新車試乗レポート
更新日:2019.05.22 / 掲載日:2018.08.01

【試乗レポート・日産 リーフ NISMO】フットワークのよさはノーマルとは別次元!

文と写真●ユニット・コンパス

 乗ればわかる気持ちよさ。やっぱりNISMOはいい。テストコースにコースインすべくアクセルを踏み、ステアリングを切った瞬間に気持ちよさが身体を駆け巡る。

 2017年に第2世代へと進化した電気自動車の日産リーフは、航続距離と走行性能をスケールアップし、最新の「ニッサン・インテリジェント・モビリティ」による先進装備を備えることで、小型車としての実力を着実に高めている。そこへ2018年7月19日に追加モデルとして登場したのが、今回紹介するリーフ NISMOだ。

レーシングテクノロジーで高速安定性をアップさせたエアロスタイル

 東京モーターショー2017でお披露目されたコンセプトモデルとほぼ変わらないスタイルで登場した市販バージョン。
 ベースモデルに比べてスポーティさを強調したエクステリアは、空気抵抗はベースモデルのまま、ダンフォースを増加させる機能的なものに仕上げられているという。
 ダウンフォースとは空気が車体を地面に向かって押し付ける力のことで、これをいかに活用するかが、モータースポーツにおいては勝利を左右する重要な要素となっている。
 基本的には空気抵抗とトレードオフの関係にあるのだが、リーフ NISMOでは、大げさなスポイラー類を追加することなく、しかも空気抵抗も悪化させることなくダウンフォースを向上。高速走行時の安定性を高めることに成功している。まさにレーシングテクノロジーを生かしたスタイリングだ。

 専用デザインとなる18インチホイールも、リム周囲の穴を小さくして空気抵抗を減らしたり、1本あたりの重量をベースモデルにOP採用されている17インチホイールと同等に抑えたりするなど、細やかな仕事が光る。組み合わせられるタイヤは「ContiSportContact 5」に指定されている。市販車ではコストや調達の関係から、複数の銘柄が用意されているのが一般的だが、わざわざこれを公表しているあたりにもNISMOのこだわりをうかがわせる。
 また、詳細は省くが、インテリアにも多数の専用アイテムを採用。NISMOのテーマカラーである赤がふんだんに用いられている。

モーター、バッテリーは変わらないものの、シャシーには大幅なチューニングが施された

 試乗が行われたのは日産社内にある一般道を模して作られたテストコース。高速域の走りを含め、ストップ&ゴー以外のほとんどのシチュエーションを短時間ながら確認することができた。
 サスペンションが専用チューニングとなるのはもちろんのこと、リーフ NISMOではそれ以外にも多数のアイテムが専用チューニング品となる。電動型制御ブレーキ、インテリジェントトレースコントロール、電動パワーステアリング、VDC(ABS、トラクションコントロールを含む)というのがその主な内容だ。
 一方でバッテリーやモーターは標準仕様そのままだが、コンピューターは専用品となり、ノーマルモードでの加速フィーリングを向上させたセッティングになっている。

インテリアには赤いアクセントが散りばめられる

 グリップ部分にアルカンターラを用いたスポーツステアリングを握りながら、はやる気持ちを抑えて室内を観察する。色使いによってNISMOらしさを演出しているが、エクステリアに比べればインテリアの特別感は薄い。リーフ NISMOの価格は403万2720円。ベースとなっているのは、351万3240円の「X」グレードだから、たとえLEDヘッドライトが標準装備されるとはいえ、50万強の価格差からするとものたりない部分は正直ある。
 しかし、走り出してしまうと、そんな不満は頭の片隅に追いやられてしまったというのは本当だ。

スポーツマインドをくすぐる秀逸なシャシー性能

 リーフはノーマル車でも発進が気持ちいいクルマで、スムーズかつ素早い加速を披露するが、リーフ NISMOはアクセル操作に対する反応がさらに細やか。鋭い加速ができるのはもちろんのこと、デリケートな右足の動きにもきちんと応えてくれる。
 なお、NISMOではリーフ NISMO向けのアイテムとして、「スポーツリセッティング」という商品を販売している。これは電気自動車向けVCM(ビークルコントロールモジュール)をチューニングするもので、トルク感がさらに向上するだけでなく、ECOモードでは航続可能距離も伸びるというから面白い。

 話をリーフ NISMOの試乗に戻すと、ステアリングフィールはさらに印象がよかった。
 切り始めから応答性がよく、操作に対してはスムーズに動き、ほどよい手応えでタイヤと路面の状態をドライバーに報告してくれるのだ。以前試乗したノーマルモデルは、速度によってステアリングからの手応えが薄く、少々不安を覚えるようなシーンもあったが、リーフ NISMOのそれは終始一貫してドライバーと濃密なコンタクトを約束してくれるのだ。
 フットワークのよさも賞賛できるレベルで、18インチのタイヤを履きこなしていることに驚いた。
 もちろんノーマルモデルに比べれば足まわりは硬いが、ショックの角は丸く、車体姿勢が安定しており視線がゆすられないため、これは「しっかりした」、「引き締まった筋肉質な足」という表現がふさわしいだろう。

上質さと走行安定性の高めた上級版という受け止め方もアリ

 「走りの質感」という側面で言えば、リーフ NISMOのそれはノーマルモデルとはまさに別次元で、「X」グレードとの価格差約50万円は確かにあると断言できる。
 この報告をもって、リーフ NISMOをカーマニア向けの嗜好品と捉える向きもあるかもしれないが、けっしてそうは思わないでいただきたい。「走りの質感」は、気持ちよさだけでなく、幅広い意味での安全性をドライバーに提供するからだ。むしろリーフ NISMOのようなシュアな走りを、より多くのクルマが備えるべきだろう。
 ちなみに、もしもアルカンターラを使ったステアリングのルックスがマニアックすぎると感じるなら、寒冷地仕様を選択すれば本革だけのステアリングになる(造形は3本スポークでレッドセンターマーク、レッドステッチ、ガンメタクローム加飾付き)。長く愛用するつもりなら手入れのしやすさというメリットもあるため、こちらをオススメしたい。


日産 リーフ NISMO(CVT)

全長×全幅×全高 4510×1790×1550mm
ホイールベース 2700mm
車両重量 1520kg
モーター最高出力 150ps/3283-9795rpm
モーター最大トルク 32.6kgm/0-3283rpm
サスペンション前/後 ストラット/トーションビーム
ブレーキ前後 Vディスク
タイヤ前後 225/45R18

販売価格 403万2720円(NISMOのみ)

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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