新車試乗レポート
更新日:2022.01.26 / 掲載日:2021.12.29

【試乗レポート BMW iX】次世代に向け革新を遂げたBEVモデルの旗艦

文●石井昌道 写真●ユニット・コンパス

 2018年12月のロサンゼルス・モーターショーで公開されたBMWビジョンiNEXTは、BMWが取り組む4つの革新分野であるACES(Autonomous=自動運転, Connected=コネクテッド, Electrified=電動化 and Services=シェア&サービス)に新しいデザインを加えたD-ACESがテーマだった。ちなみに、CASE(コネクテッド、自動運転、シェア&サービス、電動化)という呼び方が一般的になっているが、これはメルセデス・ベンツが2016年に生み出した言葉であり、ライバルのBMWはそのまま踏襲せずにACESとしている。

BMWの次世代デザイン思想を取り入れたエクステリア

iX xDrive50

 ビジョンiNEXTの市販バージョンが日本にも早々と上陸したiXだ。iX3と違って車名に数字が付かないのは、エンジン車ベースのBEVとは違う、スペシャルな次世代車であるからで、BMW BEVのフラッグシップでもある。D-ACESのすべてのテーマが具現化されたわけではないが、電動化とデザインに関しては今後のBMW BEVの方向性を示唆している。

 エクステリアデザインは、縦に長い大型キドニーグリルと切れ長のヘッドライトが織りなす押しの強さが印象的だが、サイドに目を移すとキャラクターラインなどが強調されておらずツルンとしている。無駄な要素は削ぎ落としてフォルムの美しさを見せるシンプル&クリーン的な考え方をベースに、アイデンティティであるキドニーグリルはより際立たせていこうということなのだろう。BEVなので冷却のための空気を取り入れる必要がないのでキドニーグリルは完全に塞がれている。今後、ここはADAS(先進運転支援システム)のセンサーなどを取り付ける一等地になる。また、ボンネットが開かないというのもBEV専用車らしい。先端のエンブレムのみウインドーウォッシャー液補充用に開閉可能となっている。

家具からインスピレーションを受けたシンプルなインテリア

iX xDrive50

 エクステリア以上に次世代を感じさせるのがインテリアだ。スイッチ類を減らすとともにヘッドアップディスプレイ・ユニットなどの機器が目立たないようミニマルに仕上げ、家具などからインスピレーションを受けた要素を採り入れて居心地のいい空間となっている。湾曲した大型ディスプレイや六角形のハンドルが特徴的だ。エクステリア、インテリアともに、ミニマルな考え方が踏襲されているが、BMWではこれを、必要な時以外は目立たさない“シャイ・テク”と呼んでいる。

精緻かつ頑強に作り込まれたメカニズム。速さの中に質感を感じさせる上質な走行フィーリング

iX xDrive50

 木目のパネルとクリスタル仕上げのiDriveコントローラーなどが美しいセンターコンソール上のSTART&STOPスイッチを押し、その下のクリスタル仕上げの小さなシフトセレクターをDレンジに入れるとiXは静々と走り出した。今回の試乗車は上級グレードのiX xDrive50でシステム最高出力523PS、システム最大トルク765Nmというとんでもないパフォーマンスを誇っているが、交通の流れに合わせて走らせていると、スペックから想像される凶暴さなどはおくびにも出さない。ドタバタするような動きが一切なく、究極と言えるほど滑らかで静か。ひたすらに上品な乗り味を提供してくるのだ。ボディはもちろん、各取り付け部や締結部の剛性があきれるほどに高く、可動部で抑えるべきフリクションは徹底的に排除した感覚があり、機械としての精度の高さに圧倒される。BEVならば滑らかで静かなのは当たり前だが、それでも現在市販されているモデルのなかでiXは頭抜けていて、次世代BEVを生み出すにあたって、まずはBEVの良さを究極まで磨き上げたのだ。

 0-100km/h加速4.6秒なので、アクセルを踏み込めばスポーツカー並に速い。ハイパフォーマンスなBEVの加速感は、強烈な起動トルクによって違和感があったりするものだが、iXはそこが自然な感覚になっていてトルク特性などをきっちりと造り込んできたように思える。モーター特有のレスポンスの良さや図太いトルクは生かしつつも、ハイパフォーマンスなエンジン車のようにドライバーの気持ちと加速感がシンクロするのだ。アクセルを戻したときの回生ブレーキは、Dレンジではエンジンブレーキ相当の自然な減速感、Bレンジに切り替えると強さが増してi3のようなワンペダルドライブが可能になる。

 低重心で、エンジンマウントなどによる重量物の余計な揺動などがないBEVだから、シャシー性能のポテンシャルも高い。さらに、iX50は4輪アダプティブ・エア・サスペンションやインテグレイテッド・アクティブ・ステアリング(前後輪統合制御ステアリング・システム)なども装備しており、快適性と操縦安定性は高い次元でバランスしている。運動性能は高いが、パワートレーンと同じくあくまで上品なのがiXの特徴でもある。

 六角形のハンドルは、レベル3以上の自動運転を実現したときに、クルマ側からドライバー側へ運転を委ねられたときに、視覚的にも舵角がわかりやすからだという理由もあるようだが、手で触れていても直進状態はどの辺かなどが直感的に分かりやすく、いやな違和感はない。ステアリングシステム的には、少ない操舵で大きな舵角が当てられて取り回しはいいのだが、ちょっとクイックすぎると感じる場面もあった。

バッテリー容量は最大級の111.5kWhで航続可能距離は650kmに及ぶ

iX xDrive50

 バッテリー容量は111.5kWhと最大級で一充電走行距離は650km(WLTCモード)にも及ぶ。これだけ大容量なのに車両重量が2530kgに収まっているのはアルミフレーム+カーボンケージによって軽量・高剛性に仕上がっているからだ。650kmも走れるのなら外出先で充電する必要もあまりないだろうが、下限まで使ってしまったときにフル充電するのはそれなりに時間がかかるだろう。150kWの急速充電器に対応していて、それなら30分で75kWh程度、WLTCモード電費で400km走行相当が充電できることになる。ただし、充電時にはエネルギーロスが発生するので、実際には7~8割ぐらいになるだろう。また、150kWの充電器はまだ普及しておらず、高速道路のサービスエリアにある大半は40kW程度、徐々に90kWが増えているのが現状だ。

 BMW JAPANでは160箇所のディーラーに急速充電器の設置を進めていて、2021年のうちに7割ほどが完了。BMW Tokyo BAYにはABB社製の90kWがすでに設置されていて、BMW以外のBEVが充電に訪れる場面も見られる。いまのところ、大容量バッテリーを搭載するBEVを販売するのなら、独自の急速充電ネットワークは必須であり、BMW JAPANも取り組みを加速させているのだ。

BMW iX xDrive50(電子式CVT)

  • ■全長×全幅×全高:4955×1965×1695mm
  • ■ホイールベース:3000mm
  • ■車両重量:2530kg
  • ■バッテリー総電力量:111.5kWh
  • ■モーター定格出力前/後:70/95kW
  • ■モーター最高出力前/後:190/230kW(258/313ps)
  • ■モーター最大トルク前/後:37.2/40.8kgm
  • ■ブレーキ前/後:Vディスク
  • ■タイヤ前後:255/50R21
  • ■新車価格:981万円から1116万円(iX全グレード)

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石井昌道(いしい まさみち)

ライタープロフィール

石井昌道(いしい まさみち)

自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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