新車試乗レポート
更新日:2022.03.16 / 掲載日:2022.02.23
【試乗レポート ランドローバー ディフェンダー】ディーゼル仕様は想像どおりのベストマッチ

文●九島辰也 写真●澤田和久、内藤敬仁
ランドローバーの販売が好調だ。2021年の総販売台数は33万4586台で、4年ぶりに前年実績を上回った。日本もそう。登録台数は4773台。前年比21%増という躍進だ。
待望のディーゼルエンジン仕様が追加された

主役はやはりディフェンダー。110(ワンテン)のガソリンのみだったデリバリーにディーゼルエンジンが加わり、さらにショートホイールベースの90(ナインティ)も顔を見せた。要するに選択肢がグッと増えたのだ。本国のサイトを見るとその存在が目立っていただけに、待ち焦がれていた方も多かったであろう。これで自分に合ったグレードを選べることとなった。
目玉はやはりディーゼルエンジンを搭載した110だろう。3リッター直6ツインカムディーゼルターボは最高出力300ps、最大トルク650Nmを発揮する。この手のクルマには必要にして十分なスペックだ。見てもらいたいのは最大トルクを1500回転という低い領域で発生させる点。SUVとディーゼルエンジンの親和性を長く説いてきたが、今回も見事にそれが当てはまる。こうした車両重量のあるクルマには低回転トルクが必須なのだ。
その理由はいくつかあるが、街中でのスムーズな出だしや中間加速で役立つのは確か。アクセルをじわじわと踏み込んでいけばそれに見合ったチカラでクルマを前へ押し出してくれる。そしてオフロードでは大きなギャップを越える際に、細かなアクセルコントロールが容易にできる。世界中のオフロードコースを走ってきたが、それは重要なこと。いきなりの出力発生が命取りにつながるからだ。その点でガソリンエンジンよりディーゼルの方が扱いやすいという結論に至る。「アクセルの踏み込む角度は100段階ある」というのを見事に体感できる。
さらに言えば、今回は48Vマイルドハイブリッドが加わったのもニュース。ベルトドライブ式スタータージェネレーターがさらなるスムーズな出だしをアシストしてくれる。もはや鬼に金棒といったところだろう。電気の恩恵は大きい。それに振動やエンジン音を抑えた直6エンジンではあるが、ガソリンエンジンよりは大きいのは否めない。が、それもモーターでスタートしてしまえばまったく関係ないのだ。思うに、48Vマイルドハイブリッド、それとアイドリングストップ機構はディーゼルエンジンのネガティブ部分を払拭する最大のアシスト機能ではないだろうか。その意味からもディーゼルエンジンを搭載したディフェンダーはバランスのいい、イメージ通りのクルマに仕上がっている気がする。
現行世代となって乗り心地は大幅に進化した

売れている理由はそれだけではない。やはりこのクルマの最大の魅力は見た目。ジープラングラーやメルセデス・ベンツGクラスに並ぶヘビーデューティーさが際立っている。先代のオールドスクールなスタイリングを見事にモダンに仕上げたデザインはさすがだ。
それでいてボディ骨格は新設計。レンジローバーなど兄弟車のいいところを備えている。伝統のラダーフレームではなくモノコック構造を採用する。高剛性で足回りを柔らかくセッティングし、乗り心地を快適にしているのはその結果だ。なので、普段使いもまったく支障はない。リアサスペンションが跳ねて後部座席から乗り心地が悪いというクレームの心配はもういらない。






九島氏のオススメは「110+ディーゼル」または「90+ガソリン」

というのがディーゼルエンジンを搭載したディフェンダーの概要。このエンジンと重量のある110との相性はバッチリだ。と同時に、90とガソリンエンジンの相性が良かったことも付け加えておこう。運動性能が上がるショートホイールベースではガソリンエンジンが気持ち良く回って楽しい走りを提供してくれる。街乗りメインで2ドアが許されるのであれば、そんな選択も悪くないかもしれない。
ランドローバー ディフェンダー 110 X D300(8速AT・4WD、5+2シート、エアサスペンション)
- ■全長×全幅×全高:4945×1995×1970mm
- ■ホイールベース:3020mm
- ■車両重量:2010kg
- ■エンジン:直4DOHCディーゼルターボ+モーター
- ■総排気量:2993cc
- ■エンジン最高出力:300ps/4000rpm
- ■エンジン最大トルク:66.3kgm/1500-2500rpm
- ■ブレーキ前後:Vディスク
- ■タイヤ前後:255/65R19
- ■新車価格:576万円-1197万円(全グレード)