新車試乗レポート
更新日:2019.05.23 / 掲載日:2019.05.02
JAGUAR Iペイス 試乗インプレッション
200PSのモーターを前後の車軸に搭載する、ジャガー初のフルEV。計400PSの動力性能とWLTCモード438kmの航続距離を達成。新鮮なSUVスタイルやワゴン的な使い勝手も見所だ。
●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久
JAGUAR I-PACE[ニューモデル]
ジャガー Iペイス HSE エアサスペンション仕様
●発売日:’18年9月26日
●価格:959万~1162万円
●輸入元:ジャガー・ランドローバー・ジャパン
●問い合わせ先:0120-050-689
主要諸元(HSE エアサスペンション仕様)
●全長×全幅×全高(mm):4695×1895×1565●ホイールベース(mm):2990●車両重量(kg):2240●駆動方式:4WD●パワートレーン:前モーター(200PS/35.5kg・m)+後モーター(同)●トランスミッション:—-●WLTCモード航続距離(km):438●バッテリー容量(kWh):90kWh(リチウムイオン)●最小回転半径(m):5.6●タイヤサイズ:245/50R20 ※オプションを含まず
圧倒的なパワーがあるが普段は穏やかで従順だ
キャビン周りはスポーティ&スペシャリティ志向に思えるが、電動ならではのショートノーズで側面形はワンモーション的。1000万円級、ましてやジャガーに似つかわしい形容とは思えないが、初見の印象は「カワイイ」である。
実力は? と高速走行中に無造作にアクセルを全開にしたら、びっくりするほどのダッシュ。唐突にドンッと突き出される加速は内燃機関車では成し得ない加速である。ところが普通に走らせていると穏やかにして従順。ペダルストロークが深まるほどに加速度を高めるような特性なので、街乗りではしとやかに振る舞う。
なお、電動ゆえにパワートレーンはほぼ無音だが、急加速では擬似的に排気音が加えられる。音量は小さく、加速感や車速の変化を聴覚情報として与える程度のもので、あざとさは一切ない。
試乗車はエアサスを装備。20インチホイールを採用している割に路面からの当たりは穏やかであり、バネ下の重さを感じるような車軸揺動も抑えられている。沈み込みを意識させる重質な乗り心地もあり、外観の印象以上にどっしりとした落ち着きがある。
ロングキャビンプロポーションもあって、後席もゆったりした着座姿勢だ。荷室容量も含めてキャビンユーティリティはEペイスと同等程度である。つまり、実用的でもあり、プレミアムSUVらしくもあるわけだ。
純電動が最大のセールスポイントだが、同時に新しいジャガーの姿が感じられた。価格はともかく心惹かれるクルマである。
エンジンがないからこそのキャブフォワードデザインが新鮮。Fペイスと同等の寸法で上位のEペイス並みの室内空間を確保している。これは純EVならではのパッケージを追求した成果と言える。装備違いのS、SE、HSEの3グレード設定で、それぞれコイルサスまたはエアサスが選べる。なお、5年間・走行距離無制限の新車保証に加え、8年または16万km以内のバッテリー保証が付帯する。
10インチと5インチのタッチスクリーンによるインフォテインメントシステム「Touch Pro Duo」を採用し、EVナビによる充電案内も充実。ソフトウェアは、ワイヤレスアップデートにより常に最新版となる。
車体サイズの印象以上の室内スペースも自慢のひとつ。ガソリンタンクがないため、リヤシートの下は収納スペースとなっている。
チャデモ方式に対応。50kW充電器なら1時間で最長270km分を充電できる。専用アプリで時間指定充電も可能。
「ACTIVE SOUND DESIGN」により擬似的な走行サウンドをアレンジ。
エンジンのないエンジンルーム(?)には小物入れが設けられている。
リヤシートは6:4分割可倒式。ラゲッジ容量は656~1453Lで、荷室機能を拡張するアクセサリーも用意される(右写真)。