新車試乗レポート
更新日:2021.08.23 / 掲載日:2021.08.23

VOLVO XC90 ロングラン試乗

新生ボルボの第一弾として2016年に国内デビューしたXC90。
その後登場したボルボSUVにデザインやメカニズムで大きな影響を与えた。
発売から5年が経過し、正に熟成の領域。
今回はロングドライブでその魅力を再検証してみよう。

心地よく正確な走りで1クラス小さいボディのような俊敏さ

 新世代ボルボ第一弾として登場した「XC90」。日本では導入以降1000台/年をコンスタントに販売する隠れ人気モデルだ。とはいえ、すでに登場から5年が経過し、世代交代の噂も耳にする。しかし、ボルボの場合はモデル末期でも選びたい魅力がある。それは最後の最後まで進化の手を止めないこと、そしてそれに伴うクルマの完成度の高さだ。その実力を確認するために約300kmのロングドライブを実施。

 試乗車はXC90のフラッグシップ「リチャージプラグインハイブリッドT8」だ。ボルボの電動化モデルのプラグインハイブリッドモデルで、前輪は318PS/400Nmを発揮する2Lターボ+スーパーチャージャーと46PS/160Nmを発揮するモーターが、後輪は87PS/240Nmのモーターが駆動を行なう。バッテリー容量は11.9kWhでEVでの航続距離は39.2kmとなっている。 バッテリー容量がある時はほぼモーターのみの走行だ。2トン超えの車体を軽々と走らせる力強さはもちろん、モーターの特性の一つ……応答性の良さも相まって、ウエット路面での走行はむしろ内燃機関モデルよりもコントロールが楽だ。燃費は15~16km/Lをキープ。高速道路がメインだったとはいえ、サイズや重量、パフォーマンスを考えれば優秀だ。

 一般道/ワインディングでは大きなボディを持て余すかと思いきや、見切りのいいボディと視界の良さ、更に心地よいダルさを持ちながら正確性の高いハンドリングに、まるで1サイズ小さなクルマに乗っている印象。重いバッテリーをクルマの中心かつ低い所にレイアウトしているため、コーナリング時の姿勢も見ため以上に安定している。ちなみに初期モデルは硬めの味付けでバネ下のバタつきと路面からの突き上げも多めだったが、最新モデルはリヤサスがよりシッカリと仕事をしている印象で、乗り心地が確実に進化している。何を変えたかは不明だが、SPA採用モデルが増えたことで、その知見やノウハウはXC90にもフィードバックされているはず。

 高速道路はパイロットアシスト(全車速追従機能付ACC+車線維持支援機能)で走行。機能と言う意味では他メーカーと似たシステムだが、制御と人の感覚のズレが最小限な上に、いい意味でシステムが頑張りすぎていないのもマルだ。ちなみに公式なアナウンスはないが、確実に初期モデルよりも自然な制御になっている。

 結論、ズバリ“完熟”と言っていい仕上がりである。輸入車業界では画期的な「5年保証」や据え置き型クレジット「アクティブローン」やカーリースの「スマボ」などニーズに合わせた様々なファイナンスプログラムも用意。国産車からの乗り換えも心配ない。

icon VOLVO XC90 Recharge Plug-in hybrid T8 AWD Inscription

●価格:1139万円
●輸入元:ボルボ・カー・ジャパン
●問い合わせ先:0120-55-8500

主要諸元(Recharge Plug-in hybrid T8 AWD Inscription)
●全長×全幅×全高(mm):4950×1960×1760●ホイールベース(mm):2985●車両重量(kg):2370●駆動方式:4WD●パワートレーン:1968cc直4DOHCインタークーラー付ターボチャージャー&スーパーチャージャー(318PS/40.8kg・m)+前モーター(34kW/160Nm)+後モーター(65kW/240Nm)●トランスミッション:8速AT●燃料タンク(L):70(プレミアム)●最小回転半径(m):6.0●タイヤサイズ:275/40R21●車両本体価格:1139万円

電子制御式4輪エアサスペンション/ドライビングモード選択式FOUR-Cアクティブパフォーマンスシャシーを装備。

ボルボを象徴するTシェイプのLEDデイタイム・ライニング・ライトとフロントグリルで大胆かつエレガントな外観。

2列目足元はちょっとしたLLクラスサルーン並みの広さ。プラグインハイブリッドはナッパレザーの本革シートを装備。3列目は床下格納式の2人掛けだが、実用に耐えうるサイズ。

パイロット・アシスト(車線維持支援機能)や全車速追従機能付ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)が標準装備され、高速移動でもストレスなく走行できる。衝突回避支援も万全なので安心度も頂点クラス。

3列目シート使用時でも2列仕様SUVと同等の十分な広さのラゲッジスペースが確保されている。

2L・直4ターボ&スーパーチャージャーエンジンに前後モーターを配した電気式4WD。AC200Vの普通充電が可能なPHVで、等価EVレンジで39.2km。プラグインレンジで40.6kmのEV走行が可能だ。

275/40R21というロープロファイルタイヤを履きながらもエアサスにより滑らかな乗り心地を実現。

●文:山本シンヤ ●写真:澤田和久

提供元:月刊自家用車

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

この人の記事を読む

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ