新車試乗レポート
更新日:2020.08.31 / 掲載日:2020.08.31
NISSAN リーフ NISMO 公道試乗
ハイパフォーマンスなピュアEV、リーフ NISMOが進化した。さらにその走行性能に磨きをかけた新モデルの、走りの実力をチェックしてみた。
徹底的に磨き込まれた新型。操りやすさも向上

NISSAN リーフ NISMO【一部改良】
●発売日:7月20日●価格:429万4400円●販売店:ニッサン全店●問い合わせ先:0120-315232主要諸元(NISMO)●全長×全幅×全高:4510×1790×1570mm●ホイールベース:2700mm●車両重量:1520kg●駆動方式:FF●パワートレーン:モーター(110kW/320N・m)●トランスミッション:一段固定式●JC08モード一充電走行距離:350km●最小回転半径(m):5.4●タイヤサイズ:225/45R18
刺激より、頼もしさ。スーパーツアラー的存在
NISMOの車両開発はとても現実的である。スポーツ性の向上を付加的セールスバリューとするのは同じでも、刺激的な演出ではなく、ユーザーが実利として捉えられる高性能を軸脚に置いている。専用に施された内外装にしても、特別仕立てのスポーツモデルにしては控え目であり、日常を背景とした状況でも収まりがいい。そして走りは刺激ではなく、頼もしさを主眼としている。リーフNISMOの基本姿勢も同じだが、20年モデルへのMCではサスを中心に大幅な改良が加えられた。バネ/ダンパーの見直し、より速いステアリングギヤ比の採用、ブレーキやVDCの特性を変更。また、レカロシートも形状変更を行いサポート性と座り心地の向上を図っている。18年モデルでやり切れなかったところを徹底的に磨き込んだわけである。クイックなステアギヤや操舵応答性の向上と聞くと神経質なハンドリングを想像してしまうが、操舵感の据わりや方向安定は18年モデルより向上している。揺れ返し等の不要な挙動なく方向性もラインコントロール性も落ち着いている。この収まりのよさがあってこそクイックなステアギヤが可能であり、タイトターンの捌きはもちろん、高速コーナリングでの安心感や操りやすさも向上。精神的なストレスなくハイアベを維持できるスーパーツアラーの走りだ。高速域に弱い動力性能が玉に瑕だが、硬めながら良質な乗り心地もあって普段乗りにもストレスがない。プレミアム&ツーリング志向の大人味が魅力の一車だ。

走りの良さを感じさせるNISMOオリジナルのデザイン。サスチューンを最適化させたほか、ブレーキの初期フィーリングも改善されている。
走りのレベルアップのため各部を最適化。専用チューンのVDCも、主にドライの限界走行シーンでの性能を向上させている。
専用レカロシートはデザインを一新させサポート性を向上。シートヒーターを標準装備とした。なおレカロシート装着車は持ち込み登録車となる。

ホットハッチを彷彿させるような、「欧州テイスト」のクイックなステアリングギヤレシオを採用。より俊敏な動きも可能に。
従来同様、メーターには充電時間予想などを表示可。
基準車のリーフと同じくラゲッジスペースをしっかり確保し普段遣いにも◎。
●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之