新車試乗レポート
更新日:2021.01.04 / 掲載日:2020.12.28
MAZDA 改良マツダ3<プロトタイプ>試乗

MAZDA マツダ3【一部改良】
マツダのミドルワゴン&セダンが一部改良。スカイアクティブXの制御にも手が入れられた。今回、そのプロトタイプに乗る機会を得た山本シンヤがレポート。
前フェンダーに「SKYACTIV X」の、リヤに「e SKYACTIV X」のバッジが装着される。
プロトタイプに試乗! スカイアクティブXが大幅進化
実用エンジンとスポーティエンジンほどに違う
スカイアクティブXが市場導入されてから約1年、アップデートが実施された。スカイアクティブXのキモの「SPCCI(火花点火圧縮着火)」は生まれたての技術で、進化の余地はまだまだある。
今回のこの変更は「SPIRIT1.1」と呼ばれるが、ソフトウェア変更が主だ。変更項目は大きく分けると3つ。1つ目は「燃焼制御の緻密化」で混合気状態の予測モデル精度……特にEGRモデル精度を高めることで、多くの新気導入が可能になり大幅なトルクアップを実現。2つ目は「エアサプライの過給開始時期の変更」で、アクセルを踏んだ時の瞬発力が引き上げられている。そして3つ目は「M-Hybridによるトルク制御の緻密化」で、トルク変動をISGのトルクコントロールで減衰させ、加速の繋がりもより滑らかになっている。
新旧の乗り比べをしてみたが、実用エンジンがスポーティエンジンになったような違いだ。具体的に言うと、アクセルを踏んだ時の「瞬発力」と「レスポンス」がアップ、眠そうだったエンジンがシャキッと目覚めたような印象だ。更に常用域(2000~3000rpm)のトルクは数値以上の差で、明らかに小さいアクセル開度で同じように走れる。現行モデルでは、MTで躊躇せずシフトダウンするシーンでもSPIRIT1.1はシフトキープでOK、ATはビジーシフトが影を潜めるなどドライバビリティも向上。燃費は同条件で簡易計測するとMT/AT共にSPIRIT1.1のほうがいい値なのも確認。
総合的に評価すると、本来目指していた性能に一歩近づいたと思う。まさにロータリーエンジンの時と同じように、「進化し続ける」エンジンと言えるだろう。
スパークプラグの「使い方」を変えたのが スカイアクティブXだ
スカイアクティブXは、これまで火花着火の領域で“仕方なく”使っていたスパークプラグを、逆に圧縮着火のタイミングのコントロールに使用。圧縮着火燃焼可能な回転・負荷を拡大させると共に、燃焼の切り替えの完全な制御を可能にした。これが「火花点火制御圧縮着火(SPCCI)」。その結果、冷間時や高回転域を除くほぼ全域で圧縮着火を可能にしている。これまでとは異なる新しい燃焼方式だが、その根本は「点火」と「噴射」というガソリンエンジンの仕組みを研ぎ澄まし、機能を統廃合して生まれた技術と言える。
ディーゼルも改良、特別仕様車を追加
MAZDAマツダ3

●発売日:11月19日 (スカイアクティブX&Dは21年1月、 ファストバックのスカイアクティブG 2.0・6MT車は21年2月予定) ●価格帯:222万1389~397万3343円(ファストバック)/ 222万1389~397万3343円(セダン)
スカイアクティブX以外も改良が施されている。足回りを改良し、すべての機種でドライビングダイナミクス性能と乗り心地を向上。CTS(※)の作動上限速度を高速域まで拡大。スカイアクティブDは出力を向上させつつ、より広い回転域でトルクフルになるよう制御を変更。スカイアクティブG 2.0に6MT車を追加設定。またワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤーを受賞した記念モデルを100周年特別記念車に設定。
●文:山本シンヤ ●写真:マツダ