準ボディに対するアドバンテージであり、RX系最上級設定のプレミアム性とSUVのレジャーでの多用途性の両立を求めるユーザーに魅力的なのは間違いない。

  • セミアニリン本革と本木目があしらわれたRXのインパネは上質。豊富なカラーパターンも魅力だが人によってはケバさを感じるかもしれない。

  • スイッチ類の操作性は良好だが、少々数が多い印象を受けないこともない。ナビ画面はワイドな12.3インチで視認性に優れるがタッチ機能はなく、手元のコントローラーで操作するタイプ。

  • 3列目にもセミアニリン本革を採用。

  • また、3列目は電動格納式を採用する。

  • 2列目&3列目を格納するとほぼフラットかつ広大なスペースとなり便利。

  • オプションで11.6インチの大画面モニターを選択可能(25万9200円)。

同じ3列でも考え方は千差万別!

3列プレミアムSUVとして一足先に市場に投入されたCX-8と3列目を徹底比較。そこで分かったRX450hLの3列目の実力はどれほどのものだったのだろうか……

LEXUS
RX450hL

769万円
vs
MAZDA
CX-8

395万8200円

ボディサイズでは語れない2台、3列目の居住性はCX-8優位
 カタログ室内長を比較するとRXが85mm勝る。全長もCX-8が100mm短く、スペック比較ではRXが実用的に思えるが、実際はCX-8のほうが多用途性の向上に積極的である。例えば、RXのロングと標準ボディとの室内長の差は約54cm。一方、CX-8をCX‐5と比較すると80cmも長い。また、マツダ2車のホイールベースはCX-8が23cmも長いが、RXは全車共通である。なお、CX-8はRXに対しても14cm長いホイールベースを採用する。
 肝心の3列目に座ると、CX-8が若干優位。フットスペースはRXに比べ狭いが、レッグスペースはRXと大差なく、ヘッドルームでは若干勝り、天井等の圧迫感も少ない。また、セカンドシート移動量と後席の位置関係からサードシートへのアクセスもCX-8が勝る。ただし両車ともスペース面では長時間走行に適さないサードシートながら使い勝手向上の配慮が効いている。
 また、CX-8にはセカンドシートにキャプテン仕様を全車に設定しているのも実用面とプレミアム感を強める。ただし、座り心地や設え、サードシート使用時のレッグスペース等の寸法的な余裕も含めると、RXが格上だ。


■ CX-8主要諸元(試乗車:XD Lパッケージ)
●全長×全幅×全高( mm): 4900×1840×1730●ホイールベース(mm):2930●車両重量(kg):1830●駆動方式:FF ●パワートレーン:2188 cc 直4DOHC ディーゼルターボ(190PS/45.9kg・m)●トランスミッション:6AT ● JC08モード燃費(km/L):17.6●燃料タンク(L):72(軽油)●最小回転半径(m):5.8●タイヤサイズ:225/55R19

居住性&乗降性

 ドア開口とサードシートの位置関係は両車に大きな違いはないが、RXのほうが立派なセカンドシートが邪魔をして、乗降姿勢が窮屈。CX-8も誉められたものではないが、移動も姿勢も多少楽である。また、Lパッケージ以外ならセンターウォークスルーも可能。着座(テスター身長:175cm)した際のスペースを比べると、足周りはRXが勝り、頭周りはCX-8が勝る。また、CX-8のキャプテンシート仕様は3列目からの開放感向上にも効果的だ。ただし、どちらも長距離移動にはまったく適さない。あくまで緊急用として割り切るべきだ。

RX450hL

  • 大人が乗るには短距離でも厳しいスペースしかない。

  • 3列目からの乗車性もあまり良くないため、非常に窮屈だ。

CX-8

  • 大人でも座れないことはない広さを実現。

  • 6人乗り仕様は、ウォークスルーを採用し3列目からの乗降性がアップ。

3列使用時のラゲッジ

3列使用時のCX-8の荷室奥行きは日常品の買い物等に十分程度。RXは一回り以上大きく、中型の旅行鞄なら平積みできるほど。また、床下収納スペースにも余裕があるのでサードシートを格納せずとも日常域で使える。

  • 極めて実用的な広さを確保したRX。

  • 3列目がRXに対して広い分、荷室は少々狭いCX-8。

ユーティリティ

CX-8にもカップホルダーは装備されるが、両車の大きな違いは空調。RXはサードシート専用の空調及び操作パネルを備え、吹き出し口や温度設定も独立制御となる。大型犬と一緒にドライブする愛犬家にもけっこう魅力的である。

  • RXの空調制御はデジタル式を採用し豪華。

  • CX-8の3列目の快適装備はカップホルダー程度で標準的。



提供元:月刊自家用車



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グーネットマガジン編集部

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