新車試乗レポート
更新日:2019.06.07 / 掲載日:2019.05.10
トヨタ RAV4【ニュースキャッチアップ】
文と写真●ユニット・コンパス
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。
(掲載されている内容はグー本誌 2019年5月掲載の内容です)
自動車業界にまつわるニュースをわかりやすく紹介するのがこのコーナー。今回は、2016年の販売終了以来久しぶりの日本市場復活となるRAV4を紹介。チーフエンジニアのインタビューを交え、新型の魅力に迫る。
並み居るライバルと新型はどこが違うのか
ビッグネームの復活だ。かつて90年代に日本ではRV(リクリエーション・ビークル)のブームが起こり、クロカン4WDが街にあふれたことがあった。しかし、本格的なRVは街乗りには不便なところも。そんな折に登場したのが、初代RAV4(1994年)だった。
気軽に乗れるRVとして日本だけでなく世界的にもヒットしたRAV4。だが、モデルチェンジを重ねて国際商品として成長していくなかで、いつしか国内のニーズとのミスマッチが生じてしまう。さらにライバルが多数登場してきたこともあって、先代モデルではついに日本市場には投入されない状況に。しかし2019年4月、フルモデルチェンジを契機にRAV4が日本市場に帰ってくることが決定したのだ。
チーフエンジニアである佐伯禎一氏は開発にあたり、コンセプトそのものを練り直したと教えてくれた。
「昨今のSUVブームで、気がつけば市場にはカーライク(乗用車的)なSUVがたくさん存在する状況となりました。このまま新型が他モデルと同じような方向性で進化してしまっては埋もれてしまう。なによりSUVそのものがお客様から飽きられてしまうのではないか。そうした強い危機感を覚えました。そこで新型では、SUVとは何か、SUVの楽しさとは何かに立ち返り、力強さをデザインでも表現しました。4WDにもこだわり、3タイプのシステムを用意しました。とくにイメージリーダーである『アドベンチャー』の新型4WDシステムは、トルクベクタリングを採用することで、走破性はもちろんのこと、積極的に楽しめる4WDに仕上がりました」。
従来の便利さ、使いやすさはそのままに、”楽しめるSUV”として開発された新型RAV4。激戦区であるSUV市場でどのように評価されるかが楽しみだ。
モーグル路も最低地上高と4WDにより、ドライバーが工夫せずとも走破。トルクベクタリング仕様はさらに頼もしい。
傾斜のきつい坂道だってなんのその。ハイブリッド車の新型E-Fourは、雨天や降雪時での坂道発進能力が向上している。
新4WDはアクセル操作で積極的にコーナーをクリア
注目は新4WDシステム「ダイナミックトルクベクタリングAWD」。これは、従来あった前後トルクの配分に加えて、後輪のトルクをさらに左右独立して配分することができるというもの。さらに、ブレーキやステアリングを統合的に制御することで、滑りやすい路面でも、ドライバーの意図したとおりにクルマがコーナリングする。さらに、4WDが不要とクルマが判断した際には自動的に後輪への駆動力は切り離され、低燃費を実現する。従来の4WDはスタックした状態からの脱出など走破性向上が目的だった。それに対して新4WDシステムでは、さらに運転の楽しさを提供する。
「ダイナミックトルクベクタリングAWD」の作動イメージ。旋回する際、後輪外側のタイヤにトルクをかけることで、意のままのコーナリングを実現させる。
「E-Four」の作動イメージ。路面状況や車両がどのような状態にあるかを判断し、瞬時に後輪にトルクをかけて車体を安定させる。新型ではモーター出力がアップしている。
3タイプから選べる4WDシステム
ダイナミックトルクベクタリングAWD
ラインアップのイメージリーダーである「アドベンチャー」に搭載。高度な走破性と操縦性を実現している。ダイナミックコントロール4WD
従来タイプの4WDシステムで、雪道からラフロードまで幅広く対応。状況に応じた制御モードを選択可能となった。E-Four
ハイブリッド車の4WDは、リヤタイヤをモーターで駆動させる「E-Four」システム。新型ではモーターを強化した。
トルクベクタリング有りでは、よりパイロンに近いラインで走れているのがわかる。
悪路走破性だけでなくクルマとしての進化も大
ダートやモーグルコースの試乗では本格クロカンのような悪路走破性を披露。一方で市街地での走行で感じられたのが、操作に対するクルマの応答が素早く、運転しやすいこと。プラットフォームとパワートレインの両方を一新した効果は大きい。SUVにまた魅力的な選択肢が登場した。