車検・点検・メンテナンス
更新日:2019.06.18 / 掲載日:2019.06.18
ヘッドライトの黄ばみの原因は?黄ばみ取り・黄ばみ防止法を解説!
クルマのヘッドライトの黄ばみが気になる方は、意外に多いのではないでしょうか?ヘッドライトはクルマの顔ともいうべき位置にあり、汚れているとクルマ全体がくすんだ印象になってしまいます。
今回は、ヘッドライトの黄ばみやくすみの原因、黄ばみをセルフで除去する方法、黄ばみ取りを業者に依頼した場合の工賃の目安を解説します。
ヘッドライトの黄ばみやくすみの原因
ヘッドライトの黄ばみやくすみの原因は、主に以下の4つです。
・紫外線
・経年劣化
・ライトバルブの熱害
・傷
それぞれ、詳しく解説していきます。
紫外線
クルマのヘッドライトに使われている素材の多くは、ポリカーボネートと呼ばれる樹脂です。この素材はガラスより強度があり、破損時に破片が飛び散りにくいという特徴があるので、クルマの前面に使用するのに適しています。
ただし、この素材はガラスより紫外線に弱く細かい傷が付きやすいという弱点があります。ヘッドライトが黄ばむ最大の原因はこの紫外線です。したがって、日頃利用する駐車場が紫外線を避けられない屋外の場合は、ヘッドライト表面が劣化しやすくなります。
また、ガレージの日射条件によっては、左右のヘッドライトで黄ばみ具合が違うということもあります。
ちなみに、一昔前まではガラス製のヘッドライトが主流でした。ガラス製のヘッドライトは黄ばみ防止には優れていましたが、樹脂製のヘッドライトのほうがデザイン面・重量面・安全面で優れているので、現在は一部の外国車を除いて樹脂製のヘッドライトになっています。
経年劣化
ヘッドライト表面は新車時、外部要因からの劣化を防止する目的でコーティング塗装が施されています。ただし、この塗装は直射日光を浴びたり洗車を重ねることによって徐々に剥がれていきます。その結果、ヘッドライト本体にダメージを受けやすい上に紫外線の影響も大きくなり、黄ばみやくすみはますます進んでいくのです。
ライトバルブの熱害
ポリカーボネートは耐熱温度120~130℃と、本来耐熱性の高い樹脂ですが、高温が続くと劣化は避けられません。ヘッドライトのレンズカバー裏の電球は走行中に高温になるため、その熱がヘッドライトに伝導し、ヘッドライトは徐々に劣化し黄ばんでいくのです。
ヘッドライトの傷
クルマの前面にあるヘッドライトは、どうしても悪天候や悪路走行時に傷が付きやすいものです。最初は目立たない小さな傷でも、使用しているとその傷はどんどん増え、また傷が大きくなると汚れが付着しやすくなり、黄ばみやくすみはますます広がります。
以上のように、ヘッドライトの黄ばみを完全に防止するのは難しいことです。しかし黄ばみを放置しておくと、ライト点灯時に十分な光量が得られず、夜間走行時の視界が悪くなってしまう可能性も出てきてしまうでしょう。
また、黄ばみが進んでヘッドライトを構成する樹脂の劣化が進むと、ひび割れができたりヘッドライトの周囲にすき間が生じたりして、ヘッドライト内部まで汚れる原因となってしまいます。
ヘッドライトの黄ばみが悪化すると、光量が不足し車検に合格しないケースもありますので、黄ばみがひどい場合は除去する必要があります。
ヘッドライトの外側の黄ばみを除去する方法
ヘッドライトの外側の黄ばみを除去する際は、市販の耐水ペーパーを使ってヘッドライトを磨いていきます。ペーパーで黄ばみを削り落としてコンパウンドで研磨すれば、効果的に黄ばみの除去が可能です。どちらもカー用品店やホームセンターで簡単に入手できます。
ここでは、市販品を使用した黄ばみ取りの主な手順について解説します。
1.耐水ペーパー(サンドペーパー)を番手別で複数枚用意する
耐水ペーパーには「番手」と呼ばれる番号があります。これはやすりの細かさのレベルを示す数字で、数字が小さいほど目は粗く、数字が大きくなるにつれて目は細かくなります。
ヘッドライトを磨く際は小さい数字の番手から始め、徐々に数字を大きくしていくと綺麗に磨き上げることができます。具体的には1000番から始め、1500番を経て2000番で仕上げるという流れです。
2.磨く前にヘッドライトの汚れを落とす
泥・砂・ホコリなどで汚れているヘッドライトをいきなり磨いてしまうと、その砂などで表面を傷つけてしまいます。ヘッドライトを磨く前に、流水で汚れをある程度洗い流しておくことが大切です。
3.ヘッドライトの周囲をマスキングテープで養生する
耐水ペーパー・コンパウンドで磨く際は、ヘッドライト周囲のボディを傷つけないように、ヘッドライトの周囲をマスキングテープで養生しておきましょう。
4.耐水ペーパーに水をかけながらヘッドライトを磨く
耐水ペーパーを使うと水を流しながらヘッドライトを磨けるので、ペーパーをかけるときに発生する摩擦熱でヘッドライトに負担をかけたり、ペーパーの目が詰まって作業が滞ったりする心配がありません。使いやすい大きさにカットし、ペーパーに水をかけながら磨いていきます。
また、スポンジなどにペーパーを巻くとヘッドライトが磨きやすいので、準備しておきましょう。ヘッドライトにはカーブがあるので、あまり固いものに巻くよりスポンジ程度のやわらかいものに巻いたほうが、作業が捗るのでおすすめです。
5.布やスポンジにコンパウンドを付けてヘッドライトを磨く
耐水ペーパーでヘッドライトを磨いて、ある程度表面の黄ばみを取り除いたら、コンパウンドを使用してより細かく磨き上げていきます。
コンパウンドとは、粉状の研磨剤を薬剤と混ぜ、ペースト状・液体状にしたものです。サンドペーパーと同じように目の細かさに種類がある上、サンドペーパー以上に繊細な研磨が可能となっています。
コンパウンドを使用する際は、布やスポンジに付けてからヘッドライトを磨いていきます。耐水ペーパーだけでは取り除ききれなかった小さい傷を滑らかにし、光沢のある表面に仕上げてくれます。コンパウンドで磨き上げて表面が滑らかになると、汚れが傷に入り込むことを防ぐ効果も期待でき、ヘッドライト表面の再劣化を遅らせることができます。
ヘッドライトの外側を磨く際の注意点
クリーナーには、クルマ専用ではない安価な物もありますが、安易に使用してはいけません。エタノールなどの有機溶剤が成分に含まれていると、樹脂が溶けてしまう可能性があるからです。
また、保護のためにクリアラッカーなどを塗ってしまうのも、同様に有機溶剤が含まれているので避けたほうがよいでしょう。有機溶剤でヘッドライトの外側が溶けてしまうと白く濁りますし、ひどい場合はヒビが入ってしまいます。
最悪、ヘッドライトユニットそのものを交換しなければならなくなる可能性もあります。エタノールに代表される有機溶剤系のものは、樹脂に使用するのは避けたほうが良いでしょう。
また、耐水ペーパーでうっかりボディの塗装に傷を付けてしまっては大変です。多少面倒でも、傷を防止する為にマスキングは必ず行いましょう。マスキングテープもカー用品店・ホームセンターなどで簡単に購入できます。
ヘッドライトの内側の黄ばみを除去する方法
ヘッドライトの外側の黄ばみを耐水ペーパーやコンパウンドで除去しても黄ばみが残る場合、黄ばみの原因はライトレンズの内側にある可能性があります。ここでは、ヘッドライトの黄ばみが中まで進んでいる場合の黄ばみ取りの手順を、具体的に解説します。
1.ヘッドライトを取り外す
まずはボンネットを開けて、ヘッドライト関連のボルトを外します。その際、エンジンルーム内にネジ類を落とさないように注意してください。次にヘッドライトの配線を探します。基本的には、ヘッドライトのほぼ真後ろあたりに取り付けられていることが多いです。配線コードを見つけたら、コネクターを外します。
2.コンパウンドを使用してヘッドライトを磨く
ヘッドライトの外側と違って内側には大きな傷がつきにくい為、基本的にコンパウンドを使用して磨き上げていきます。コンパウンドを使って磨くことで表面は滑らかになり、光沢のある状態に仕上がります。表面が滑らかになると、今後また汚れても、その汚れが傷に入り込む可能性は少なくなるでしょう。
また、コンパウンドでヘッドライトを磨かなくても、漂白剤で黄ばみを除去することもできます。バケツに漂白剤を入れた水を用意し、ここに取り外したヘッドライトを浸け込む方法となっています。
ヘッドライトの内側を磨く際の注意点
ヘッドライトやヘッドライトレンズを外す作業は、多くの人にとって慣れている作業ではありません。また、外したヘッドライトを取り付ける際も注意が必要です。しっかり取り付けないと、せっかく内部を磨いたのにすき間から水が入ってしまい、水滴によって曇りが生じてしまうので慎重に作業しましょう。
なお、ヘッドライトの内側にまで黄ばみが発生している状態は、かなり劣化が進んでいると考えられます。この状態で無理に分解・取り付けを行うと劣化を余計に進めてしまう危険性もあるでしょう。ヘッドライト内側の清掃は、入念に調べて下準備をしたうえで行ってください。
ヘッドライト内側の黄ばみ取りに自信が持てない場合は、専門の業者に依頼することも考えましょう。
ヘッドライトの黄ばみ除去を業者に依頼した際の工賃は?
ヘッドライトの黄ばみ除去は、場合によっては業者に任せたほうがいいケースもありますが、黄ばみ取りの料金がいくらぐらいなのか、皆さん気になるかと思います。ここでは、ヘッドライトの黄ばみ除去の工賃相場をご紹介します。
ヘッドライト研磨の工賃相場
ヘッドライトの研磨にかかる費用は、個々のクルマの黄ばみ具合によって違います。おおよその目安は以下のようになっています。
通常コース
それほどひどくない黄ばみであれば、ヘッドライトの研磨回数も少なく済むので、左右セットで3,000~9,000円程度となります。
念入りコース
ヘッドライトの黄ばみがかなり進み、曇りもあるような状態の場合、何段階かの研磨を重ねる必要があります。8,000円~18,000円程度を想定しておきましょう。
輸入車コース
多工程で研磨が必要な場合が多く、10,000~25,000円程度の費用がかかるケースが多くなっています。
カスタマイズ車コース
ヘッドライトにフィルムが貼られているなど、カスタマイズされているクルマの対応はケースバイケースです。費用はその度に見積もりを取ることになります。
コーティングの工賃相場
新車の場合、ヘッドライトの表面は外部要因で劣化しないようにコーティング塗装が施されています。この塗装は、直射日光や洗車を重ねることによって徐々に剥がれていきます。
ヘッドライトのコーティングは左右で5,000円からお願いできるところもありますが、20,000~30,000円ほどのところもあります。担当者の技術レベル、コーティング剤の種類、使用工具や工程の違いが価格に反映されるので、価格の幅はかなり広くなっています。中には、コーティング塗装の保証期間を含めた料金設定のところもあります。
研磨・コーティングともに、どの程度のレベルの作業をお願いしたいかで費用はかなり違ってきます。いくつかの業者に費用と研磨内容・コーティング内容を確認し、比較検討したうえで依頼しましょう。
ヘッドライトを交換することになった場合の工賃相場
クルマのヘッドライトの黄ばみが進行した場合、ヘッドライトカバーを交換することになります。残念なことに、ヘッドライトは一部をのぞいて表面のカバーのみの交換はできず、ヘッドライト全体で交換する必要があります。
ヘッドライト全体のユニットでの交換料金は、車種によって価格に幅はありますが、安くても数万円、高価なものだと数十万円する場合もあります。また、ヘッドライトを交換する際は、バンパーなどの外装部品を外すケースもあり、交換後にはライトの向きの調整(光軸調整)も必要となります。
研磨工賃相場
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通常/3,000~9,000円 |
念入り/10,000~18,000円 | |
輸入車/10,000~25,000円 | |
カスタマイズ車/見積必要 | |
コーティング工賃相場 | 5,000~30,000円 |
交換工賃相場 | 片側最低5,000円 |
ヘッドライトの黄ばみ・くすみを予防する方法
ヘッドライトが黄ばんでしまう主な原因は紫外線による劣化ですから、黄ばみを防ぐ対策としては、できるだけ紫外線を浴びないことです。クルマの管理場所を屋内ガレージにする、クルマにカバーをかけるなど、紫外線が直接クルマに当たらないようにするのが望ましいです。外出先の駐車場を利用する際は屋内が良いでしょう。
ただし、ガレージ環境を整えるには費用がかかりますし、毎日クルマに乗る方にとって、その都度カバーをかけたり外したりするのは現実的ではありません。ここでは、黄ばみ対策としてより実施しやすい方法をご紹介します。
ヘッドライトにコーティングを施す
黄ばみを除去して表面を均一な状態にしたヘッドライトに、最後の仕上げとしてコーティング剤を塗っていきます。表面が均一化されていなかったり、塗り方にムラがあったりすると、ヘッドライト点灯時にレンズの温度差ができる可能性があり、劣化を早める原因にもなります。
ヘッドライトの黄ばみ取り・コーティング作業ともに、慎重に作業を進めましょう。
ヘッドライトに保護フィルムを貼る
紫外線カット効果がある保護フィルムを貼れば、黄ばみの主な原因である紫外線を強力に防いでくれます。また、保護フィルムがあると飛び石などの被害からヘッドライトを守る効果も期待できます。
前述のように、ヘッドライトは部分交換ができない場合が大半で、交換する場合はユニットごと交換が必要な箇所ですから、保護フィルムの存在は心強いものです。
ヘッドライトの黄ばみ予防におすすめのアイテム
コーティング剤
紫外線防止効果のあるものがおすすめです。黄ばみを除去した研磨後のヘッドライトに施行することで、黄ばみを防いでくれます。またガラス系のコート剤も、強い皮膜でクリアな輝き・光沢を生み出し、黄ばみ防止効果が期待できます。
ボンネットカバー
ボンネットだけをカバーするタイプなら、取り付け・取り外しともに簡単です。
まとめ
今回は、ヘッドライトの黄ばみやくすみの原因、黄ばみを除去する方法について解説しました。
ヘッドライトの黄ばみを放置しておくと、最悪ヘッドライトごとの交換が必要になってしまいます。ヘッドライトユニットでの交換になりますので、費用はかなり高額になります。そうならないためにも、ヘッドライトが黄ばまないようにしっかり予防策を講じておきましょう。
また、ヘッドライトが黄ばんでしまう最大の原因は紫外線ですから、できるだけ直接紫外線が当たらない環境でクルマを管理することが理想です。ガレージが難しければ、ボンネットカバーを利用したり、紫外線カット効果のあるコーティング剤の塗布・保護フィルムの貼り付けなどが良いでしょう。
すでにヘッドライトが黄ばんでいる場合、耐水ペーパーとコンパウンドで黄ばみを取り除きます。仕上げには、コーティング剤を忘れずに塗布しましょう。
ヘッドライトの黄ばみが内側まで及んでいる場合の除去は、普段から自分でクルマのメンテナンスを行っていない方にはなかなかハードルの高い作業になります。そんなときは、業者に依頼することも検討しましょう。