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故障・修理
更新日:2019.09.11 / 掲載日:2019.09.11

大人の電子工作入門PART3-3 測定結果を音声で知らせてくれるテスターを製作する

初心者には向かないが、製作手順は参考にはなるはず!

 MK-204トーキングテスターキットは測定値を女性の声で教えてくれる(モニターなどの表示はなし)、ユニークな測定機器を自作できる電子工作キットだ。

 測定レンジは電圧測定が最大20Vと2V、電圧測定が最大2Aの3レンジ。一般的なテスターに比べて測定可能範囲はかなり限られる。しかし、現場で必要となる、あるいは利用頻度の高い測定レンジは「電圧測定」と「導通チェック」の2つにほぼ集約される。そして、12V電装への利用を前提にすれば、現実問題としてこれだけでも十分役に立つ。

 その測定結果を音声で知らせるタイミングも【1】測定値の変化時(フルスケールの1%以上の変化で発声)、【2】設定時間毎(任意に設定可能)、【3】プレイスイッチオン時、と3種類。状況によって使い分けでき、利用環境に合ったタイミングで測定結果を確認することが可能と、かなり興味深い。そこで、実際に作って使い勝手を確かめてみることにした。

 ただし、キットに含まれるパーツは本体基板まわりのみ。スピーカーや電池ボックス、ケースなどは別途用意する必要がある。また、操作スイッチや接続端子が基板に直付けのため、操作性を犠牲にすることなく汎用ケースに収めるとなるとアレンジが必要となる。市販キットにアレンジを加える場合、回路図を解読するスキルも必要となり、必然的に難易度はかなり高くなる。このため、初心者には向かないが、キットをケースに収める手順など、参考にはなるはずだ。

★マイコンキットドットコム MK-204これは便利!測定した電圧と電流を声で教えてくれるトーキングテスターキット
価格:3,065円(税込)

マイクロチップ社の高精度ADコンバーターとアクエスト社の音声合成ICを利用した、測定した電圧や電流を音声で教えてくれるトーキングテスターの組み立てキット。

ケースに収めるべく、必要パーツをピックアップ

ケースはタカチ電気工業の汎用型ABS樹脂ケース「SS-125W」をチョイス。電源は9Vの006Pとして、これ用のソケットを1つ。さらにスピーカーを用意する。

スピーカーは4~16Ωの1W程度との指定で、手持ちの8Ω1Wを利用した。

ケースに基板を収めて配置を検討。

外付けに変更する部位を選別する。

スイッチ類はすべて別体にする

スイッチ類はすべて外付けに変更。電源スイッチは1回路2接点の3Pトグルスイッチ。

設定切り替えスイッチに2回路2接点の6Pトグルスイッチを2個。

RESET/PLAYスイッチ用に12mm角の大型タクトスイッチを2個。

接続ケーブルは0.08SQ相当のフラットケーブル。

スピーカーコードはCAN線の切り余りを利用した。

抵抗値別に抵抗を選り分ける

本キットは部品点数が多い。

抵抗だけで8種類、13本も利用する。

組み間違いを防ぐため、1つずつ抵抗値を確認しながら選別して容量順に並べておく。

残りの各パーツも一目で判別できるよう分別して並べるとともに、すべて揃っているかキッチリ確認する。

抵抗値別に順次組み付けていく

まず、数が多く高さも低い抵抗を片づけてしまう。

取り付け穴にピッタリはまるよう、取り付け穴間隔に合わせてコの字形に曲げる。

プリント基板に密着するまで、まっすぐ奥まで確実にはめ込む。

ランドとリードを均等に加熱後、糸ハンダを押し当ててランド全体に広がって富士山状に盛り上がるよう仕上げる。

本キットには黒帯1本のみの抵抗が1本入っている。これは0Ωの実質ジャンパー線。

R7位置に、他の抵抗と同様に組み付ける。

そして、合計13本の抵抗を組み付けて一段落。

向きに注意してダイオードを組み付ける

次にダイオードを組み付ける。組み付け位置と組み付け方向を確認。

り付け穴の間隔に合わせて足を曲げ、プリント基板に密着するまで確実にはめ込んでハンダ付けする。

そして、赤丸位置の合計3本、組み付ける。

コンデンサーを容量別に順次組み付ける

次はセラミックコンデンサー。3種類あるので容量ごとに順次、とりあえず数の少ないリスト上段(334)から組み付けていく。

なお、コンデンサーの取り付け穴の幅はリード線幅に合わされているため、無加工でそのまままっすぐはめ込むことができる。

基板に接するまで押し込んだら裏返し、キッチリハンダ付けする。

次に106を2個、組み付けてハンダ付けする。

最後に104を4個の合計7個を同様に組み付ける

向きに注意してトランジスターを組み付ける

次はトランジスター。これには組み付け方向があるので注意! 平らな面が基板の形状表示と合致するよう組み付ける。

なお、矢印アニメーションキットの場合、中央の足を後方に折ったが、本キットは無加工でそのままはめ込む。

リードの傾斜面の直前まで押し込み、基板を裏返してハンダ付け。

余分なリード線をカットして一段落だ。

3端子レギュレーターは基板に密着させる

3端子レギュレーターの3本の足を細くなった位置から背面側(型番書きされている面が表)に直角に曲げる。

体背面が基板にピッタリ密着するようはめ込む。

手を離しても抜けないよう、ヒートクリップを挟み込んで基板に仮固定。

ハンダ付けし、安定したところでヒートクリップを取り外す。

IC以外の細かなパーツ取り付けはこれで完了だ。

凹面が合致するようICソケットをはめ込む

プログラムが書き込まれたPICマイコンと音声合成ICはICソケットを介して組み付ける。

そのICソケット、傾きやすいためはめ込んだらまず隅の足を1か所のみ、ハンダ付けする。

そして、押し付けて基板にキッチリ密着させる。

対角線位置の足をハンダ付けして安定させてから、残りをハンダ付けする。

また、端子の間隔が狭く、ハンダブリッジ(ショート)しやすいので注意(写真は失敗例)!

同様に残りのICソケットを取り付ける。

ヘッドピンを介して基板に組み付ける

6ピンのヘッドピンを中心でカットして3ピン2個に切り分ける。

ADコンバーターが組み付けられた小型基板の両端に3ピンのヘッドピンをセット。

ハンダ付けする。

小型基板と本体基板の両者に表示されているパーツ輪郭の凹面の方向を合わせてまっすぐはめ込む、

そして、6本のピンをキッチリハンダ付けする。

最後にプログラム済みのPICを組み付ける

半固定抵抗を組み付ける。

極性に注意して電解コンデンサーを組み付ける。

PICマイコン、音声合成ICは全パーツを組み付けた最後に組み間違いがないか確認してから取り付ける。

また、静電気に弱いためICインサーターで足を両側から挟み込むように保持しつつ組み付ける。

はめたらキッチリ押し込んでICソケットに密着させる。

基板上のパーツに干渉せずに設置できる位置は限られる

 キットによっては専用ケースが用意されていることもあるが、本キットにはそのようなオプション設定はない。

 このため、ケースに収める場合、基板が無理なく収まる汎用品を別途用意して利用することになる。しかし、汎用品ゆえにすんなりとは収まらない。特に今回のようにスイッチやスピーカーといった厚みのあるパーツを上ブタに組み込む時は難しくなる。基板上のパーツに干渉することなく設置できる位置は限られるからで、さらに使い勝手がよい配置となると難易度は高くなる。

 このため、作業は慎重に! スペースに余裕がある部位を中心に、ケースの隙間から覗き見るなどして確認しながら1つずつ、現物合わせで固定位置を微調整しつつ組み付け位置を決めていく。

動作LEDの取り付け高さを調整する

基板直付けの動作確認LEDはケースに納めた状態でも確認できるよう、ケース上面に頭部が軽く飛び出す高さとなるくらいに調整して組み付ける。

実測値で、リード線が15mm飛び出した状態にすればOK。

熱収縮チューブを15mmにカット。

リード線にはめて加熱し、密着させる。

熱収縮チューブが基板に接触するまで、極性に注意してはめ込み、ハンダ付けする。

これでケース上面にLED頭部が軽く飛び出す。

LEDがはまり込む穴を上ブタに開ける

基板の隅に開けられた固定ネジ穴を利用してケース内にネジ留めする。

ケース末端からLED中央までの距離を計測する。縦方向は25mm。

横方向は16mm。

ケース上ブタのLEDがくる隅の縦方向25mm、横方向16mm位置にケガキ線を軽く入れる。

ケガキ線の交点にピンバイスで下穴を開け、リーマーでLEDがピッタリはまり込むサイズに広げる。

ケース上ブタをはめてLEDの収まり具合を確認する。ピッタリ!OKだ。

上ブタの裏面にスピーカーを固定する

スピーカーは上ブタの裏面に固定すべく、基板上のパーツと接触しない位置を選定。

動作LEDの横になんとか収まる。その位置にあてがい、外周をなぞってスピーカー形状を転写。

縦・横方向から5mmの等間隔の線をケガク。

各交点に直径2mmの穴を開ける。

ただし、スピーカー径の内側にバランスよく収まるよう調整する。

スピーカーをセット、外周にグルーを流し込んで固定する。

なお、電解コンデンサーが接触したため、軽く倒すことで対処した。

発生時間調整用のサービスホールを開ける

半固定抵抗は発生時間の調整用で、頻繁にはイジらないため、上ブタに小穴を開けて外からアクセスできるようにする。

まず、ケース端から距離を測る。

上ブタに穴位置をケガキ、直径5mmの穴を開ける。

そして、このように中心の+溝が目視できるようにする。

ターミナルと各スイッチの配置を検討する

トグルスイッチはケース裏にかなり飛び出すため、ターミナル取り付け面一に収める。

ターミナルを目一杯端に設置するが、この下位置には電池がくるため、固定ネジを必要最低限に切り詰めることで対処する。

そして、このように配置することにした。

この配置で生じる隙間に収まるサイズの説明ラベルをPCで製作する。

ターミナルの裏面への飛び出し量を調整!

まず、ターミナルの飛び出し量を調整する。とりあえず、上ブタ端に1個直径5mmの穴を開ける。

本体ケースに重ねて側面から光を当て、穴から内部を覗き見て裏側にくるパーツを確認。やはり電池に接触する。

ターミナルを組み付け、本体ケースにはめてみる。

7~8mmほど切り詰めれば収まりそうだ。

電工ペンチのボルトカッターを利用。

組み付けた時固定ナットと面一になる長さに切り詰める。

これで電池に接触することなく収まるようになった。

残りのターミナルも同じ長さに切り詰めてから上ブタに組み付け、ナットを締めてしっかり固定する。

大型タクトスイッチを外付け加工する

大型タクトスイッチは上ブタの表面に直付けする。固定位置に配置して各端子の位置をマーキングする。

マーキングした各端子の位置にピンバイスで直径2mmの穴を開ける。

各端子を穴に合わせてはめ込み収まり具合を確認する。OKだ。

いったん取り外し、付属のボタンをはめ込んでおく。

これで一段落。次に配線の接続作業に入る。

スイッチ端子に配線をハンダ付けする

設定切り替えスイッチの端子面から基板までの長さを目測。それよりもちょっと長めにフラットケーブルをカットする。

直径2mm熱収縮チューブを5mm長にカットし、ケーブルにはめ込む。

ケーブルの被覆を3mmほどむき、芯線にハンダを溶かし込む(予備ハンダ)。

スイッチ端子にも予備ハンダする。

予備ハンダした芯線をスイッチ端子に接触させ、ハンダコテで熱して溶かし合わせる。

熱収縮チューブを端子面にズラし、収縮させる。

同様にして残りの配線を取りつける。

基板と相対する端子同士を接続する

基板からスイッチを引き上げたがごとく、基板の端子穴に相対するスイッチ端子の配線を1本ずつ接続していく。

6端子すべてではなく、配線が繋がっている5個の端子のみでいい。

なお、電圧測定範囲スイッチの片面の一端は裏面に接続配線はないものの表面にはあるので注意!

これを接続し忘れると切り替えできなくなる。

タクトスイッチに配線を接続し固定する

フラットケーブルをバラして単線にし、タクトスイッチの固定接点と可動接点それぞれにハンダ付けする。

タクトスイッチの裏面に両面テープを貼り付け、剥離紙を剥がす。

上ブタに開けた端子穴にケーブルを通し、裏に引き込む。

そのまま端子をはめ込みつつ上ブタにスイッチ裏を密着させ、強く押しつけてキッチリ貼り付ける。

ターミナル配線を基板にハンダ付けする

0.5sqの黒線を用意し、被覆をむいて芯線に予備ハンダ。

ターミナルのラグにも予備ハンダ。

芯線を重ねてハンダ付けする。

0.5sqの赤線を用意し+端子にハンダ付け。

それぞれターミナル穴横の配線穴に接続する。

スピーカー配線を取り付ける

スピーカーの端子にスピーカーコードをハンダ付けする。

コードの反対端の被覆をむいて芯線をむき出しにし、基板のスピーカー端子にはめ込む。

コードが抜け落ちないよう押さえながら裏返し、ランドにハンダ付けする。

006P電池ホルダーの配線を基板に接続!

基板にはDCジャックと電池の2系統の電源接続端子がある。

006P用のBスナップの赤線をDCジャックの接続端子の+端子に、黒線をアース端子にハンダ付けする。

電源スイッチを接続し、電池を繋いで動作確認する。

配線取り回しを整えつつ上ブタをはめ込む

問題なく動くことを確認したところで、ケース内に基板を固定。

線コードを挟み込まないよう取り回しを整えながら、上ブタをはめ込んでいく。

何かにぶつかって隙間を生じることなく、ピッチリはまりきるようになったところで、ケース付属のネジを締めて固定する。

自作ラベルを貼り付けて完成!

自作した説明ラベルを切り出し、各スイッチ単位に切り分ける。

裏面の剥離紙を剥がしてスイッチ直近に貼り付ける。

各スイッチの配置は基板の配置通りとしたが、電圧・電流切り替えは左側にし、切り替え向きがターミナルに連動するようにしたほうが使い勝手はいい。いずれ変更する。

1/100単位の狂いはあるもののほぼ正確!

 測定結果が音声で確認できるため、作業に集中できる。測定値も意外に正確。もちろん補正も可能で、実用になる。

 ただし、今回のようにアレンジする時は注意が必要。実は手順14のBスナップの+赤線の接続はミスってしまった。DCジャックの+端子は3端子レギュレーターに直結、ここに電池を接続するとスイッチオフでも3端子レギュレーターに電気が流れ、電池が消耗してしまうのだ。そこで、元の電源スイッチ配線はDCジャック側に固定し、Bスナップ+線の接続をON/OFFすべく手直しをした。

バッテリー電圧の測定値をハンドテスターと比較してみた。1/100単位の狂いはあるもののほぼ正確に発声。この程度の差なら問題なく使える。

電流も2Aまでだが問題なく測定できる。

なお、発声タイミングは連続~約70秒の範囲で調整可能だ。

測定値の変化を刻々と音声で伝えてくれるため、測定値の確認のためにいちいち視線をズラす必要がなく作業に集中することができる。このため、測定目的によっては意外に役立つ!

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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