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新車試乗レポート
更新日:2019.05.23 / 掲載日:2019.04.26

【注目モデルで春ドライブへ】HONDA インサイト

HONDA インサイトEX・ブラックスタイル ●車両本体価格:362万8800円 ●ボディカラー:ルーセブラック・メタリック

絶好のドライブシーズンを迎え、注目車でお出かけインプレッションを敢行。果たしてホンダ・インサイトのツアラー適性は—-。

●文:川島茂夫 ●写真:長谷川 徹

上質な乗り心地と低燃費が遠出に嬉しい

icon HONDA インサイト

●車両本体価格:326万1600~362万8800円
●発売日:’18年12月14日
●販売店:ホンダカーズ店

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●ラインナップ
LX:326万1600円
EX:349万9200円
EX・ブラックスタイル:362万8800円

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■主要諸元 (EX・ブラックスタイル)※オプションを含まず
●全長×全幅×全高(mm):4675×1820×1410 ●ホイールベース(mm):2700 ●車両重量(kg):1390 ●駆動方式:FF ●パワートレーン:1496cc直4DOHC(109PS/13.7kg・m)+モーター(131PS/27.2kg・m) ●トランスミッション:電気式無段変速機 ●JC08モード燃費(km/L):31.4 ●WLTCモード燃費(km/L):25.6 ●燃料タンク(L):40(レギュラー) ●最小回転半径(m):5.3 ●タイヤサイズ:215/50R17

クルマの本質的価値を追求したハイブリッド専用モデル

 ホンダ初の市販ハイブリッド車(HV)の名を受け継ぐハイブリッド専用モデルだが、先進性や未来趣味を前面に押し出すことはせず、落ち着きのあるセダンスタイルを採用。グレード展開はベーシックなLX、上級装備のEX、専用の内外装をまとうEX・ブラックスタイルの3グレード、パワートレーンは2つのモーターを駆使するスポーツハイブリッド「i-MMD」で、駆動方式はFF(前輪駆動)のみという設定だ。見た目の印象からもわかる通り、「ハイブリッド」や「セダン」という括りでキャラクターを強調する手法は採らず、純粋に「いいクルマ」を目指したという。ハイブリッド車はもはや当たり前の存在であり、環境車だからという言い訳は許されない。そこで開発の方向性を「PRIME」という単語に集約し、シンプルで上質、時代に流されない本質的な魅力を持つクルマとして、現行のインサイトは生み出されている。

icon エクステリア

ボディシェルはシビックと共通だが、専用グリルの採用などにより個性と先進感を演出している。深く傾斜したリヤピラーなど最近のセダンのトレンドを捉えながら、ミドルセダンとしての実用性を押さえている。

icon ボディカラー 全7色

※:★は5万9400円高、☆は3万7800円高。

  • クリスタルブラック・パール

  • コスミックブルー・メタリック

  • モダンスティール・メタリック

  • ルナシルバー・メタリック

  • プレミアムクリスタルレッド・メタリック★

  • プラチナホワイト・パール☆

  • ルーセブラック・メタリック☆(EX・ブラックスタイル専用色)

icon インテリア

機能部をドライバーの領域に囲い込んでいるインパネデザインだが、コックピット感覚というほどタイトな印象はない。ステッチをアクセントにしたトリムやハイブリッド車専用シフトスイッチの先進感が印象的だ。

icon ユーティリティ

外観の印象では前席優先のように見えるが、ヘッドルームは大柄な男性にも十分。しかも座面を落としていないのでレッグスペースも着座姿勢もセダンらしくゆったりしている。

icon ホンダセンシング

独自性よりも必要性を優先した機能でまとめているのがホンダセンシングの特徴。ホンダ車では標準的だが、渋滞追従も備えた全車速型ACC(追従クルコン)や半自動操舵LKA(車線維持支援)、標識認識機能などを標準採用。自動緊急ブレーキはもちろん歩行者対応であり、回避操舵支援機能も備わる。

icon 【i-MMD】電動走行を基本にエンジンとモーターが弱点を補い合う

 ハイブリッドはシリーズ式、パラレル式、スプリット式の3タイプに分類されるが、i-MMDは駆動状態を大まかにまとめるならスプリット式に近い。しかし、構造面ではシリーズ式をベースとし、動力分割機構によるスプリット式の代表例となるトヨタのTHS IIとはまったく異なっている。 エンジンにより発電し、その電力は直接あるいは間接的に用いて電動モーターを駆動するのがシリーズ式だが、i-MMDには電動系とは別にエンジンのパワーを直接駆動輪に伝える機械的機構が備わっている。直動時にはエンジンパワーのみ、エンジン/電動モーターの混合出力が可能であり、この辺りはパラレル式と同様である。 直動機構はシリーズ式や電動車の高速巡航時の効率低下に対応したものであり、あくまでも巡航燃費向上が狙い。そのため高速の加速や登坂など高負荷時には直動を解除してシリーズ式で制御される。 また、エンジンはアトキンソンサイクルや大容量EGR等で省燃費領域の拡大を図っているのが特徴。これらの特徴を相乗効果を引き出すべく制御した結果、排気量を大きく超えた実用動力性能とクラス最高水準の燃費を両立できたわけである。

SPORT HYBRID i-MMD

[Intelligent Multi Mode Drive]

フロントにエンジンと2モーター(走行用/発電用)一体式ミッション、パワーコントロールユニット(PCU)等を搭載。IPU(リチウムイオン電池を含む)はリヤシートの下に収め、キャビンやラゲッジの空間を侵食しないレイアウトを実現している。

i-MMDはこれまで2Lエンジンを使用してきたが、インサイトはクラリティPHEVに続いて1.5Lエンジン(左)を搭載。モーター(中/写真はアコードのもの)は重希土類フリー化され、IPU(右)のコンパクト化も進められている。

モーター走行がメインで、エンジンは基本的に発電を担う。ただし、エンジンを発電よりも駆動に使用した方が効率のいい低負荷領域(高速巡航など)ではエンジン直結機構(クラッチ)によりエンジン走行を行う。

【MEMO】代表的なハイブリッドシステム

  • シリーズ方式

    モーターが主役。タイヤを駆動するのはモーターのみで、エンジンは発電機を回す用途のみに使用される。日産・e-POWERなど。

  • パラレル方式

    エンジンをメインにモーターがアシストして走行。ホンダ・i-DCDなど。後述のマイルドハイブリッドもパラレル方式の一種だ。

  • スプリット方式

    エンジンのトルクを動力分割機構によって駆動と発電に振り分ける。遊星ギヤを用いる、特許多数のトヨタ・THSがこれだ。

  • マイルドハイブリッド

    発電機兼セルモーターで走行アシストを行う簡易なもの。スズキ・S-エネチャージや日産・S-ハイブリッド、スバル・e-BOXERなど。

【インプレッション】距離を延ばすほどにその魅力を実感できる

枯れないモーターパワーが運転者の感性に寄り添う

 ホンダ・ハイブリッド戦略は方式の異なるi-MMD、i-DCD、SH-AWDの3系統で構成される。いずれもスポーツ・ハイブリッドと称しているが、動力性能向上が主目的でないのはカタログ燃費を見れば一目瞭然である。クラス最高水準の燃費を達成しながら走行性能を総合的に向上させるのが狙いと考えるべきだ。
 この3系統の中で注目される、というか今後のホンダ・ハイブリッド車の主流になりそうなのがi-MMDであり、その最新モデルがインサイトである。
 搭載エンジンは1.5Lでしかない。ガソリン車でインサイトの車格に相応なゆとりを求めれば2Lくらいは欲しいが、そこを1.5Lでまとめられるのが最新のi-MMDである。ちなみにホンダ先進エコのフラッグシップとなるクラリティPHEVも1.5Lを採用している。
 27.2kg-mの最大トルクを発生する駆動モーターこそがインサイトの動力性能の源であり、低速域から力強い加速力だけでなく、踏み増し時の応答遅れのない加速反応など、スペック以上の余力を発揮する。発進からの全開加速はスポーツモデル並みだ。もちろん、エンジンによる発電力が走行エネルギーである以上、バッテリーからの電力供給がなければエンジンのパワースペック相応の動力性能しか得られない。しかし、全開で延々と走り続ける状況など非現実的であり、けっこう活発に走らせていてもパワフルなモーターの力が枯れることはない。
 さらに言えば、運転感覚は穏やかである。踏み込みと加速反応が滑らかに連携するため、探るようなペダル制御は不要だ。電動の即応性を活かしてドライバーの感性に一致した特性を生み出しているのもインサイトの特徴だ。
 i-MMDが一般的なシリーズ式と異なるのは巡航専用のエンジン直動機構を備えること。ギヤ比は一般的なATのトップギヤ相応であり、約60km/hからが守備レンジ。80km/h以上での巡航で効果的であり、シリーズ式やEVの短所となる高速域の効率悪化を防止している。また、ダイレクトな駆動感は巡航時の余力感も向上する。
 動力性能だけでなく、ゆったりしたストローク感で重質な乗り味を示す乗り心地も見所。高速コーナリングでの据わりのいい操縦感覚など、走りの質感がバランスよく高水準でまとまっている。省燃費性能はタウンユースでも魅力的だが、パワートレーンやフットワークの特性を考慮するならインサイトが最も魅力的なのは長距離ツーリング。距離を延ばすほどによさが実感できるクルマである。

【まとめ】先進技術満載だが特殊性を強調せず、末長く付き合える

 ホンダラインナップでは途絶えていた「インサイト」の名跡をシビック・ハイブリッドに与えたと見るべきなのだろうが、先進技術の普及を見据えて開発されたモデルという点では2代目と同様に位置付けてもいいだろう。
 実用型のセダンをベースにすればキャビン等の実用性のバランスもいい。加えて、無理にカタログ燃費を狙ったり、あるいはスポーツ性や高性能を誇張することもなく、一般的なセダンユーザーが最も気にする部分や使われる状況に適した走行感覚・運転特性でまとめた走りを選択。いい意味でウェルバランスであり、これも先進技術と普及の融合の要点である。
 気になるのは価格設定。LXと1.5Lターボを搭載するシビックセダンとの価格差は60万円近いのだが、LXにはナビが標準装備されているので、実質30万円差くらい。このクラスのハイブリッド車としては比較的手頃な価格と言ってもいいだろう。
 セダン退潮傾向の中で「今さら」という気がしないわけでもないが、インサイトに乗るとセダンの魅力が全方位の良質性にあることに気付かされる。燃費や安全&運転支援機能も含めて、長く付き合うにはいい選択である。

【おすすめグレード】インサイト LX

実用装備優先ならベースグレードで十分

インサイト LX

 最もベーシックなグレードだが、インターナビも標準装着であり、車格と照らし合わせても装備は十分である。ただし、コンビシート地や前席パワーシート、インチアップホイールなどを採用したEXとの価格差は23万円強であり、プレミアム性を求めるならけっこう微妙な選択となる。先進感やプレミアム感を重視するならEX以上を狙ったほうが無難とも言える。

提供元:月刊自家用車

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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