新車試乗レポート
更新日:2019.05.22 / 掲載日:2019.01.29

【試乗レポート 日産 リーフe+】航続距離40%アップ! 性能アップ室内空間はそのまま!

文と写真●ユニット・コンパス

 もう航続距離が足りないとは言わせない! リーフに追加された新グレード「リーフe+(イープラス)」は、従来に比べて容量を55%アップさせた62kWhの高性能バッテリーを搭載。これにより、航続距離が40%増加して570km(JC08モード)となり、数字上は東京から大阪までを高速道路であればノンストップで走破できることになった。より実燃費に近いといわれるWLTCモードでも458kmとのことで、日産自動車によれば、日本国内では99%以上のユーザー1日あたり走行距離を超えるという。価格は、416万2320円から472万9320円。

室内空間はそのままに、車両床下空間に大型バッテリーを収納

 バッテリー容量を大きく引き上げることができたポイントは、新型モジュールの採用と発想の転換的なアイデアにある。
 今回採用された新型モジュールでは、部品同士を接続するために必要だったスペースを節約して高密度化を実現。搭載セルの数を従来の192セルから288セルへと大幅に増やすことに成功している。この新型モジュールは搭載するセルの数を自由に設定できることも特徴で、設計の自由度も高まったという。
 さらに、車両に組み込む際にも工夫を凝らした。高密度化に成功したといっても、288セルものバッテリーユニットは従来のスペースには収まらないからだ。そこでリーフe+では、車両の全高を5mmアップさせ、なおかつ最低地上高を15mmダウンさせている。こうしてできた高さ20mm分の床下スペースによって、大型バッテリーユニットの搭載を実現させた。

バッテリー容量アップは日々の使い勝手にもプラス

 電気自動車にとってバッテリー容量の大型化は、航続距離だけでなくパフォーマンスアップにも直結する。
 まず最大出力は45%向上した。従来では時速50kmまでだった最大加速Gが時速70kmまで続くようになり、80-120km/hの中間加速データは13%改善したという。

 充電性能も改善した。バッテリー容量が大きくなったことによって、大電流を入れ続けられるようになったのがその理由。急速充電を使った場合、充電状態50%からの充電効率は従来に比べて40%アップ(50kWタイプの急速充電を使用)。また、従来よりも高い出力での充電(70kW)にも対応するため、バッテリー残量警告灯が点灯した状態から80%まで充電するのに50分と、従来型の60分から10分間短縮されている。

力強さはもちろん、しっとりした乗り味はロングツーリング向け

 バッテリーの高集積化と搭載方法の工夫により、大きなスペックアップを果たした「リーフe+」だが、すべてが完璧というわけではない。大型化したバッテリーユニットにより、車重が160kgほど増加しているのだ。当然、試乗ではその影響がどの程度であるのかに注目した。
 まず、「e+」の良いところから紹介しよう。加速の力強さと伸びは確かに感じられた。とくに高速道路での合流や、前走車を追い越すようなシチュエーションでは明確に違いがある。アクセル操作に期待するとおりの加速が付いてくるため、従来タイプよりも運転が楽に感じられる。とはいえ、けっして「NISMO」のようなキビキビとした印象ではない。
 また、乗り心地がしっとりとしていて、コーナーでのいやなふらつきもなかった。これは、バッテリーユニットの重量増がクルマ全体の重心を下げる方向に働いていることと、サスペンション設定の改良が功を奏しているからだ。とくにサスペンションの味付けは好印象で、コーナーでも内側のタイヤが路面から離れにくく、左右に振りまわすような状況でも車体のコントロールが容易。従来モデルよりもステアリングの手ごたえがしっかりとしており、クルマに対しての信頼感が増していたのは嬉しい発見だった。エンジニアによれば、日産車全体に共通して走りの質感を引き上げる取り組みを進めており、この「e+」にもその考え方をできる限り盛り込んだという。
 一方で、「eペダル」をオフにしてブレーキによる減速に頼った走らせ方をすると、重さの影響が顔を出してきた。ブレーキへの負担が大きいのはもちろんだが、雪道など滑りやすい路面では、より気をつけて運転する必要があるだろう。加速性能が高いゆえに感じにくいが、大人2人分の重量増は確実に制動距離に影響する。

使用用途に合わせたグレード選びが大切

「リーフe+」の登場は、これまで航続距離を理由にEV購入を迷っていたユーザーにとって、大きく気持ちを後押しするだろう。
 一方で、車重の増加と約50万円というコストアップを考えれば、近距離を中心とした使い方をするユーザーが無理に購入する理由はない。従来モデルであっても、WLTCモードで322kmという航続距離は日常生活を十分カバーできる性能だからだ。
 航続距離が大幅に伸びたこともそうだが、おっとり系とも言える「e+」の走りのキャラクターは標準モデルよりも長距離移動向き。いっそ「ツアラー」的なネーミングの方を採用してみては?と提案したくなる。いずれにせよ、EVの可能性を広げる存在として、「リーフe+」には確かな存在価値がある。


日産 リーフ e+(CVT)


全長×全幅×全高 4480×1790×1545mm
ホイールベース 2700mm
車両重量 1670kg
バッテリー総電力量 62kWhモーター最高出力 218ps/4600-5800rpm
モーター最大トルク 34.7kgm/500-4000rpm
サスペンション前/後 ストラット/トーションビーム
ブレーキ前後 Vディスク
タイヤ前後 205/55R16

販売価格 416万2320円から472万9320円(e+のみ)



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グーネットマガジン編集部

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