新車試乗レポート
更新日:2018.11.26 / 掲載日:2018.02.22

最新メカニズム大解剖 NISSAN リーフ

航続距離400km達成の実力はいかに!?

熟成型FMCだが、EVの実力は確実に向上
 新型リーフはプラットフォームやガラスなどを先代から引き継ぎつつ、電動系の改良や走行抵抗の低減などを行い、1充電あたりの航続距離を400km(JC08モード)まで引き上げた。バッテリーはセルの厚みを増やすことで、ユニットのサイズ自体は同じにしつつも先代後期型の30kWhから40kWhへ大幅に容量アップを果たした(質量はトータルで10kg増加)。モーターは同じだが、パワーデリバリーモジュールはIBGTを最新モデルとし制御方法を一新。素子の冷却方法も直接冷却を採用したことで、パワーアップを果たした。最高出力は先代の80kW(109PS)/3008 ~10000rpmから110kW(150PS)/3283 ~9795rpm、最大トルクでは254N・m/0 ~3008rpmから320N・m/0 ~3283rpmと大きく引き上げている。
 車体側では、車高の10mmダウンとアンダーカバーの改良でフロア下の空気流れを速くして、ボディ上とのバランスを取った。また、世界初の横風空力開発を実施。これは車体を進行方向に対して4度傾けた状態で横風の影響を考慮したエアロデザインをするもので、ルーフスポイラーサイドのエグリ形状を決定。Cd値は先代の0.29が0.28に改良している。ホイールハブも低抵抗型へ変えるなど走行抵抗の低減も行われている。

SPEC
リーフG( ニッサンZAA-ZE1)
全長×全幅×全高(mm):4480×1790×1540 ホイールベース:2700mm トレッド(前/後mm):1530 /1545 最低地上高:150mm 車両重量:1520kg 乗車定員:5名 ●駆動用バッテリー種類:リチウムイオン電池 総電圧:350V 総電力量:40kWh ●モーター型式:EM57 定格出力:85kW 最高出力:110kW(150PS)/3283~9795rpm 最大トルク:320N・m(32.6kgf・m)/0~3283rpm ●最終減速比:8.193 駆動方式:前輪駆動 ●ステアリング方式:ラック&ピニオン ●サスペンション(前/後):ストラット/トーションビーム ●ブレーキ(前/後)ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク(主ブレーキ)回生協調ブレーキ:電動型制御ブレーキ ●最小回転半径:5.4m ●交流電力量消費率 120Wh/km 一充電走行距離(JC08):400km ●タイヤ(前・後):215/50R17 91V

プラットフォームは先代から引き継いでいることもあり主要ユニットのレイアウトは変わらない。ガラス類も引き継いでいるがデザインを一新させている。

e-ペダルやプロパイロットパーキングで進化

  • アクセル操作で停止までできるe-Pedal。ブレーキ連動となり、傾斜のある部分でも確実に止まれるようになった。

  • プロパイロットパーキングではステアリングや前後進を自動的に行えるようになり、慣れたドライバーでも便利に使えるシーンが増えた。

バッテリー容量とPDMの性能向上で航続距離を延ばした

  • バッテリーモジュールの外寸は同じだが、セルの厚みを1mm増やすことで、総容量は30kWhから40kWhに3割強もアップ。

  • 耐久性も30kWh比で10%改善し、8年16万km保証。PDM(パワーデリバリーモジュール)も改良され、素子の冷却性能を上げ、モーターの制御方法も進化させ、先代と同型モーターでもパワーアップ。

世界初の横風空力開発を実施

  • 車体側では地上高を10mm下げて、下面の空気流速を早めてボディ上側の風流れとのバランスを良くした。また、横風空力開発でリヤ側空気流れの剥離を改善しCd値を改善。

Test&Impression

加速性能は十分。実航続距離は260km程度
 モーターの変更がなくても、制御でパワーアップできるのがEVの面白いところ。加速はEVらしく、アクセルに対してリニアな反応で加速Gのピークに到達するのも早く、それがフラットに維持される。先代は少し抑えた感じがあったが、新型は十分にパワフル。50km /h手前までは0.5G程でるので、市街地の加速は大排気量エンジン車も凌ぐ。高速でも100km /hで0.2Gは出るので、追い越し加速も不安なくできる。 アクセルペダルだけで停止までできるe-ペダルは、通常走行での踏み込み量は多くなってしまう(減速側の戻し量を予め踏んでおくため、一定速でも半分くらいの踏み込み量がいる)が、なれると踏み変えが少なくてラクになる。ただし高速主体なら解除したほうが楽な場合もある。操作系で違和感があるのが、フットブレーキ。バネのような踏み心地で、踏み代が変化するのと急ブレーキ時には制動力の立ち上がりに遅れがあるのが少し気になる。e-ペダルはアクセルを戻すと減速が始まるので、ドライバーが緊急ブレーキを掛ける場合に、踏み変え時の空走ロスが少なくなるかと思ったが、フットブレーキ側で思ったような初期制動力が試乗では出せなかったのだ。 JC08モードでの1充電あたりの航続距離400kmは、額面通りなら東京から名古屋まで余裕で行けるのだが、実際には260kmあたりだった。高速道路のテストでは、日本橋から東北自動車道ルートで試してみたが、200kmでオレンジのランプが点灯。エンジン車のように高速巡行で燃費が伸びることはない。サービスエリアで急速充電を2回しても、帰りの航続距離はより少なくなってしまう。その際の充電時間も考えると、航続距離の延長は近距離使用での繰り返しで充電回数が少なくなるところにメリットがあるんだろうと思う。

加速の立ち上がりの鋭さと、50km /h弱までフラットなピークGを維持するところはモーターそのもの。3リッタークラスの加速性能を見せる。最大加速Gは0.5G弱なので十分なパワー。日本の制限速度内なら高速道路の追い越し加速も十分だ。

電欠まで走らせるとどうなる!?

  • 亀マークがでると走行不能に。電池容量が完全になくなると、エンジン車の燃料切れと同じ状態になる。




    提供元:オートメカニック



  • 亀マークがでるとパワーがガクッと落ち、路肩に寄せるのがやっとなので、即座に停車しないと危険。最後は、パワステやDC-DCコンバーターの充電も停止してチャージランプも点灯する。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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