新車試乗レポート
更新日:2018.11.22 / 掲載日:2018.10.26
MERCEDES-BENZ A-Class Sedan 海外試乗インプレッション
春の北京ショーで披露され、先日のパリショーでも大いに注目を集めた新型Aクラスのセダンモデル。9月23~24日にアメリカ・シアトルで開催された国際試乗会でその走りをモータージャーナリスト、今井優杏氏がいち早く体感。見どころをレポート!
●文:今井優杏 ●写真:メルセデス・ベンツ日本
MERCEDES-BENZ A-Class Sedan
主要諸元(A2204MATIC:欧州仕様)
●全長×全幅×全高(mm):4549×1796×1446●ホイールベース(mm):2729●車両重量(kg):1520●パワートレーン:1991cc直4DOHCターボ(190hp/300Nm)●トランスミッション:7速DCT●サスペンション形式:(前)マクファーソンストラット/(後)マルチリンク●タイヤサイズ:205/55R17
エレガントなセダンが新型Aクラスの目玉!
読者の皆様がこの記事を目にされるのは、日本仕様の新型Aクラスが発表された直後。その濃密な内容には誰もが驚いただろう。
小さなクルマは安いクルマという概念を越えたプレミアムコンパクトのコンセプトは、現行Aクラスで大成功した。新型にはさらに、常軌を逸した(と言ってもいいほどの)革新が注ぎ込まれている。
車載型人工知能を含む新しいインフォテイメント「MBUX」もその一つだ。「ハイ、メルセデス」のボイスコマンドで起動するAIは、オンラインとオフラインの両方で使用できるハイブリッド型。
ここがSiriなど既存のAIとの大きな違いで、電波のない場所へのドライブ時をも使用想定シーンに見据え、オフライン時にも対応させた。そう、メルセデス・ベンツにおいてのAクラスは今や、ある意味でSクラスより攻めている、と考えてもいい。ITとの親和性の高い若い世代に訴求するエントリーモデルだからこそMBUXの搭載が可能だったというのだ。
とはいえ、ハッチバックはちょっとカジュアル……もっとエレガントに先進機能を試せれば、と思う方に朗報なのがこのセダンモデル。今回は、国際試乗会でいち早くその走りを体感する機会に恵まれた。日本にも2019年内に導入される模様だから期待したい。
フロントビューにはAクラスの新しいデザイン手法がそのまま採用される。台形グリルや目尻を跳ね上げたようなヘッドライトは勇ましく若々しいが、Cd値0・22という空力ボディが体現した流麗なセダンシルエットは見違えるようにシックでエレガント。インテリアにも華がある。試乗モデルにはウッドやレザーなど高級素材が多用され、MBUXの未来的なインターフェースの洗練も手伝って、かなりゴージャスな印象だ。
試乗車は190hpを発揮する2Lターボに7速DCTを組み合わせたA2204MATIC。その走りは現行Aクラスを上回るだけでなく、上位モデルを喰う仕上がりだった。まず剛性が飛躍的に向上したボディをパワフルなエンジンが押し出す。しっとりと艶っぽい加速は余裕をたっぷりと感じさせ、スキー場に続くような強烈な登坂道路でも、また延々と続くハイウェイでも、遺憾なく全域でパワーを発揮する。FFのA200でも走りの性能や質感は充分だが、リヤがマルチリンクとなる4MATICはさらに挙動がスッと収束する、リッチな乗り味。そう、Aクラスセダンはエントリーモデルにあらず。名実ともにプレミアム、メルセデス・ベンツ・ファミリーの立派な一員だ。
ベースとなるハッチバックタイプの新型Aクラス(欧州仕様)は全長4419mm、全幅1796mm、全高1423mm、ホイールベース2729mm。これに対し、Aクラスセダン(欧州仕様)は全長で+130mm、全高で+23mm。抑揚のある面構成のため、実際のサイズ以上にグラマラスで伸びやかな印象を受ける。トランクスペースもAクラス(※リヤシート使用時)より50L大きく420Lを確保。
用意されるパワーユニットは新開発の1.4Lターボのほか、2Lターボ、1.5Lディーゼル。A200は6MTだが、そのほかのグレードは7速DCTとの組み合わせだ。
メーターの代わりに大型ディスプレイをドライバー正面及び中央に配置したスタイリッシュなダッシュボードデザイン。先進の音声認識機能も見どころのひとつだ。
国内発売情報 日本でも遂にデビュー!! 新型Aクラス
●発売日(受注開始):’18年10月18日
●価格:322万~479万円
●輸入元:メルセデス・ベンツ日本
●問い合わせ先:0120-190-610
日本においてデビューしたのはハッチバックタイプ(納車は12月以降)。ワイド&ローな先代のプロポーションに、メルセデスの先進技術を注ぎ込むことで快適性を向上させた。新開発の対話型インフォテインメントシステムMBUX、Qi規格のスマートフォンワイヤレス充電を採用。オプションながらSクラスセダンと同等の安全運転支援システムを用意。パワーユニットは1.4L直4ターボに7速DCTを組み合わせている。
A180 Style ●価格:362万円(※写真はAMGライン装着車)
上級モデルStyleはフルパワーシート、パーキングアシストなどを標準装備。マルチビームLEDヘッドライト、AMGラインなど専用オプションも。
A180 ●価格:322万円
ベーシックモデルとなるが、LEDハイパフォーマンスヘッドライト、MBUX、レーダーセーフティパッケージなどを標準装備としている。
A180 Edition1 ●価格:479万円
随所にイエローグリーンのアクセントを取り入れた限定車。リヤにマルチリンクサスペンションを採用して走安性、運動性能を向上させている。
インストルメントクラスター上方のカウルを廃止し、横方向へ途切れなく続くようなダッシュボードデザインを実現している。
全車にMBUXを標準装備。センターディスプレイはスマホのように指先でセレクト、スワイプ、拡大などの操作が可能となっている。
室内はショルダールーム、エルボールーム、ヘッドルームを拡大させ、後席の乗降性も向上。またラゲッジルームも拡大している。
提供元:月刊自家用車