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更新日:2017.12.22 / 掲載日:2017.12.22

半自動アーク溶接機を購入!家庭用の100V仕様は使えるのか?

オークションで落札して実作業で使ってみた
オークションで落札して実作業で使ってみた

 ネットオークションに出品されている半自動アーク溶接機の落札相場は8,000~9,000円。この価格なら食指が動くが、なにかと問題になることが多い海外製。実用に耐えうる性能を有しているのだろうか?実際に半自動アーク溶接機を落札し、実作業で使って確かめてみることにした。

落札相場をめどに入札!半自動アーク溶接機を激安価格でゲット!

半自動アーク溶接機 全体

主要諸元・電源:単相100V (50/60Hz)
・定格入力電圧:3.6KVA
・定格使用率:120A/10% 60A/35%
・対応ワイヤー径 :0.8~0.9mm
・サイズ:340×180×290mm
・重量:約18.5kg
・トーチコード長:約2.4m
・アースコード長:1.5m
・電源コード長:約2.4m
・溶接適合板厚:~3mm

半自動アーク溶接機 正面

 オークションで入手した半自動アーク溶接機はノンガス100V仕様の「MIG 130」という機種名品。1円スタートで、即決価格は14,000円という設定だった。

 この機種、個人にストアと出品者は複数にわたる。しかも、ロットによって仕様が異なるようで、出品者によって価格や仕様は微妙に異なってくる。

 オークション落札結果の平均は9,000円、掲示板の口コミで8,000円前後が相場だったため、8,000~9,000円をめどに入札を開始。その結果、6,750円(税込7,290円)という激安で落札することができた。が、ここまで安いと逆に心配にもなってきた。「本当に使えるのだろうか?」と。

 さて、商品が到着してパッケージから出してみると付属品はおまけ程度のクオリティながら、溶接機本体の造りは意外にしっかりしている。いただけないのが英文のみの取扱説明書。複数機種兼用で本体に記載とされている諸元と異なる記載があるなど、どうにも要領を得ない。

 そこで、機種名で検索してみたところ、複数のHPがヒット。なんとか基本的な使い方は把握することができた。

取扱説明書は英語。付属品はおまけ程度のクオリティー。

 付属する取扱説明書は英語版。しかも、複数機種の兼用品で、末尾に記載された溶接機イラストは上位機種のみ。せめてイラストが確かなら、ある程度の意味は読み取れるのだが……。

 付属してくる溶接フラックスワイヤーのサイズはφ0.9mmで、容量は450g。一般に売られているのは900gゆえ、半分サイズのお試し用といったところ。トーチにあらかじめ組み付けられているφ0.9mmサイズとは別に、予備が2個(φ0.8mmとなぜかφ1.0mm)付属する。

 ヒューズは5A250Vが2本付属。溶接面は安普請のペラペラの樹脂製。本格的な運用を考えているなら他の市販品を購入すべきだ。

 ワイヤーブラシ付きハンマー、これもおまけ程度のクオリティー。なにもなければ使うしかないが、別途用意したほうがよい。

半自動アーク溶接機を実際に組み立ててみよう!

溶接機後方の両側面上部に、斜め前方に移動できるノブが設置されている。
溶接機後方の両側面上部に、斜め前方に移動できるノブが設置されている。
そのノブを両手で保持しつつ同時に目一杯上方に引き上げるとロックが外れ、そのまま持ち上げることで上蓋を開くことができる。
そのノブを両手で保持しつつ同時に目一杯上方に引き上げるとロックが外れ、そのまま持ち上げることで上蓋を開くことができる。
そのまま引き上げて垂直に立てれば安定し、内部に設けられたワイヤー供給ユニットにアクセスすることができる。
そのまま引き上げて垂直に立てれば安定し、内部に設けられたワイヤー供給ユニットにアクセスすることができる。
溶接機を使用する際は、まずフラックスワイヤーを取り付ける。ワイヤーの巻き終わり端がワイヤー供給ユニットを向くようリールをシャフトにまっすぐはめ込む。
溶接機を使用する際は、まずフラックスワイヤーを取り付ける。ワイヤーの巻き終わり端がワイヤー供給ユニットを向くようリールをシャフトにまっすぐはめ込む。
リール押さえを傘が広がった面を下にしてはめ込む。
リール押さえを傘が広がった面を下にしてはめ込む。
テンションスプリングを組み付け。
テンションスプリングを組み付け。
固定ナットを回転が止まるところまでしっかり締め込む。
固定ナットを回転が止まるところまでしっかり締め込む。
ローラー押さえの締め付けノブを緩めて持ち上げることでローラーをフリーにし、リール端にはめ込み固定されているワイヤー端をカットしてワイヤーガイドチューブに押し込む。
ローラー押さえの締め付けノブを緩めて持ち上げることでローラーをフリーにし、リール端にはめ込み固定されているワイヤー端をカットしてワイヤーガイドチューブに押し込む。
ワイヤーを送り出してローラー端の送り出しチューブにまっすぐはめ込み、抜けないよう数cmほど押し込んでおく。
ワイヤーを送り出してローラー端の送り出しチューブにまっすぐはめ込み、抜けないよう数cmほど押し込んでおく。
ローラー押さえを元通り組み付ける。
ローラー押さえを元通り組み付ける。
電源コードをAC100Vに接続し、電源スイッチをONにする。
電源コードをAC100Vに接続し、電源スイッチをONにする。
トーチの先端ノズルとチップを外す。
トーチの先端ノズルとチップを外す。
ワイヤーが出てくるまでトリガースイッチを押し続ける。
ワイヤーが出てくるまでトリガースイッチを押し続ける。
本体内部

 本体内部にはケースの半分を占める大きなトランスがドンッと据えられており、前方の空きスペースの下部に小さな基板がある。付属品に入組されていた予備ヒューズの交換先は、その基板上に設置されていた。また、ワイヤー供給ユニット下面にはモーターが飛び出している。このモーターへのハンダ付けは雑で、まさに格安品クオリティーだ。

半自動アーク溶接機のスイッチをオン!パーソナルユースなら必要十分

 安価な海外製の100V仕様ゆえに正直、それほど期待はしていなかった。ところが、実際に使ってみたところよい意味で期待を裏切られた。「弱」の設定でも3mm厚の鉄板に穴が開くなど、パワフルで意外に使える。というか、パーソナルユースであれば必要十分と感じた。

 ただし、運用時には注意すべき点がある。国内メーカー品は電源スイッチをONしただけではフラックスワイヤーに通電せず、トーチのワイヤー送り出しスイッチがONになると同時に通電してアークが飛ぶ状態となる安全設計が一般的。

 ところが、本機は電源ONと同時にフラックスワイヤーに通電してしまうのだ。このため、ワイヤー交換時はアースクリップやアース接続された金属面に接触しないよう慎重に取り扱う必要がある。

 また、付属ワイヤーを半分ほど消費するまでワイヤーの送り出しは安定していたが、本格的に溶接を始めたところで引っかかる挙動と共に異音を発するようになった。

 異音の出所はリールのシャフトで、シリコンスプレーの一吹きで静かになったもののグッグッと引っかかる感触はわずかながら残っている。症状が悪化するようなら何らかの対策が必要だ。

定格電圧や使用率などの基本スペックは本体正面パネルに表示されていて、定格使用率は120Aでの使用時で10%、 60A使用時は35%となっている。
定格電圧や使用率などの基本スペックは本体正面パネルに表示されていて、定格使用率は120Aでの使用時で10%、 60A使用時は35%となっている。
使用率とは10分間のうちの連続稼働時間を示し、60Aの35%とは3.5分以上の連続稼働はできない、つまり「3.5分使用したら6.5分止めなさい」ということを意味する。また、出力の設定は4段階。
使用率とは10分間のうちの連続稼働時間を示し、60Aの35%とは3.5分以上の連続稼働はできない、つまり「3.5分使用したら6.5分止めなさい」ということを意味する。また、出力の設定は4段階。
電源コードは電圧ドロップ対応のコードリールを利用してAC100Vに接続。
電源コードは電圧ドロップ対応のコードリールを利用してAC100Vに接続。
アースクリップを作業台に挟む。ワイヤーの送り出し速度を調整する。なお、φ0.8~0.9mmの細いワイヤーにおける突き出し量の適正値は約10mmで、アーク中にこの長さが保てるよう調整する。
アースクリップを作業台に挟む。ワイヤーの送り出し速度を調整する。なお、φ0.8~0.9mmの細いワイヤーにおける突き出し量の適正値は約10mmで、アーク中にこの長さが保てるよう調整する。
初めの使用では半分の位置で試し、ビード形状や溶け込み具合を見ながら前後させて最適値を探る必要がある。電源スイッチON。これで使える状態となる。
初めの使用では半分の位置で試し、ビード形状や溶け込み具合を見ながら前後させて最適値を探る必要がある。電源スイッチON。これで使える状態となる。
3.2mm厚の鉄板を用意し、試しに2cmほどのビードを引いてみた。「弱」でもスムーズにアークが飛び、楽々ビードが引ける。また、本機は電源ONでワイヤーも通電状態となるため、初めは戸惑った。
3.2mm厚の鉄板を用意し、試しに2cmほどのビードを引いてみた。「弱」でもスムーズにアークが飛び、楽々ビードが引ける。また、本機は電源ONでワイヤーも通電状態となるため、初めは戸惑った。
が、アークが飛ぶと同時にトーチのスイッチを押せばよいため、慣れると扱いやすい。移動にもたついて1か所に集中すると弱でも溶けて穴が開くほどパワフルだ。
が、アークが飛ぶと同時にトーチのスイッチを押せばよいため、慣れると扱いやすい。移動にもたついて1か所に集中すると弱でも溶けて穴が開くほどパワフルだ。
やはりアークの飛び始めはスムーズ。ワイヤーの送り出しも滑らかで、何の不安もない。
やはりアークの飛び始めはスムーズ。ワイヤーの送り出しも滑らかで、何の不安もない。
溶け込みが甘いボテッとした、上級者からしたら「まだまだだね」といわれそうな仕上がりだが、途切れることなくスムーズにビードを引くことができた。
溶け込みが甘いボテッとした、上級者からしたら「まだまだだね」といわれそうな仕上がりだが、途切れることなくスムーズにビードを引くことができた。

半自動アーク溶接機の出力。弱でも十分熱は伝わるが、フルパワーではキャパオーバー

半自動アーク溶接機の出力。弱でも十分熱は伝わるが、フルパワーではキャパオーバー

 1が弱、2が中、3が中強、4が強。出力を上げるほどに楽に溶け込んでいくようになるが、「弱」でも3.2mm厚の鉄板の裏まで確実に熱が伝わっており十分実用的。

 なお、「強」に設定したところブレーカーが飛んでしまった。コンセント容量は一般に15A。消費電流20Aという表記があるので、やはりフルパワーは厳しく、同系統に他の機器も接続されていたら確実に容量オーバー。「強」設定を安定使用するためには20Aのコンセントを用意して単独で運用する必要がありそうだ。

スラグ除去状態
スラグ除去状態
鉄板裏面
鉄板裏面

提供元:オートメカニック

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グーネットピット編集部

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