新車試乗レポート
更新日:2020.06.24 / 掲載日:2020.06.16

【試乗レポート トヨタ RAV4 PHV】電気で走り、給電もできるシリーズのトップモデル

RAV4 PHV G(プロトタイプ)

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス

 人気があって販売も好調のトヨタRAV4にプラグインハイブリッドが追加された。名前はRAV4 PHV。これでカーライクなSUVトレンドと真逆のRAV4に先進性が加わったわけだ。もちろん、開発のシナリオは初めから決まっていてのだから、このモデルでファミリーが完成されたことになる。

モーター走行可能距離95km、1回の給油で1300kmもの航続距離を誇る

RAV4 PHV G(プロトタイプ)

 RAV4 PHVの特徴は、これまで以上にパワーが上がり、EV走行距離が増え、航続距離がのびたこと。EV走行とハイブリッド走行を合わせれば1回の給油と満充電でなんと1300km以上の航続距離が稼げることとなった。つまり、走る上での能力は明らかにファミリーのトップに位置づけられる。もちろん、その分価格が上がり、スタートプライスは469万円に跳ね上がる。
今回試乗会場に置いてあったピラーからルーフがブラックに塗り分けられる“ブラックトーン”になると539万円だから、最大で40万円ほどの補助金が受けられるとはいえ、まさに“高級なRAV4”といった感じだ。200万円台中盤の2L直4ガソリン車のおよそ2倍に当たる。

 その分最新のテクノロジーが搭載される。トヨタ自慢のプラグインハイブリッドシステム“THS II Plug-in”がそれで、大容量のリチウムイオンバッテリーや充電&給電システムなどを搭載する。よって、車両重量は嵩むが性能は上がる。特にEV走行距離95kmは立派。日常使いなら電気だけで済みそうだ。しかもEVモードを持続させるようプログラミングされているので、中間加速でアクセルをグッと踏み込んでもエンジンが唸り出すことがない。
今回はサーキット試乗だったので、その辺はあまり期待しないでいたが、実際かなりの領域をEVモードで駆け抜けたのは驚いた。高い技術力を証明する。

 また、このクルマには外部給電システムが装備される。クルマから電化製品に電気を送れる技術だ。キャンプ場もそうだし、停電時などに威力を発揮するだろう。
搭載されるバッテリーを使って1500Wで7時間、エンジンをかけていれば1500Wでなんと3日間対応できる。災害時の活躍が目に浮かぶ。というか、これがガレージにあれば安心ってもんだ。

  • 2.5Lダイナミックフォースエンジンにリダクション機構付きのTHS II Plug-inシステムを組み合わせる

  • THS II Plug-in解説用に作られたカットモデル。走行用バッテリーは床下に搭載。コンバータや充電器は後席シート下に収められている

  • ラゲッジルームは他モデルと同等で使い勝手にも優れる

バッテリーを床下に搭載したことによる重心の低さが走りにもプラス

RAV4 PHV Black-tone(プロトタイプ)

 では乗った印象に話を移そう。

 と、その前に実車を目にして色々と工夫しているのがわかった。とくにフロントマスクはそうで、既存のハイブリッド系の顔なのだが、より高級感を出すようリデザインされる。フォグランプを丸型から縦型LEDにしたり、グリルもハイブリッドとは微妙に異なるデザインにし黒を強調した。これにより少しアドベンチャーのテイストが加わった気がしなくもない。
トップグレードの“ブラックトーン”の色分けも悪くない。アドベンチャーにある白ピラー&ルーフの黒版だ。ボディカラーのセレクトによってはかなり引き締まって見える。白や赤との組み合わせは個性的だ。

 では、走った印象だが、アドバンチャーもハイブリッドも何度か乗ったが、そもそもRAV4自体基本性能がいいのでサーキット走行でも十分期待に耐えられる走りをする。高速コーナーでボディがよれたり、ステアリングの精度が低かったり、ストッピングパワーにプアなところはない。ブレーキのコントロールで向きを変えるのも容易なくらいだ。

 なので、PHVも基本性能は期待通り。床下にバッテリーを積んでいる重さを多少感じるが、それもサーキットを走らせた上でのこと。一般走行ではほとんど気にならない領域だろう。というか、逆に重心が低い分かえって乗り味はしっとりしている気さえする。直線での安定感をはじめポジティブな方向に現れているようだ。
また、乗り心地がいいのも特筆すべきポイント。試乗車は19インチだったが、振動やノイズでサイズを意識することはなかった。これなら見た目のかっこいい19インチがベストチョイスとなるであろう。

基本はモーターによるEV走行で、エンジンがそれをサポートする

RAV4 PHV G(プロトタイプ)のインテリア。レッドステッチで上質感を演出

 ドライブモードは“ノーマル”、“エコ”、“スポーツ”があるが、今回はサーキットだったので“スポーツ”のみで走った。ここの変化は公道テストでまたお知らせする。
そのほかの切り替えスイッチは、EVモードや、積極的にチャージを行う機能、EVとハイブリッドを走行状態から自動的に適切な選択をするモードなどがある。この自動的に駆動力を選択するモードでサーキットを走るとバックストレートでようやくエンジンが目を覚ますといった感じだ。

 ただ考え方として、このクルマはデフォルトをEV走行と捉えるのがわかりやすい。開発陣の話を伺っているとそう感じた。彼らはEV走行での快適性を高めるためにエンジンをどう活用するかという視点で開発している。そう考えると、走りにおける味付けの方向性もわかるし、技術力の高さも窺い知れる。

 というのが、RAV4 PHVのインプレ。サーキットで走らせたのは高い走行性能を試すのもそうだが、それだけでなくナンバーがまだついていないという理由もあった。要するにプチプロトタイプといったところ。よって次回は一般道での試乗となる。そうなると、どうせなら一回充電で1300キロ走ってみたいもんだなぁ。

  • スピードメーターは7インチの液晶モニター内に表示され、アナログ、デジタルの切り替えも可能

  • シフトノブの脇に用意された走行モードの切り替えスイッチ。積極的にEV走行するモード、充電を優先するモード、パフォーマンス重視のモードなどが用意されている

トヨタ RAV4 PHV BLACK TONE(CVT)データ

■全長×全幅×全高:4600×1855×1695mm
■ホイールベース:2690mm
■トレッド前/後:1595/1615mm
■車両重量:1920kg
■エンジン:直4DOHC+モーター
■総排気量:2487cc
■エンジン最高出力:177ps/6000rpm
■エンジン最大トルク:22.3kgm/3600rpm
■モーター最高出力 前/後:182ps/54ps
■モーター最大トルク 前/後:12.3kgm/27.5kgm
■サスペンション前/後:ストラット/ダブルウィッシュボーン
■ブレーキ前後:Vディスク
■タイヤ前後:235/55R19

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グーネットマガジン編集部

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