新車試乗レポート
更新日:2021.02.01 / 掲載日:2021.01.31

MITSUBISHI 新型エクリプス クロス 公道初乗りインプレッション

コンパクトクロスオーバーSUVのエクリプス クロスがマイナーチェンジを実施。デザインを一新するとともに、新たにPHEVモデルが登場した。その走りの進歩は外観のイメチェンに見合うほどのものなのか。早速試乗してみた。

エクリプス クロス PHEVモデル P
●車両本体価格:447万7000円
●ボディカラー:ホワイトダイヤモンド(7万7000円高)

エクリプス クロス ガソリンモデル Gプラスパッケージ
●車両本体価格:334万6200円
●ボディカラー:レッドダイヤモンド(7万7000円高)

スポーツ&ツーリングでの走りの良さが真骨頂だ

ゆとりのPHEV、スポーティなターボ

 エクリプス クロスはスポーツ&スペシャリティな雰囲気と実用性を両立させたコンパクトSUVとして誕生した。ところが、マイナーチェンジで外観の印象は一変した。ひと言でいえばミツビシSUVファミリーらしくなったのだ。コンパクトSUVとしてバランスの取れたキャビンユーティリティを考えれば、見た目の印象と適応用途が以前よりも一致している。

 しかし、走りの方向性は変わっていない。今回、アウトランダーに採用していたPHEVを新たに導入。駆動システムは前後独立した電動駆動を用いるシリーズ式ハイブリッドをベースに、中高速域の巡航用にエンジン直動機構を備えたパラレル式併用型。ドライブフィールもシリーズ/パラレル両方式の特徴を備えている。

 低中速域と加速時では電気モーター駆動ならではの即応性と小アクセル開度での力強い加速が身上。ペダルの踏み込み通りに加速する様は、エンジン車では味わい難いものだ。蓄電量に余裕のある状況ではエンジンは稼働せず、電気自動車そのものの運転感覚だ。なお、満充電のEV航続距離はWLTCモードで57.3kmである。

 蓄電量に余裕がなくなるとハイブリッド走行に移行。エンジンの稼働/停止にかかわらず、シリーズ走行時のドライブフィールはEV走行時と大きく変わらない。パラレル走行は70km/h前後くらいから。パラレル走行時は直動らしい安定したエンジン回転に電動アシストが加わり悠々の力感。ゆとりの高速ツアラーの印象だ。

 ただ、同時に試乗した1.5Lターボを採用したガソリン車のほうが感覚的にはスポーティ。エンジンの存在感や回転数変化によるものだが、巡航ギヤ維持能力も高く、エクリプス クロスのキャラともマッチしている。もちろん、車格感ではPHEVに分があるがコスパなら中々のものである。

 引き締められたストロークを滑らかに使うフットワークは低速から高速まで安定した操安性を示し、乗り心地からは巧みに荒さを取り除いている。4輪駆動力配分を制御するS-AWCがもたらすハンドリングは、限界まで素直なコントロール性を維持。マニアックなスポーツドライビングも得意だ。ミツビシ車の走りをリードするモデルなのは間違いなく、しかも一般用途との適合も悪くない。

 気軽なアウトドアレジャー用途を軸に選んでも悪くないが、エクリプス クロスの真骨頂はスポーツ&ツーリングでの走りのよさ。操舵補正型LKAがないのは難点だが、PHEVの追加で自慢の走りがさらに魅力的になっていた。

MITSUBISHI エクリプス クロス

●発売日:20年12月4日
●価格:253万1100~447万7000円

見た目も新たにマイチェンながら大きく前進

 「Daring Grace(大胆にして、優雅)」のデザインコンセプトを掲げてエクステリアを一新。シートや装備類など各部の見直しも実施したが、最大の話題は新設定のPHEVモデルだ。アウトランダーで定評のあるPHEVシステムを搭載することで、コンパクトSUVクラスで他にない個性を獲得している。

ガソリンモデル

PHEVモデル

  • ガソリン/PHEVの外観はホイールやエンブレム程度の違い。灯火類などは共通だ。

エクリプスクロス バリエーション&価格

  • 【エンジン】ガソリンモデル

    1.5L直4直噴ターボにはFFと4WDを設定。8速スポーツモード付CVTと組み合わされる。

  • 【エンジン】PHEVモデル

    発電に加え、一定の条件下では駆動も担う2.4L直4エンジン。変速機構は備えていない。

エクリプス クロス ボディカラー

★は7万7000円高

  • ホワイトダイヤモンド★

  • レッドダイヤモンド★

  • ライトニングブルーマイカ

  • ブロンズメタリック

  • スターリングシルバーメタリック

  • チタニウムグレーメタリック

  • ブラックマイカ

エクステリア・寸法

オーバーハング延長で 流麗なクーペフォルムに

 全長を140mm、リヤオーバーハングを105mm延長。のびやかなスタイルを実現するとともに、荷室容量の拡大など、SUVとしての実用性も向上。フロントは進化版「ダイナミックシールド」、リヤはテールゲートをシングルウィンドウとし、立体的なコンビランプでシャープなイメージを強調している。

全長:4545mm ホイールベース:2670mm 最小回転半径:5.4m

  • 全幅:1805mm 最低地上高(ガソリン/PHEV):175/185mm

  • 全高:1685mm

ガソリンとPHEVの寸法上の違いは、トレッドのほかPHEVの最低地上高が10mm高い程度。ただし、車重はPHEVが400kg以上重い。

  • 18インチ[ガソリンモデル]

  • 18インチ[PHEVモデル]

ガソリンとPHEVのホイールは同サイズでもデザインが異なる。

icon 旧型

インテリア・ユーティリティ

シートバリエーションが充実

 狙いはより洗練されたスポーティなインテリア。水平基調のインパネ、高級感&高機能感あふれるメーターを採用。シートの素材や色を見直し、パワーシートやシートヒーターといった快適アイテムも充実させている。

PHEVモデル

  • ガソリンとPHEVは基本デザインは同じだが、シフトノブやメーター表示などが異なる。

ガソリンモデル

icon 旧型

  • icon

  • icon

    アウトランダーのハイコントラストメーターをベースに改良。PHEVはパワーメーターを装備。

  • 運転時の視線移動を抑えて安全運転に寄与するカラーヘッドアップディスプレイを設定。

  • 8インチディスプレイを備えるスマートフォン連携ナビゲーションを設定。PHEVはエネルギーフローなどの走行情報も表示する。

スポーティなコンビシート(写真)やヘリンボーン柄の上級ファブリックシートを用意。オプションの本革シートにライトグレー色を加えるなど、バリエーションが豊富に。

  • 荷室容量はVDA方式で405L(ガソリン)/395L(PHEV)。床下にサブトランクも備える。

エクリプス クロス シート仕様

★はメーカーオプション

  • コンビネーション (スエード調素材×合成皮革)

  • 上級ファブリック

  • ファブリック

  • 本革(ブラック)★

  • 本革(ライトグレー)★

メカニズム・装備

最大のトピックはPHEV、e-Assistの機能も向上

 目玉となるPHEVはアウトランダー譲りのシステムを搭載し、外部への給電も可能。前後モーターによるツインモーター4WD&S-AWDで安定した走行を実現する。なお、ガソリン4WDもS-AWDを搭載している。

PHEVコンポーネント

フロントに2.4Lエンジンとモーター&ジェネレーター、統合制御MCU(マイクロコントローラーユニット)、床下にバッテリー、リヤにはモーターとそのMCUを搭載している。

普通&急速充電(チャデモ)に対応。荷室にAC100V電源(1500W)を備える。

3つのモードを自動選択して高効率に走行。スイッチでモードを選択することも可能だ。

4WD車は様々な路面状況に対応するドライブモードを搭載。オールマイティなNORMAL、滑りを抑制するSNOW、悪路走破性の高いGRAVEL、さらにPHEVはコーナリング性能を高めるTARMACを選択可能だ。

  • ミツビシの先進安全・運転支援技術「e-Assist」を標準装備。グレード別設定としてACC等の追加機能も搭載される。

新型エクリプス クロス 諸元表

おすすめグレード

価格差はあるがPHEV、それも最上級を狙いたい

PHEVモデル P 価格:447万7000円

 ターボ車とPHEVの価格差は約120万円。実用性とスポーティな走りならターボ車がコスパ高だが、先進性や走りのプレミアム感を考えると予算的に厳しくなければPHEVを選ぶのが無難だろう。グレード選定ではベーシック仕様でも機能的には十分だが、ライン装着ナビ前提ではG以上に限定。装備内容と価格差を考えるなら最上級グレードが狙いだ。

●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之

提供元:月刊自家用車

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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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